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#248 光が来ないくらいで幽霊とか……


 シャリヤの語義説明から始まり、他の人たちも加わっていつの間にかこの学校の大掃除が始まっていた。シャリヤは壮年の教師がくれた臙脂色のエプロンを着て小ぼうきで埃を払いながら、書物を机にまとめている。一生懸命な姿は誰よりも可愛かった。

 この教室は砂埃が大分多いようでユフィアがその土埃をまとめて外に掃き出している。市民にあれほど信頼されている人物が報酬も顧みず掃除をしているというのは好感度が高い。インリニアも渋々障害物が退けられた窓の棧を古布で拭いていた。彼女だけは非常に面倒くさそうに掃除をしている。俺は教室の裏にある井戸から水を汲んで古布を洗い、絞って別の場所を拭いていた。


"Kafi'a niv molo las io niss lkurf nulter molo. Lkurfer la lex es mi le ydicelen ja?"

"Ar, ja......"


 不安定な返答にインリニアは少し不思議そうにしていたがすぐに仕事に戻ってしまった。

 返答が適当になってしまったのは彼女のリパライン語に良く分からない部分があったからだった。"ydicelen"は"ydicel"に形容詞語尾"-en"が付いたもので「恐れている、恐れやすい」のような意味を持つ形容詞であることが分かる。問題はその前だ。"es"を使ったSVCの構文であることは分かるが、主語と"es"の後に"mi"が来ている。分からない単語は"le"だ。これまでの勘に従えば副詞的な働きをする前置詞か何かなのだろうが、それではインリニアが自身のことを怖がりであると言っていることになる。すると、"le"は何か特別な意味を持っているのかも知れない。


"Inlini'asti, <le> es harmie?"


 だるそうな顔で掃除をするインリニアに近づいて問うと、彼女は手を止めて考えるような顔をし始めた。少し唸ると、苦笑しながら首を傾げる。


"<le> es diurntenen...... Cene niv co firlex la lexe'd plasio ja? Cene hame mi plasi la lex......"


 そうインリニアが言うと誰かが部屋に入ってきたのが視界の端に見えた。手を止めて考え込むインリニアと説明待ちの俺に近づいてきたのは書類を両手に一杯に持ったシャリヤだった。彼女は一旦書類を脇に置いて、インリニアの方に眉をひそめて目を向けた。


"Harmie co's nutineso'i nurna'c is?"

"Niv! Mi malfarno liaxu!"

"Harmie co malfarno?"

"Cen nun <le>'d kante. Mi malfarno mels plasiel la lex."


 インリニアは何か釈明している様子だった。文脈からして"malfarno"という単語は恐らく「悩む、考え込む」といったような意味なのだろう。シャリヤはそれを聞きながら何回かゆっくりと頷いていた。心なしか不機嫌そうな顔をしているような気がする。何が彼女を不機嫌にさせているのか良く分からない。もしかしたら、"fenxe baneart"の再来だろうか? 緊張に身構えるとシャリヤは俺の胸を人差し指を突いてきた。


"Cenesti!"

「はっ…… JA!"

"Lkurf mi'l mels lineparine'd nunerl plax cun fqa es movi."

"Harmie co lkurf liaxi, mianasti!?"


 シャリヤのお願いは十分理解できたが、"cun"以降の理由節の部分が良く理解できなかった。インリニアはシャリヤに"fqa"で扱われて憤慨しているのか、古布を置いて彼女を睨み始めた。シャリヤも負けじと睨み返している。完全な沈黙の中で二人の間には火花が散っていた。あまりにも健康に悪い静寂に居ても立っても居られずに俺は両者の間に入っていった。


"Ej, pusnist qasti...... Selene mi senost cossa'd qa'd nuno."

"Hnn...... firlex.......?"


 シャリヤは俺の顔をジロジロ見ながら、意地悪っぽく口角を上げた。


"Mal, Lecu rerx mels plasio, vaj inlini'asti! "

"Mi firlex! Edixa mi icve co'st svionerl!"


 説明の闘志を燃やす二人が俺を間に謎に意気投合していた。

 もしかして、「二人の説明が聞きたい」という言葉が彼女たちをヒートアップさせてしまったのかもしれない。


(これはありがたいと見るべきか、面倒なことになったと考えるべきか……)


 俺はため息を付いて近くにあったスツールを寄せて座り込む。シャリヤとインリニアを見ると二人共ともやる気満々の様子でこっちを見ていた。蒼と黒の瞳がうずうずしながらこちらを見ている。どうやら俺の選択を待っているらしかった。


"Mal, lecu plasi <le> fua mi. Fal panqa, xalija ler mi senost."


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Xace fua co'd la vxorlnajten!
Co's fgirrg'i sulilo at alpileon veles la slaxers. Xace.
Fiteteselesal folx lecu isal nyey(小説家になろう 勝手にランキング)'l tysne!
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