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43.保証人 43-1

この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・名称等は一切関係ありません。

「断る」


この言葉は条件反射のように飛び出した。勇気があったからではない。同じ日に二度、ペレシュ城に自分を送り込むほど生き飽きてはいないからだ。


ミルチャは俺を見た。期限切れだが、それでもハンコを押さなければならない公文書を見るような目だった。


「拒否していただいて構いません、(ジョウ・シーダー)さん」彼は言った。「ただし、結果はそれで消えるわけではない」


「その台詞、お前ら官僚は全員同じ教科書で暗記してるのか?」


「そうかもしれません」彼は静かに言った。「ただ、たいてい効果があります」


もう二言三言罵り返そうとした瞬間、廊下から遠慮のない足音が近づいてきた。ホテルのスタッフでもなく、外交官のようにカーペットを汚すまいとする歩き方でもない。靴のヒールが床を踏むたびに、棺桶に釘を打ち込むような音がした。


女性将校が振り返った。


ドアが開いた。外の冷気と火薬の匂いが一緒に流れ込んだ。


入ってきたのは、狼の牙のピアスをした女だった。


イリーナだ。


昨夜の山腹で、グレゴールの遺体の傍らに立ち、息をするものすべてに銃口を向けそうな目をしていた女。今日は濃いグレーの防寒ジャケットに着替え、背中には分解した長銃のバッグを背負い、腰の両脇に刃物を二本下げていた。明らかに一睡もしていないが、昨夜より体が冷えていた。


入室するなり、まず俺を見て、次にエリザヴェータを見て、最後にミルチャを見た。


「反対する」彼女はルーマニア語で言った。言葉を噛み砕くような発音だった。それからすぐに英語に切り替えた。「だが反対しても無駄なのはわかってる。だからお前らがどうやって事態をさらに悪化させるか、先に見に来た」


(シキ)が俺の後ろで小声で言った。「あ、狼が来た」


葉綺安(イェ・キアン)は何も言わなかった。ただ胸の前で組んでいた腕を下ろし、いつでもテーブルをひっくり返せる状態になった。


ミルチャはイリーナに頷いた。


「L.U.P.の代表として来たのか?」


「今日まだ話し合う気がある半分の代表として」彼女は言った。「もう半分は、ここを燃やして、あいつの首を修道院の門に打ち付けろと言ってる」


最後の一言は、エリザヴェータを見ながら言った。


エリザヴェータはソファに座ったまま、姿勢一つ変えず、ただちらと彼女を一瞥した。


「そなたら人間は数十年おきに似たようなことを言う」彼女は言った。「大抵、自分で恥をかいて終わるがのう」


イリーナの右手の指の関節が、わずかに動いた。


刃物を抜きたいのが見えた。


抜けば次の遺体になるとも、わかっていた。


だから堪えた。


その我慢の方が、抜くよりずっと見苦しかった。


「グレゴールは死んだ」彼女は言った。


誰も返さなかった。


この言葉はそれだけで十分重い。こだまは要らない。


イリーナは俺を見据えた。


「あいつがお前を山に連れていった」


「わかってる」


「あいつが最初にお前を信じた」


「わかってる」


「それでお前は、あいつを殺したものを街に連れ帰った」


この言葉がついに、俺の顔に叩きつけられた。


すぐには返せなかった。こういうことは道理で語っても意味がない。感情で語ればさらに意味がない。グレゴールは死ぬのが早すぎた。遺言を残す間もなかった。彼の死は今、この場にいる全員の喉に刺さった魚の骨だ。飲み込めない者から順に、まだ生きている隣の人間を責め始める。


俺は外套のポケットに手を突っ込んだ。昨日捨てそびれた狼の紋章が指に触れた。


グレゴールがくれたものだ。


縁にまだ少し血がついていた。


「殺しに来たなら」俺は言った。「今夜が終わってからにしてくれ。今は俺に背負わせる借りをもう少し増やしておいた方が、お前にとっても割がいい」


イリーナは二秒ほど俺を見つめた。意外にも顔色は変えず、ただ冷たく笑った。


「そんなクズが、まともな人間より俺たちの酒場に向いてることがある」


「ありがとう、褒め言葉に聞こえる」


「違う」


「わかってる」


---


ミルチャは両者が取っ組み合いにならないのを確認してから、話を引き戻した。


「よろしい。L.U.P.の代表も揃ったところで、もう一度説明する。今夜、ペレシュ城の中枢区域への進入手続きを再開する」


イリーナが眉をひそめた。


「正気か?」


「今日これで二度目です」ミルチャは言った。「午後までに十回を超えないことを祈っています」


イリーナは彼を無視して、ただ聞いた。「なぜ今夜でなければならない?」


「C.U.I.B.は今日の昼間に必ず移送を行う」ミルチャは言った。「昨夜、山が暴露された。一晩時間を与えれば、地下施設、残留データ、生体サンプル、火力拠点——全部消える。そうなれば狼の集団は追跡を続け、四か国は各自動き始め、黒海のあの船はさらに多くのものを引き込んでくる。もはや猟団でも政府でも連絡官でも押さえられる問題ではなくなる。国境線そのものが腐り始める」


