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記憶消失の俺が英雄になるまで  作者: 秋桜ノ樹
第一章「記憶をなくした少年とロリ魔法使い」
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第17話「隣にアリスのいる幸せ中編」

 

 その日はとても寒かった。

 朝日を浴びることにより地面に熱が蓄えられ、

 その反射で気温が上がる。

 ただ、森の中は朝日すら差し込まずに薄暗さが辺りを包む。

 そんな中、寒さを絶え凌ぐのは冒険者のマストアイテムの寝袋。

 なのだが、俺は生憎、金をもっておらず、

自身のマントに包まることによってそれを凌いでいた。

 もちろん、夜に獣を寄せ付けないように焚火をくべることで暖を取ることは可能だが、

時間が経つにつれてその火は弱くなってゆき朝になってみてみれば、

 もう黒い燃えカスしか残っていないなんてことはザラである。



 その日、俺は普段よりも冷え込んだことによって少し早い時間に目が覚めた。

 再度、焚火を起こすために眠たい目をこすりながらに近くの枝を手に取る。

 ふと、横を見ると寝袋に包まっていたアリスがいない。

 また朝早くに散歩しているのだと思い、特に何も違和感を感じなかった。

 俺は焚火を再度起こすと自身のマントに包まり、眠りに着いた。



 ーーどれくらい眠っただろう。

 時間の経過はわからないが目を覚ますと太陽は真上まで登っていた。

 寝すぎたせいで少し頭痛がする。

 なんだか身体が気だるい。昨夜の寒さのせいで風邪を引いてしまったのかもしれない。


 俺はぼんやりとした頭を目覚めさせるために水場に向かった。


 両手で水を持ち上げ顔を洗う。

 日は登り切ってしまっているとはいえ、山の中の水は冷たい。

 だが、何かが足りない。静かだ。


 ーーアンタ起きるの遅すぎんのよ!

 などと、アリスがそろそr…

 って、アリスの姿が見えない。

 俺は慌ててキャンプ地に戻ろうとする。アリスの姿を確認するためだ。


 だか、一歩踏み出した瞬間に何かにつまづいた。

 足元を見ると、そこにはよく見たことのある杖が落ちていた。

 杖の先端に金色の鷹が装飾されているのが一番の目印だ。

 これは、アリスのだ。本能的に俺はそう思った。

 そして次の瞬間に俺は気づいた。



「血……!?」



 よく見ると鷹の右翼の部分に赤黒い何かが付着しているのが見て取れた。

 既に凝固していたため、かなり時間がたったのだと思われる。


 アリスの身に何かが起こった。

 その事実だけで俺のココロから平穏が失われた。






 ーーアリス視点ーー


「んも゛ぅ!離しなさいよ!」

 そういいながらアタシは奴らを睨み付ける。


 危険度Eランク

 ゴルザップ兄弟

 悪魔のような顔をしているが、たいした身体能力はそれぞれにはない。

 ただ、この兄弟の恐ろしさはチームワークにある。

 子供を攫い、奴隷市に売り出すことを生業としている。

 兄のゴルザはメリケンを使い上半身に絶対の自信を持つ

 弟のザップは速度を重視することによって高速の移動を手に入れた。

 敵の注意を引きつけて兄のサポートをする。

 ギルドからの報酬金 1090ラルト


「ふひぃ、兄ィ!こんのガキかんわいいだなあ!」

 ザップはよだれを垂らしながら眼を細くしてアリスを見つめる。


「やめろザップ。商品だ。こいつの価値は高そうだ。400ラルトくらいで売れるだろう」


「私の価値がたったの400!?バカいってんじゃないわよ!最低でも100000よ!100000!」


「兄ィ!兄ィ!」


「ザップ、お前はこういう気の強いヤツが好みだったな。でも、手は出すな。お前が手を出したらお人形さんになっちまう。これ以上俺を疲れさせないでくれ」


「兄ィ!」


「ザップ、やめろ」

 そういってゴルザは強靭な右腕でザップを締め上げる。実に楽しそうにニヤつきながら。


 狂ってる。すぐにそう思った。アリスは死を覚悟した。

 攫われたときに殴られた左の頬が痛い。

 もしかしたら自分は相当ひどい顔をしているのではないだろうか。

 もしヤマダにあったら笑われちゃうわね…。

 アリスはその時なんでヤマダのことを思ったのか自分でもよくわからなかった。

 無意識に考えてしまったのかもしれない。もしかして心のどこかで期待してる?

 ううん。そんなことない。人に期待するのはもうやめたんだった。

 弱気になるのはやめよう。嫌なことを思い出してしまう。


 私は強くなるって決めたんでしょ……!!!

次の投稿は一日空いて10月1日の午前9時くらいになる予定です( ;∀;)

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