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#148 嫉妬じゃない


"Josxe niv cen fal fasta ti plax."


 アレス・シャリヤ――私は、確固たる意思で無人の教室に立っていた。目の前の黒髪ロングの()()()()()――カリアホ・スカルムレイをこの教室に呼び出したのは言っておくべきことがあったからであった。学校に来てから、数十分は空き時間が存在する。この間に、彼女に忠告しておくべきだと思った。何かの間違えが起こる前に。

 彼女は、私の言葉を聞いて困惑した表情で硬直している。多分、私が言ったことは理解出来ているのだろう。何を意図しているかはともかくとして、少なくとも言葉の意味は。


"Co'st molo es justadirten fal farfeler xale miss ti. Lirs, vytiet l'es lu jumili'a xici kantileche vaifiste'c fai derokramcolo co'it misse'ct."

"Pa, mi letix niv rattel fal fqiu unde lu......"


 ぽつぽつとラネーメともリナエストとも取れないような訛りのリパライン語が彼女の口から聞こえた。その表情は、本当に苦しいような感じであった。彼女は早くなっていく心臓の拍動を抑えるかのように、その胸に手を当てた。

 その外面にあるものを信じてはならないと思った。革命内戦が終わってからも深く心に残り続けているのは誰も本当のことを表には出さないということだ。反革命主義者であれ、人民の姉であれ、今の偽りの平和の中でさえ私達は政治に巻き込まれている。レトラのフィアンシャのシャーツニアーは政府軍の人間だった。イェスカは私と翠の関係を破壊しようとした。


 彼らの共通点は一つでしか無い。人間であるということだ。革命を受け入れるか、受け入れないかなどはもはや関係ない。荒れたこの世界でひたすら無力で危機に常に触れている私達こそ救われなければならない。

 翠は、私を守ってくれる。それなら、私も彼を守るために彼の知らない脅威を排除できるようにするべきだ。少なくとも、私から彼を奪おうとするような存在は彼には必要ない。あらゆる意味で、彼が安全で居るためには私の助けが必要なのだから。


"Co letix niv rattel mag co tisod ny la lex. Malefe'ct farfeler'it cilierko veles farmeso? Xel, mi m'olfes lu jumili'a xici, karx furnkieo sietival co'st."


 申し訳なさそうにしていたカリアホも、シャリヤの強い言い方に反感を覚えたのか少し顔をしかめた。


"Firlexain plax lu. Harmie es le jurlet faller cardeo co'st ad ple iccartelet lu."

"Cardeostipe?"


 違う、嫉妬なんかではない――そう否定しようとするも言葉を繰り返すことしか出来なかった。前から感じていたこの感情は、嫉妬だったのだろうか。カリアホと仲良く話している翠を見る度に、なんとも言えない感情が湧き上がるのは確かにそうだ。でも、今の話はそれとは関係ない。私は翠のためにシェルケンに狙われ続けている彼女を彼から遠ざけようとしただけだ。


"Co merli'e cardergol melx cene miss eo icve xelken ad hahulisntarlib fal unde mal......"


 長々とカリアホは話し始めようとしたが、その理想に満ちて現実から剥離したような話に自分の感情はついていくことが出来なかった。


"Co lkurf desvele fai firlexenerfergol lineparine'it. Cene 3'd kraxaiun leus qante xale ny la lex fal elx lkurfel plascekonj. Lern lerj cen."

"......"


 話し始めた言葉を遮られて、カリアホはすっと肩を落として疲れたような表情になった。その目は申し訳なさそうにシャリヤを見つめていた。


"Firlex, co lkurf li la lex mal mi zirl niv si fal fasta lu."

"Ers snylod dirawirngle tirja."


 "snylod"という言葉を聞いて、カリアホは何やら彼女の母語でぶつぶつと呟いていたが、やがてため息をついて肩を落として"feracis"と言って、とぼとぼと無人の教室から出ていこうとしていた。


 勝った――そういう感情が心の中に満ちていた。何に勝ったのかは、よく分からない。だが、本能的になにかに勝ったという感情が巡っていた。きっと、翠に降りかかる火の粉を振り払ったという意味での勝利なのだろう。この件で再び私達の間に危機が訪れることは無いだろう。

 シャリヤはふと、とぼとぼと出ていくカリアホの背中に何かを言いたくなった。


"Jei, Co'd icco io kertni'ar mol niv tirja lys?"

"...... Ja lu."


 カリアホは歩みを止め顔を向けずに答えた。


"Mi es kertni'ar mag taston zirl si mal ny knon kjilf la stis tirne?"

"......"


 カリアホは無言で教室を去っていった。その後姿に自分の勝利を更に強く確信した。

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Co's fgirrg'i sulilo at alpileon veles la slaxers. Xace.
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