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竜技の師と弟子  作者: 鷹城
第4章 封刃一族編
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第107話 始まりの炎


ーくそぉ!出ねぇ! 時炎怒ジエンドが……


火龍ひりゅうラヴァは必死になって炎の刃を生成しようとするが、先程のマッチの様な小さい火よりもさらにか弱くなりその手の火から出るのは砕かれた小さい石の瓦礫の様に赤く点々と爆ぜるだけだった。


「諦めが悪い奴だ、まだ闘う気力があるのか」


「……当たり前だ! 俺はまだ死んじゃいねぇ!」


「そうか……いいぞ、望み通り闘ってやろう……容赦はせん」


鋼拳龍こうけんりゅうレズァードは骨が砕けた拳を無理矢理握り室内に倒れ込むラヴァへと向ける。


ラヴァは何とか身動きを取ろうとするが疲弊した身体は思う様に動かず、その距離感は拳の間合いを外れていない。


突如鋭い音が聞こえた後、鈍い音が響いた。



「……アテネ!? 」


ラヴァの前に花斬竜かざんりゅうアテネが立ち塞がり、レズァードの拳を背中で受けた。


「何!? 貴様何のつもりだ?」


「うるさい……アタイの勝手だろう……」


そう言うと、アテネはラヴァの前に倒れる。



燃え盛る炎の音がラヴァの中で響いた。

湧き上がる感情。

火龍ひりゅう竜技りゅうぎの源。


怒りはついにラヴァに力を与える。


気付けばその手に生成されたあおい炎。


時炎怒ジエンドと比べればとても熱く。生身の人間の手が溶けてもおかしく無いほどの熱を持っている。


怒りを原動力にラヴァの身体は動いた……倒れた姿勢のままから右手を地面に叩きつけそれを重心にして身体全体を勢い良く起こしその手に握る蒼い炎の刃を素早く垂直に切り上げ、レズァードの顎を掠める。


「……燃えたのか」


レズァードは焼け焦げた煙の臭いで気付いた、掠めた蒼い炎が自身の立髪たてがみを焼き切ったのだと。


しかしその視線はラヴァから離さず片腕の拳を構え戦闘態勢を崩さない。



ラヴァはレズァードへと突進し両手に握った蒼炎の刃を携え左下から切り上げようとレズァードの懐へと動く。


レズァードの視界一杯に煌くあおい炎、触れれば焼け消し炭になる事は間違いなく見ればわかる。


ここに来てレズァードの身体能力は限界を超えた……刃の軌道を自身の身体をのけぞらせることでスレスレまで躱した、


そしてその反撃に足に力を込めて放つ竜技りゅうぎ



殴下龍(おうかりゅう)蹴撃しゅうげきをラヴァへと繰り出す。


鈍い音が響いた。


腹部へと受けたその鈍痛の一撃はラヴァを畳みの床へ叩きつける。


握る蒼い炎はレズァードに"きず"をつけられたのか蒼い鱗粉が舞い散る様に消えた。



レズァードは突如床をたたき足を踏み鳴らす。


「……何だ? 今のは一体!?」


レズァードは驚いた、使う気が無かったにも関わらず威信電震いしんでんしんを発動しようと体が動いていた。


「……!?」


驚く視線の先に立ち上がったラヴァがいた、身体は傷付き、自分よりも小さく満身創痍な赤い鱗を纏う獅子の龍。

あと1発攻撃を当てさえすればこちらの勝ちは間違いない。



火銀ビギン


その手に持つのは見たことの無い炎。


赤でもなく。


蒼でもなく。



銀色ぎんいろの炎。






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