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#367 閉館日


 翌日、語学研修所の前には俺含め、ニェーチとアルテリスの三人が立ち尽くしていた。

 というのも、目の前にある張り紙と閉じられたドアを見てのことだった。


  "Liaxu fqa lusven hankirlej. Fasripiet : finibaxli."


 珍しく同時に到着していた三人は、その張り紙を見てぽかーんと首をもたげていた。

 逆修飾になっている "hankirle" は良くわからないが、それ以外は分かるからほとんど意味は分かる。しかし、分からないのは今日まで休む報告が無かったことだ。

 いきなりの出来事に三人は戸惑うことしか出来なかった。


"Edixu vean lkurf fhasfa mels fqa?"

"Niv, mi senost niv ja."


 訝しむニェーチと、それに答えるアルテリス。その横で俺は色々と考え事をしていた。昨日の豊雨のストーキングに関係しているかもしれないということが一つ。先日の機密文書に関係して、何かが裏で起こっているというのが二つ。単純にヴェアンの体調不良というのが三つ。

 いずれにしても断定するには情報量が足りなかった。二人も何も訊いてない様子で、朝送ってくれた豊雨も何も言っていなかったのだ。


"Selene mi nun panqa co'c, nierchesti."


 ニェーチはケモミミを揺らして、首を傾げた。


"Harmie?"

"Edixu MLFF'd larta klie fal co'd duxienal?"

"Niv, niss klie niv ja. Harmie co nun la lex?"


 ニェーチの疑問に答えるべく、前々から起こっていることを一つ一つ説明する。彼女の横に居たアルテリスも聞きながら、怪訝そうな顔をしていた。


"Zu, nihon melses alcirtaiumu'c?"

"Jol e kantet niv la lex ja."

"Pa, miss io la lex klie niv ja."

"Alcirtaium kantet harmie?"

"La lex kantet ceceserss fua nisse'd lertasen tisoderl."

"Hm......"



 どうにも "alcirtaium" というのは「テロリスト」のような意味らしい。

 ともかくどうやら彼等のもとにはイプラジットリーヤたちは来なかったようだ。辞書も然りだが、一般的にはMLFFはやはりタカ派の集団として見られているらしい。


 情報を整理しよう。

 どうやら、ニェーチやアルテリスたちの在外公館にMLFFというかイプラジットリーヤたちはデモや嘆願をしていないということだろう。同時には出来ないだろうから、時期を開けてやる可能性はあるが、もしかしたらイプラジットリーヤは日本に狙いを定めているのかも知れない。

 もしそうだったら、あのテクストの内容に関わりがあるのかもしれない。

 そんなことを思いつつ、俺は張り紙を見上げていた。


* * *


 またもや、イレギュラーな帰宅になってしまった。

 賑やかな帰り道を歩くのは良いのだが、疑問は増えるばかりだ。一応、豊雨に連絡を入れたものの、彼女はやはり何も知らなかった様子で「また確認する」と言って切ってしまった。


 悶々としながら、帰る道中に見覚えのある人影があった。


 猫耳のようなケモミミが生えた女性、髪は煤けたような銀色で、理性的な顔立ち。そして、トレンチコートと赤色のネクタイ。

 そう、イプラジットリーヤ・アレス・レヴィアだ。両手には何かが大量に入ったビニール袋がある。彼女はすれ違いざまに俺を見つけると、微笑みながら近づいてきた。


"Salarua, liaxu co dosnud el sietival?"

"Ja, cun liaxa sysnulu'd ≪duxienerl≫ mol niv."


 イプラジットリーヤは納得したような様子で頷いた。


"Iprasitlirjasti, harmie co es e'i fal no?"

"Ar, edixu mi dosyt loler mors fua harder l'es rattemmess. Xel."


 彼女が持ち上げた片方のビニール袋の中には色々と食料品が入っている。もう片方にはどうやら衛生用品が入っているらしい。

 "harder" という良く分からない単語が聞こえたが、おそらくこれは「貧しい人」という意味の単語なのだろう。


"Lirs, cenesti, lecu co at klie mi'tj?"

"Co'tj...... harmue tydiest?"

"Ers miss celdinal ja."


 そういって、イプラジットリーヤは二つの袋を持ち直して、俺を通り過ぎていった。その背中を振り返ると、付いてこいという言葉が強く感じられた。彼女もまた一人のリーダー。リーダーたるに必要なカリスマは、語らずとも人に言葉を伝えることができるという力なのだろうか。

 逡巡したが、俺にも彼女に確認したいことがある。俺はそのあとを付いていくことにしたのだった。


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Co's fgirrg'i sulilo at alpileon veles la slaxers. Xace.
Fiteteselesal folx lecu isal nyey(小説家になろう 勝手にランキング)'l tysne!
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