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記憶消失の俺が英雄になるまで  作者: 秋桜ノ樹
第一章「記憶をなくした少年とロリ魔法使い」
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第15話「この名言、本当にこのロリが考えてるのか?」

 

 本日の俺は昨日のこともあってか慎重に慎重を重ねた。

 草刈り(アスラン草の除去)に、こんなにも苦労するとは思ってはなかった。

 反省を踏まえアリスとは事前に打ち合わせをした。


「いい?魔物には大抵弱点があるわ。思い出して?私が悪鬼を倒した時のことを」

 ーー杖でタコ殴りしてた記憶しかない。

 とか言ったら殴られそうなので、それっぽいことを言ってみることにした。

「ココロだな」

 この意味ありげな言葉を良いように解釈してくれ。頼むぞアリス様。


「はぁ?」


 ダメでした。


「すいません、わかりません。わたくしヤマダは襲われた恐怖で戦いの現場を拝見することはできませんでした」


「ふ、ふん!なら、しょうがないわね!」

 よかった許してもらえたらしい。


「いい?魔物や現象には元となる部分があるわ」


「元?」


「そう、元よ。私が悪鬼と戦っていた時に私はアイツの弱点。腰を必要以上に攻撃していたでしょう?」

 アリス、ヨボヨボのじいさんの腰を集中打撃とか鬼畜でしかないな……。


「ヤマダ心の声が漏れてるわよ。仕方ないじゃない!あのジジイの弱点は腰なんだもの!」

 アリスはそういってぷいっとそっぽを向いてしまった。


「つまり、その元を破壊すればいいのか?」


「そうよ。冒険者たちはその元のことを『核』と呼んでいるわ。

 どんな事柄にも『核』は存在するわ。よぉく覚えておくのね」


「博識アリスさんマジパネェっす!」


「ただ、私からあなたに一つ言っておくことがあるわ」


「ん?」


「戦いにおいて絶対はない。自らに問いかけろってね」


「何その言葉。かっこいい!アリスさんマジかっこいい!」


「ふふん!」

 アリスは無い胸を張り、すごいでしょといわんばかりに腰に手を当てポーズを取る。




 アスラン平原にたどり着くと同時にソイツと対峙した。

 アスラン草はそのツタを自在に動かしながら俺に迫る。

 俺は観察眼を使いながらそれを回避する。

 観察眼で見てわかるのは、ヤツの核が地面の生え際にあるということだ。

 難しい……すぐにそう思った。昨日と同じで近付くことすらできない。

 アリスはというと、腕を組んで俺の戦いを静かに見守っている。

 最悪の場合になった時は助けてくれるだろうが、あくまで俺自身の戦闘馴れを目的としたクエストであるため、

 積極的には参入するつもりはないようだ。


「クッソ……どうすりゃいい。まともに近づけねえ」

 こんなときに遠距離攻撃(魔法)なんてあれば簡単なんだろうが、生憎俺は魔法を使えない。

 だから俺にできることはひとつ。


 がむしゃらに、



 突っ込むことだけだ!


 身体に受けるダメージなんて知った事かと言わんばかりに俺は地面をけって、

 アスラン草との距離を詰める。

 途中、アスラン草のツタが俺の身体に打撃を与えてくるが気にしない。

 めちゃくちゃ痛い。死ぬほど痛い。

 ただ、死んではいない。耐えれない攻撃ではないのだ。


 あと少し、あと少しで届くんだ。速く、もっと速くーー


 その時、自分の身体が一瞬軽くなるのを感じて敵との距離が一瞬で縮まった。

 何が起こったかは理解できなかったがこれが好機だといわんばかりに、俺はそこらへんに落ちていた木の枝を核に突き刺す。


 ピキッとした、たしかな手ごたえがあった。


 次の瞬間にはアスラン草は黒い霧に変わり霧散していった。

 後に残ったのは赤色に輝くブヨブヨとした果実だった。

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