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記憶消失の俺が英雄になるまで  作者: 秋桜ノ樹
第2章「記憶をなくした少年と一千年の巫女」
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第27話「杖の捜索」

1話ごとの文量を上げて行くことを考えています。

更新頻度は落ちますが、ご容赦ください。

 


 こんにちは。どうも、ヤマダです。



 私は現在、幼女二人と宿で楽しいことをしています。



 一人目はルイン。闇魔術師です。幼いながらにもその身に似合わぬパイ乙()を背負いながら今日も一生懸命に生きています。あぁ、可愛い。




 二人目はアリス。こいつがもう本当に可愛いんです。いっつもツンツンしてるくせに二人っきりになると急に俺に甘え出して、

「にゃんにゃん!ヤマダ様かっこいいにゃ!」

 なーんて、言い出すんです。




 フフッ、僕の可愛いアリッアッ....





「い゛で゛ぇ゛ッ゛゛゛゛゛!?!?」


 人が気持ちよく日記を書いているところへ鈍痛が訪れた。何かと思って振り返るとアリスがニコニコと拳を掲げていた。



「誰が、にゃんにゃん!よ!!!!!ぶっ殺す!!」



 痛いです。

 これ以上、記憶がなくなったらどうするんですか。



「いつまで日記書いてんのよッ!」



 更に、追い打ちを喰らった。





 結局ルインは俺たちの仲間になったっぽいのだがイマイチ自覚がない。まだルインとの付き合いは浅いし、向こうが一方的に懐いているだけだ。

 もしかしたら、それは俺たちを欺くための演技であり、俺たちが油断したところで後ろからブスリッなんてことも視野に入れて置かなくてはいけない。



 しかし、当の本人はその十分すぎるほど凶悪な双丘を押し付けて俺に致死ダメージを与え続けるのだった。




「マスター」



 ルインは俺のことをそう呼ぶようになった。

 ヤマダと呼んでくれと言ったのだが、その響きはダサいから無理などと抜かしやがってマスターに落ち着いた。ーと、いうか、マスターの名前をダサいっていうのはどうなの... ...?



「マスター。ご飯の準備ができました」



 とか言いながら全裸で俺に胸を押し当てる。なにこいつ凶暴。



「いや、できてないじゃん。どこにあんの?ご飯」



「それは、わたs」



「わたし、とか抜かしたら殺すわよ」

 ルインの言葉を遮ってアリスが言葉を発した。彼女はルインが来たことによってどこか疎外感を覚えているようだ。それに加えて、最初から何か気に食わないことがあるらしく、やたらとルインを目の敵にする。



「と、いうか!アタシの杖はどこにあんのよ!」




「そうか、杖がなくてイラついてたのか!てっきり女の子の、いや、なんでもないです。なんでもないので、その振り上げた拳を開いてくれませんか?アリス様」




「ふん!」

 アリスは拳をゆっくりと開いてくれた。そして、ベッドの上に腰掛け元気無さげに呟いた。




「あの杖は... ...大切なものなのよ」




 どこか深刻なモノを感じ取ったのだろう、ルインがその胸を揺らしながらアリスの顔を覗き込む。



「あなた... ...そうなのね」

 アリスの顔を見てどこか納得したようなルインは俺に向き合ってこう答えた。




「マスター。私は杖を盗ってないわ。ただ、大切なものみたいだから、ちゃんと探してみよ?」



「元より、そのつもりだよ」

 そう言って俺はルインの胸に手を添える。



 次の瞬間またアリスに殴られました。








 ---そして俺らはバックス市場に行くことにした。


「アリス、いつ()くしたのか覚えていないのか?」




「ここ!ぜーったい、ここで失くしたわ!」

 自信満々のアリスだが、どこからその自信が湧いてくるのか不思議である。




「そうか。じゃあ3人で手分けして聴き込みを行おう。もしかしたら、杖を見たって人がいるかもしれない」



 そして、俺たちは3人でそれぞれ別の方向に行き、情報収集を行なった。






 しばらく、聴き込みを行ったが、大した情報を得られなかった。




「はぁ... ....どうしたもんか」

 俺は自分の使えなさを痛いほど実感した俺はバックス市場の隣にある公園のベンチに腰をかけていた。



「どうだった?」

 ベンチの隣にちょこんと腰をかけたアリスが俺に尋ねる。



「特に収穫無し」




「はぁ、使えないわね。 なーんて、私も言えたことじゃないけどね」


 そういうとアリスは手に持っていたソフトクリームをぺろりと舐める。




「一口くれよ」



「私の杖を見つけてくれたらね」



「それもう溶けてるだろ......」



 そんなやりとりをしているとルインもベンチに座っていた。

「マスター......」



「どうだった?ルイン」



「まったくダメ。どこにもないの」



「ふーむ... ...アリス、本当にここなのか?」



「絶対ここよ!アタシの勘がそう言っているわ!」




 この状況を打開してくれるヤツはおらんのか...



「どったのどったの!お困り?」


 思考を巡らしている間に誰かに声をかけられた。

 ふと、顔を上げてみるとリンクだった。



「なんだよ、お前かよ」

 別に期待してねーから、みたいな声色で答える。



「なになに?この親友のリンクに相談してみたまえヤマダ君!」



「だからなんもねーって」



「ふむふむ。杖が無くなって困っている?」



「なんで分かるんだよ」



「いや、さっきアリスちゃんとバックス市場でちょうど会ってさ、探しといてほしいって頼まれたんだよね」



「んで?見つかったの?」



「いやー、無理無理。さすがの僕でも実物は無理だったよ。けど、誰が持っているかは分かったよ」




「「わかったの!?」」

 俺とアリスの声がハモる。



「おっとおっと、待ちたまえ。そんなにがっつくな。すぐ教えるから、威圧しないで!」


「いくらだよ」

 俺は情報料の交渉を持ちかけた。




「いーや。タダでいいよ。ただ、ほんのちょっと僕のお願いを聞いてくれないかな?」





 金に代わるお願いは嫌なことしかないだろ... ...。


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