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#150 L'-


icve


【ft.i】s veles c'c celeso letixo i'it.

【ft.i】s veles celeso letixo arte'el'it.


:Mi icve dijyk.:


  大体分かる言葉で説明されていて良かった。どうやら、icveは「持たせられる」という意味らしい。sだの、cだの、iだのは、辞書に書かれる動詞の格組だった気がする。この場合、「sはcにiを持たせられる」という意味だろう。ここではiには"l'unses fgir"が入るはずだ。"fgir"は、ここでは落ちたペンを指していると思われるが、それでは"l'unses"とはなんだろう。


(あれ?)


 辞書から"l'unses"というスペルの並びの文字を見つけようと"l"の小口に爪を入れて、辞書を開いたが同じスペルの単語が出てこなかった。一番近い綴りの単語には"l'-"があった。こういうことは前にもあった気がする。"parcdirxel"を"parcdirx"と"-el"に間違えて分解してしまった逆で、分解すべきものをそのままで辞書で引いてしまっていたのだろう。


l'-


【krt.】Ers yveteerl <lex>'it.


:L'infend olfesyl veles pusnisto.:


 どうやら"lex"と関係があるようだ。わざわざ引用符を使って囲んであるということは省略だと思える。"l'unses"が"l'-"と"unses"に分解できて、前者が"lex"の省略ということになるのであれば、後ろに"fgir"という名詞が来ていることから、"unses"の性質が予想できる。

 "lex"の前に"la"が無いから、"lex"の第二用法【la lex】ではない。"eo"がついているわけでもないので、第三用法【eo lex】でもない。最後に残る第一用法【lex+動詞】、付いた単語"unses"の後ろに名詞が来ているということはこれに間違いない。つまり、"unses"は動詞ということになる。辞書でこの単語を調べたほうが良いだろう。


unses


【ft.i】s celes votyno i'st xeruku'ct.

【ft.s】s votyn xeruku'c.

【ft.i】s pusnist i. s ny infend i. s celes elx cene niv tydiesto i'c.


:Edixa fentexoler veles unseso yuesleone'l.:


(うーん……?)


 ついつい小声でも声に出てしまう。隣のクラスメイトが気になったのかこちらを一瞥するが、すぐに授業のノートを取るのに戻った。

 辞書の記述が少し多めだとやはり驚いてしまう。一体何日この言語をやっているのかというところはあるが、まだまだ翠のリパライン語レベルは低いままだ。面と向かって長文を読むこともままならない。だが、困難は分割せよと言うし、少しづつ見ていけば分かるだろうか。


 とりあえず、第一用法と第二用法はほぼ同じ構造だ。"celes"があるかないかの違いしか無いから、自動詞と他動詞の関係なのかもしれない。第三用法の記述は三つの文で構成されているが、「停止する」とか「止める」とか「入れないようにする」とか、言われてみれば共通感があるような意味だ。問題は第一・第二用法の語釈の"xeruk"がよくわからないというところだ。これも調べなければなるまい。


xeruk


【ftl.】Ers lains ol fhasfa le coy laval.


:Panqa es qa'd xeruk.:


 語釈は短いが、単語がまたよく分からない。ただ、隣のクラスメイトが"l'unses fgir"と言った文脈と"xeruk"の例文を見る限り、「下」という意味ではないだろうか。そこから考えると"unses"は「下に落とす、下に落ちる」という意味なのだろう。

 つまり、"icve l'unses fgir"は「下に落ちたそれを渡してくれ」という意図であっていたのだろう。落ちたペンを拾って渡せということ以外のことを言っていて勘違いしたなら、恥ずかしいことになっていただろう。最悪、"fenxe baneart"のようなことになっていたと思うと身が震える。あの悪夢は二度と見たくない。


 ああいったことを二度と繰り返さないためには、語彙力に加えて文化を理解することが必要だ。そのために物語を読めればいいが、また図書室に行って本を漁るべきなのだろう。

 そんなことを考えているうちに、教師は授業終了の合図に手を叩いた。授業に使うものが入っているのかバッグを持ち上げて、そそくさと教室から出ていこうとする。


"Alsasti, lusus lersse."


 辞書を引いていて、授業を全く聞いていなかったが無意味に授業を聞くより有意義な時間を過ごせただろう。隣のクラスメイトは怪訝な表情でこちらを見つめていたが、しばらくして疑問も忘れた様子で別のクラスメイトの元にいって歓談していた。

 現状気軽に話せるクラスメイトはインリニアくらいしか居ない。彼女が今日休んでしまったからに、翠はひとりぼっちで寂しく居座るしかなくなってしまった。今日、この授業後は授業一時限分の謎の休み時間があって、昼休みに食堂が開くまでは暇ということになっている。


(教室に居てもしょうがないし、図書室に行くか。)


 翠は立ち上がって、辞書と筆記具とノートだけを手にとった。教室から出ていく翠を呼び止めるクラスメイトも居なかったのがある意味気楽だった。

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