プロローグ 終わりの見えない戦争
西暦2189年。
地球は、かつての青い惑星の面影を失いつつあった。
大気汚染と環境破壊によって居住可能エリアは縮小し、幾度もの軌道戦争で破壊された都市は、巨大な防護壁と自律型防衛システムに囲まれていた。かつて人類の希望を象徴した宇宙居住区も、いまや補給線を断たれた孤立都市へと変わりつつある。
第三軌道戦争。
その名は、地球と太陽系外縁部の宇宙空間で繰り広げられてきた三度目の戦争を意味していた。しかし、今回の敵は、特定の国家でも、反乱軍でもない。
人間の理解を超えた超知能生命体「VOID」である。
それは、太陽系外縁部から出現した「謎の生命体」であった。破壊されても周囲の機械を取り込み、あらゆる形に変化しながら、無差別な破壊活動を繰り返していた。
人類はこの異形の敵に対し、軍事、通信、物流、エネルギーを統合管理する超知能管理システム「NOUSIS」の防御システムで対抗していた。
NOUSISの判断は、人間よりも迅速かつ正確、常に合理的であった。
それによって救われた命も数え切れない。
しかしながら、VOIDは、常にNOUSISの予測を超えて破壊活動を拡大させ、その勢力範囲は地球圏まで伸びようとしていた。人類は、徐々にNOUSISへの信頼を失い、VOID攻略の糸口さえ見いだせずにいた。
そんな中、一人の少女が長い眠りから目覚めようとしていた。




