↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
513/604

143.取調室 2

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

林雨瞳(リン・ユートン)は、また別の種類の居心地の悪さを持つ相手だった。


彼女はチーム全員の中で、おそらく一番標準的で、一番書類に収まりやすい人間だ。名前、身分、入国時刻、車列の構成、到着順序、誰が最初に車を降りたか、誰が最初に院内に入ったか、何分に通報したか、何分に地方警察が到着したか——全部答えられる。しかも正確すぎて、突っ込む隙がない。


こういう人間は理論上、手続きが最も喜ぶ相手だ。


だが、ある程度を超えて正確になると、手続きの方も警戒し始める。


普通の旅行者は、そこまで細かく覚えていない。普通の目撃者は、自然に全ての時間を秒単位で刻まない。混乱した現場を序列に変換する訓練を受けていて、それが習慣になっている人間だけが、ああいう答え方をする。


「なぜそんなに細かく覚えているんだ?」取調官が訊いた。


林雨瞳(リン・ユートン)は彼を一瞥して、リストを提出するような顔で言った。


「記録していたから」


「いつから記録し始めた?」


「出発前から」


「なぜ?」


「任務に使うから」


「どんな任務だ?」


彼女は一秒止まった。どの言葉が一番手間を省けるか、測っているみたいに。


「越境調査任務」


この答えは規則違反ではない。だが向かいの人間をさらに居心地悪くさせた。普通の人間が事件に巻き込まれたときの答え方ではなく、規律のある組織の人間の答え方だからだ。


彼女の調書は、おそらくチーム全員の中で一番きれいに整っているはずだ。


だからこそ、整いすぎているせいで、ハビエルとルシアは後で必ず二度見する。


整いすぎること自体が、一つのシグナルだ。


---


葉綺安(イェ・キアン)の厄介さは答え方ではなく、手に持っている保温ボトルにあった。


建物に入った瞬間から、すでに誰かがそれを見ていた。個別の取調室に入れば、その視線はさらに露骨になる。外国人が荷物を持ってくるのも、宗教的な装飾品を持ってくるのも、書類を持ってくるのも受け入れられる。多少おかしな随身物品でさえ許容範囲だ。だが重大な殺人事件の現場に居合わせた人間が、最初から最後まで保温ボトルを赤ん坊のように抱えているのは、さすがに受け入れにくい。


「それは何だ?」取調官が訊いた。


「私物です」葉綺安(イェ・キアン)が答えた。


「机の上に置いてください」


彼女は置いた。ただし、手はあまり離さなかった。


「中に何が入っている?」


「収容用品です」


「何を収容している?」


「私的な収容用品です」


この答え方は相手を簡単に苛立たせる。


だが葉綺安(イェ・キアン)の表情は挑発的ではない。俺が引いた底線を、ただ真剣に守っていた。嘘はつかない、広げない。


「開けて確認させてもらえるか?」


「お勧めしません」


「理由は?」


「リスクが不明確なので」


「誰に対するリスクだ?」


葉綺安(イェ・キアン)は顔を上げて、相手を見て、正直に答えた。


「あなた方の方が大きいと思います」


この一言で部屋が静まった。


脅しているわけじゃない。あまりにも正直すぎて、むしろ手を伸ばし続けていいのかどうか、相手が判断できなくなった。


「昨夜、現場で何をしていた?」


「待機していました」


「なぜ待機が必要だったのか?」


「むやみに出してはいけないものがあるから」


この一言は、別の人間が言えば中二病みたいに聞こえる。


だが葉綺安(イェ・キアン)があまりにも平静に言うから、倉庫の管理規則を読み上げているみたいだった。


彼女の調書には最終的に、こう記されるだろう。


「協力的。ただし要再確認」


妥当だ。


彼女が言ったことは一言も嘘ではない。ただ誰も、完全に額面通りに受け取る勇気がなかった。


---


(シキ)の方は葉綺安(イェ・キアン)とほぼ同じだったが、もっと短く、もっと直接的だった。


何を訊かれても、答えた。


ただしどの答えも、手続きが一番居心地の悪い場所にぴったり収まった。


「名前は?」


答えた。


「役割は?」


「保管」


「何を保管している?」


保温ボトルを一瞥した。


「私物です」


「開けられるか?」


「本当にお勧めしません」


「なぜ?」


「面倒なことになる」


「どのくらい面倒だ?」


「知らない方がいい」


この一言は別の人間が言えば、もったいぶっているように聞こえる。


だが(シキ)の口調は、残業したくない人間が本気で「余計なことするな」と言っているみたいだった。そういう真剣さは、脅しよりずっと効く。


もう一つ、使える一言があった。


一通り回り道をして、なぜずっと抱えているのかと訊かれたとき、彼女はこう答えた。


「落として割ったら、私だけじゃ報告書が書けないから」


この一言は実用的すぎた。実用的すぎて、ルシアが調書を見たとき、一瞬止まるのが目に浮かぶ。


---


俺の番が来たとき、机の上にはすでに前の何人かの初期記録が並んでいた。


ルシアが向かいに座っていた。ハビエルは来なかった。つまり第一ラウンドは情報系統が先に人を見て、それからどの内容を国家警察の正式ファイルに回すかを決める段取りだ。賢い組み立てだ。普通の取調官があの前の調書を見たら、ただ荒唐無稽だと思うだけだろう。情報官はまず自分に問う。なぜこれだけの荒唐無稽が、一つのチームの中でこれほど安定して維持されているのか、と。


