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記憶消失の俺が英雄になるまで  作者: 秋桜ノ樹
第一章「記憶をなくした少年とロリ魔法使い」
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第16話「隣にアリスのいる幸せ前編」

 

 なんだよこの見るからに気持ち悪い果実... ...。


「噂には聞いてたけどキッモいわね」

 アリスも俺と大差ない反応を示した。


 結構大変な思いをして手に入れたものは、

 腐りかけのトマトでした。

 なんてことになったら流石の俺でも泣く。


「そういえば、これが万能薬なのか?アリス」


「違うわ。アスラン草が万能薬になるには二年必要よ。討伐して得た果実を発芽させるの。発芽した種子が花を付ける前に抜くのよ」


 つまり、花を咲かせるために蓄えた栄養分が万能薬としての効果を発揮するということか。

 それにしても、発芽に二年ね... ...。

 かなり、長すぎる気がするけど万能薬と考えたらその希少価値は真っ当なのかもしれないと思った。


「よし、じゃあ目的のも手に入れたし、帰ろうぜアリス」


「はぁ?アンタバカぁ!?」

 アリス様はお怒りのようです。


「アンタ、今の戦いで何も思わなかったの?」


 俺はさっきの死闘(草刈り)について思い出してみる。

「うーん。必死だったから、何が何だか……」


「アタシは見たわよ」


「何を?」


「何でもかんでも、教えてあげるなんて思わないことね!

 聞いたら教えてくれるのは小学生までよ!」


「教えてくれてもいいじゃねえか!アリスのけーち!」


「何がケチよ!奴隷ヤマダの分際で生意気だわ!」

 アリスはプンスカと音が出そうなほどに俺を睨み付けている。


「それにこういうことは結局、経験するのが一番なのよ」



 ーーこのあと滅茶苦茶めちゃくちゃ戦闘した。



 幾度となく戦闘を繰り返した俺は持っていた袋に入りきらないほどの、

 腐ったトマトを詰め込んでいた。

 昨日の夜から何も食べてない俺はその腐ったトマトがどうにもおいしそうに見えた。

 お腹を下すのを覚悟でそれを食べようとしたらアリスに滅茶苦茶めちゃくちゃ怒られた。

「その果実は猛毒よ。食べたらたちまち全身の養分を吸い取られてしまうわよ」


「なにそれ怖すぎる」



 ーーー


 朝一から戦闘のぶっ続けは骨が折れた。

 アリスは俺が戦闘中に何か気づくだろうと思っていたのかもしれないが、

 実際には俺は何も気づくことはなく、成長といった成長は見受けられなかった。

 しかし、思い返してみると、

 アスラン草との初めの戦闘に一瞬だけ感じたあの爽快感……

 あれはなんだったのだろうか。


 俺の体力が切れたことによって本日は一旦キャンプ地点に戻ることになった。

 辺りは暗く、森の中は光が一層遮断され、闇が増強する。

 昨日と同じ場所、同じ時間帯なのにもかかわらず、なにか不気味めいた気配を感じる。

 アリスに伺ってみると、

「ふん、ヤマダってビビりね。火さえつけておけば獣は近付いてこないわよ」

 と、余裕の表情を見せる。 



 俺は不安になりながらも無理やりに眠りに着くことにした。





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