日本代表がようやく口を開いた。


「つまり、混成部隊が必要だと」


「必要というより」ミルチャは言った。「すでに決定事項です」


アメリカ代表の顔が即座に曇った。


"You cannot unilaterally decide operational terms involving four foreign governments——"


「できます」ミルチャは彼を見た。「少なくともこの山においては」


ロシア人は鼻を鳴らした。不服そうだったが、反論はしなかった。


トルコ人は胸元の護符に手を当て、今夜山に入るなら何の祈祷文を持っていけば死なずに済むかを計算しているようだった。


俺はバーカウンターにもたれ、幽霊より官僚に近いルーマニア人の周りで言い争う人間たちを眺めながら、自分が高級葬儀社の事前打ち合わせに迷い込んだような気分になった。


しかも俺が、祭壇の上の供え物だ。


ミルチャはテーブルの上の資料を中央に押し出した。


「規則は単純です。四か国は各一名のオブザーバーを出す。観察、記録、報告のみ。単独での採取、単独での接触、単独での拘束行動は一切禁止。L.U.P.から一名が同行。(ジョウ・シーダー)さんが殿下の臨時担保人および接触窓口を務める。殿下は——」


エリザヴェータを見た。口調は相変わらず丁寧だったが、その丁寧さの奥に歯を食いしばる気配があった。


「——殿下は自由意志により同行し、拘束は受けない。ただし中枢区域に入った後は、隊員に対する積極的な捕食行為を行わないこと」


(シキ)が傍らでぷっと吹き出した。


「それ、わざわざ明文化しないといけないの」


「我が国の経験では」東方正教会の神父がようやく口を開いた。「明記しなければ、後になって自分はそうしていいと思っていたと言い出す者が必ず出ます」


エリザヴェータがゆっくりと目を上げた。


「この神父は気に入った」


神父は頭を下げた。「光栄ですが、殿下が今夜、私の血液型を覚えないでいただければ、なお幸いです」


部屋が半秒、静まった。


それから(シキ)が本当に笑い出した。


俺もほとんどこらえきれなかった。


この老神父、なかなかやる。


---


イリーナは笑わなかった。その規則を見て、ただ一言聞いた。


「なぜこいつなんだ?」


俺を指していた。


ミルチャは静かに答えた。「殿下が今のところ、彼についていく意志を示しているからです」


「それはこいつに資格があるという意味じゃない」


「その点は同意します」ミルチャは言った。「ただ今は、最善の人選を探す状況ではない」


俺はミルチャを見た。


「その台詞、俺の目の前で言わなくていい」


「あなたは正直さを好むと思っていました」


「他人に正直にしてもらうのは好きだがな」


エリザヴェータがソファでかすかに笑った。


今日は機嫌がいいらしい。それはここにいる全員にとって、何一つ良い知らせではなかった。


ミルチャは女性将校に目配せし、別の書類を取り出させた。協定書ではない。どちらかといえば、あらゆる責任を事前に押しつけるための死亡念書に近いものだった。


書類が俺の前に滑らされた。


タイトルの半分は読めなかったが、英語は生きているのでキーワードは拾えた。


Temporary Civil-Security Custodial Liaison Special Responsibility Clause Voluntary Contact Guarantor


俺はミルチャを見上げた。


「名前からして罠の匂いがする」


「これでもマイルドにした方です」彼は言った。


「マイルドじゃない版は?」


「殿下が制御不能になった場合、あなたが最初に前に出る」


部屋が静まった。


「……最初からそう言えばよかっただろ、クソが」


ミルチャは頷いた。


「その通りです。意味はそういうことです」


俺はその書類を見つめ、ようやく彼らの言う「担保人」の定義を理解した。


お前が大切だからではない。


お前が先に死ぬのに最も適しているからだ。


(シキ)がすかさず前に出た。


「サインしちゃダメ」


葉綺安(イェ・キアン)も続いて、書類に手を置いた。


「これは担保じゃない。棺桶の前に人を縛りつけることよ」


アメリカ代表が眉をひそめて口を開こうとしたが、イリーナの方が早かった。


「サインさせろ」


部屋の全員が彼女を見た。


イリーナの表情は氷のようだった。


「グレゴールが死ぬ前にこいつを山に連れていった。それはタダじゃない。狼はタダ働きしない」彼女は俺を見据えた。「借りを背負いたいと言ったな?いいだろう。今、帳簿が来た」


俺はすぐには返さなかった。


彼女が本気だとわかったからだ。


そして、正しかった。


グレゴールはガイドでも乳母でも、慈善好きの老猟師でもない。彼が俺を山に連れていったのは、飛龍号から這い戻ってきたこの厄介者が、何かの結節点を開く鍵になるかもしれないと踏んだからだ。今、彼は死んだ。その線は俺の手に落ちた。