彼女は挨拶を無駄にしなかった。


「あなたのチームは、分けにくい」彼女は言った。


「分類表の作りが足りないんだ」俺は返した。


彼女はその言葉を拾わず、直接ページをめくった。


「修道院での最初の判断は何だった?」


「屠殺より先に、取得物があった」


「根拠は?」


「死亡時刻の層、死体の配置、資料室と地下室の優先度」


「あの修道院に何かあると、最初から知っていたのか?」


「人が休むための場所じゃないとは、最初から知っていた」


「誰に聞いた?」


「着いてから、死体に」


ルシアは俺を見た。これが煙に巻こうとしているのか、それとも最も率直な事実を述べているのかを、判断しようとしている目だ。両方だ。


「チームでの役割は?」


「現場判断」


「もっと具体的に」


「入ったあと、どこを先に見るか、どこで黙るか、誰をどこから引き上げるかを決める」


「どんな訓練を受けた?」


「生き残るための訓練だ」


彼女の表情が、初めてごくわずかに変わった。笑いかけて、笑うのが面倒になったような変化だ。


「いつもそういう答え方をするのか?」


「相手による」俺は言った。


「私に対しては?」


「まだ俺が真剣に答えたい部分を訊いていない」


少し賭けの一言だった。だが彼女は怒らなかった。


「わかった」彼女はペンを前に押し出した。「では真剣に訊く。スペインに来て、何を調べていた?」


部屋が二秒ほど静まった。


この質問が線だとわかっていた。


越えれば、後ろにあるものはスペインの殺人事件では済まなくなる。越えなければ、彼女は俺を帰さない。


だから半歩だけ踏み出した。


「まだ生きているはずのない古い線を、追っていた」俺は言った。


「どんな古い線だ?」


「今あなた方がまだ知らないなら、それだけ上手く隠れているということだ」


「修道院の件がその線と関係していると思うか?」


「関係しているんじゃない」俺は言った。「繋がった」


彼女の視線は動かなかった。だが記憶に入ったのはわかった。


「あなたのチームについて」彼女は言った。「自称五百九十六歳の吸血鬼、修道女としか言わない修道女、保温ボトルを開けようとしない二人の若い女、異端審問局の専任神父、チェコの時計職人、そしてあなた。スペインの国家システムに、どうやってあなた方を理解させるつもりだ?」


「それは俺の仕事じゃない」俺は言った。


「じゃあ誰の仕事だ?」


「あなた方の仕事だ」


彼女はしばらく黙って、手帳を閉じた。


「あなたは口がうまい」彼女は言った。


「うまい口は錆びない」


「火をつけるのに使いそうで心配だけど」


「それはあなた方が先に火種を持ってくるかどうかによる」


二秒ほど、互いに見合った。彼女はそれ以上追わなかった。第一ラウンドで俺をこじ開けようとしても、現実的じゃないとわかっているからだ。今一番有効なのは、俺にもっと喋らせることではなく、チーム全員の「異常の性質」を一枚の絵に組み上げて、どの部分が修道院と最も重なるかを見ることだ。


立ち上がる前に、彼女が一言付け加えた。


「あの『家族』というのは、本気か?」


俺は彼女を見た。


「あなたも差別しているのか?」


彼女は初めて本当に笑った。一瞬だけ。


「出て行って」彼女は言った。


---


全員の第一ラウンドが終わった頃には、外の空は灰白から本物の白へ変わっていた。


最初の大会議室に戻ると、中の人数はずいぶん減っていた。地方警察はほぼ全員引き上げ、引き継ぎに必要な二人だけが残っている。老神父とマルタはまだそこにいて、顔色は二人とも悪い。机の上には新しい調書が何束か積まれ、すでに冷めたコーヒーが二杯置かれていた。これが意味することは一つ——


訊問する側も、疲れた。


ハビエルはスクリーンの前に立ち、手に数枚の摘要を持っていた。ルシアは机の端に寄りかかり、その中の一枚を読んでいる。二人はすぐには話さなかった。俺が入った瞬間、この二人がすでに同じ結論に達しているのがわかった。


この案件が格上げされたのは、山の上の死体のせいだけじゃない。


俺たちのチームが、普通の殺人事件の手続きでは飲み込めないものだからでもある。


ハビエルが先に口を開いた。会議室に最初に入ってきたときより、口調が一段硬い。


「今この時点から」彼は言った。「修道院の案件は正式に、国家レベルの特殊事件処置として登録する。現場は鑑識が回収を継続、地方の手続きは外周の補佐のみ残す。全員の調書は一般の轄区には流さない。国家機関に一括封存する」


老神父が顔を上げ、顔が白くなった。「これはもう地方教区では——」


「そうだ」ハビエルは遮った。「もうそういう話じゃない」


ルシアが調書の一枚を置き、指先で紙面を一度叩いた。


「現時点で、少なくとも三つのことが確認できる」彼女は言った。


「一つ目、修道院の案件は単純な虐殺ではなく、明確な回収目的を持った掃除作業だ。二つ目、事情を知っている者は山の上だけにいるわけではない。三つ目、ここに座っている全員が、犯人かどうかにかかわらず、もはや普通の関係者として扱える段階を超えている」


誰も何も言わなかった。


この言葉だけで、十分に完結していたからだ。


国家の機械は一晩中、同じことをし続けていた——


俺たちを、元の分類表に押し込もうとしていた。


だが最後まで訊き続けた結果、自分たちの方が先に認めた。押し込めない、と。


それでいい。


この瞬間から、本当の手続きが始まる。


誰が刃物を持っていたか、誰が先に扉を開けたか、誰が血を踏んだか、ではない。


あの山の中に、もともと何が封じられていたのか。そして、なぜ誰かが修道院全体を一具の死体に変えてまで、それを持ち去る必要があったのか——


そこが問いになる。

「とても面白い」★四つか五つを押してね!


「普通かなぁ?」★三つを押してね!


「あまりかな?」★一つか二つを押してね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。