知らないふりもできる。


だが知らないふりをすれば、他の誰かも道連れにする。


林雨瞳(リン・ユートン)が突然口を開いた。


周士達(ジョウ・シーダー)


俺は振り返った。


彼女は壁にもたれ、顔色はまだ少し白かったが、目だけが異様に光っていた。熱ではない。あの目が、俺には見えない汚いものをまた見ている時の光だ。


「サインした方がいい」彼女は言った。


「お前までそっちか」


「死にに行けと言ってるんじゃない」彼女は眉をひそめた。「あの城の地下で何かが動いてる。今朝からずっと。昨夜みたいな散発的な死気じゃない。地面の塊ごと上にひっくり返ってくるような感覚。あなたが行かなければ、今夜は別の何かが先に出てくる」


胸の底が沈んだ。


彼女は普段、口が悪い。だがこういうことで冗談を言う人間ではない。


エリザヴェータがそこで口を挟んだ。


「その通りじゃ」


俺は彼女を見た。


「またお前も知ってたのか?」


「元より、あの場所は一層だけではないからのう」彼女は淡々と言った。「そなたらが昨夜やり合っていたのは、玄関先に過ぎぬ」


この一言で、部屋の何人かの顔色が変わった。


ミルチャも含めて。


それまで官僚的な安定を保っていた彼の目が、初めて本当に沈んだ。


「殿下、中枢区域の下にまだ未処理の空間があると?」


「あの城が夜間、妾の小さな離宮に過ぎないと思っているだけで、もう随分と牧歌的じゃ」彼女は言った。「あそこは多くの者に手を貸されてきた。貴族、修道士、軍人、錬金術師、ワイスマンの残党、そなたらの国で長生きを望んだ豚ども。皆が少しずつ下を掘り、少しずつ隠し、少しずつ残していった。綺麗なケーキの下に死体を埋めるようにな」


(シキ)が舌打ちした。


「最悪な例え」


「真実はたいてい不味いものじゃ」エリザヴェータは言った。


ミルチャは数秒黙った。頭の中でいくつかの情報線を繋ぎ直しているようだった。それから俺を見た。


(ジョウ・シーダー)さん、今度こそわかりましたね。なぜあなたでなければならないか」


「わかったのは、昨夜より事態がずっと気持ち悪いということだけだ」


「それと矛盾しません」


俺はテーブルの上の書類を見た。折って紙飛行機にして彼の目に突き刺してやりたかった。


それでも俺はペンを取った。


葉綺安(イェ・キアン)が即座に俺の手首を掴んだ。


周士達(ジョウ・シーダー)


フルネームで呼ぶ時は、大抵ろくなことがない。


俺は彼女を見た。


目は冷たく、声はさらに低く抑えられていた。


「サインするのは勝手よ」彼女は言った。「でも先に言っておく。これはあなた一人のヒーロー病じゃない。あなたがサインするなら、今夜私も山に上る」


まだ俺が返す前に、(シキ)が横から言った。「私も行く。『危ないからお前らは外で待ってろ』みたいな白々しい台詞で吐き気を催させないでよ」


林雨瞳(リン・ユートン)は外套のポケットに手を突っ込み、淡々と言った。「私が上がらないわけないでしょ」


俺は三人を見渡して、頭痛がさらに一段階悪化するのを感じた。


「たまには普通のチームみたいに、一人で苦難を背負わせてくれないか?」


「無理」葉綺安(イェ・キアン)は言った。


「あんた一人だと絶対やらかすし」(シキ)は言った。


「それに、サインが汚い」林雨瞳(リン・ユートン)は言った。


「字と何の関係があるんだ」


「短命相に見える」


「ふざけんな」


イリーナは傍らでこの一幕を見ていた。その目に、初めてかすかな困惑のような色が浮かんだ。死地に向かう前に、市場のオバチャンのように互いを刺し合える人間たちを、彼女はおそらくこれまで見たことがなかったのだろう。


彼女が最後に言ったのは、たった一言だけだった。


「あなたたち東洋人は、本当に騒がしいわね」


(シキ)がすかさず言い返す。


「じゃあ覚えなきゃよかったじゃん」


「これしか知らないの」


「そのわりには上手じゃないか」


俺はもうその会話に付き合う気力もなく、うつむいて書類に名前を書き入れた。


サインを終えた瞬間——奇妙な感覚が指先を這い上がってきた。


俺が書類にサインしてるって感じじゃない。

ずっと昔から俺に憑き纏っていたクソみたいな悪運が、今日という日にようやく合法的な申請書を見つけて、俺という存在を正式にエントリーしてきた——そんな不気味な重み。


ミルチャは書類を回収した。死亡診断書でも片付けるような、淀みのない手つきで。


「結構」と彼は言った。「これより、作戦名義を正式に発足とする」


「その言い方も、人が死ぬフラグにしか聞こえねえな」と俺は言った。


「たいていはそうだ」と彼は答えた。

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