開幕
戦後のことも考えつつ、艦隊はまず帝国本星の目であるところの巨大レーダーサイト近海へ到着。
旗艦からの暗号通信は『全艦半身航行、攻撃準備』ときた。
乙姫が半身浮上し艦橋と主砲だけを露出したところ、さすが巨大レーダー。
どうやら見つかってしまったようだ。
敵の警報、緊急伝が飛び交ったようだ。
しかしジョー司令官は慌てることなく『攻撃始メ』の号令をかける。
藤姫綾姫の主砲はレーダーサイトそのものへ、乙姫桜姫の攻撃は周辺の対艦射撃設備へと向けられた。
回転力のある潜水艦隊の攻撃だ。
勝負は呆気なくついた。
「本番はこれからだぞ」
綾姫からの通信だ。
おっしゃる通り。
レーダーサイトが発した警報により、軽量快速の水雷戦隊が押し寄せてきているのだ。
『艦隊おもかじ三○度』
主砲はすべて左へむけられる。
十分間だけ敵の目を引きつけよ。
ジョー司令官の言葉だ。
その間に味方の爆撃機、雷撃機が敵の本拠地に攻撃を仕掛けるというのだ。
そして味方の水雷戦隊も僕たちの応援に駆けつけるという。
「間もなく敵水雷戦隊が射程に入ります」
戦闘情報局、コンバットインフォメーションセンターからの報告だ。
すでに対艦戦闘用意はできている。
しかもこちらは横向き、すべての砲を敵に向けている。
敵は正面を向いた主砲しか使えない。
理想的な丁字陣形だ。
「藤姫、撃ったーーっ!」
「潜水艦乙姫、撃ち方はじめーーっ!」
乙姫の号令ひとつ。こちらも砲撃を開始する。
敵艦は海域護衛の小型艦ばかりだ。特別なことをしなくても一撃で火を吹いてくれる。
あとは六十からいる敵を、いかにして効率よく片付けるかだ。
しかしいくら撃っても敵の数が減らない。
それどころか逆に六十が七十、七十が八十とどんどん増えてくる。
「これが帝国の物量ってやつだ! 油断してっと食われるぞ!」
なるほどそういうものか。
などと納得している場合ではない。
敵は次から次へと押し寄せてくる。
そのことごとくを討ち取らなくてはならないのだ。
航空戦力同様、うちもらしがゆるされない。
それなのにレーダー班は嫌なことを告げてくれる。
「艦長、敵機多数襲来です!」
いくら乙姫型潜水艦が一秒に一発撃てるとしても、これは敵の数が多過ぎる。
「う〜〜ん……こつぁ分が悪いかな?」
「のんきなこと言わないでください、ジョー司令官!」
しかし、こういうときに現れるのが味方であった。
敵の艦艇が沈められる。
猛然と火を吹いて破壊される。
「そら見ろ、味方艦隊の到着だ!」
「おう、無事だったかい。シドウの親父!」
「にくいところで現れるな、コンチキショウ! 助かったぜ!」
「なに、敵の数からすりゃあ少し早めに応援に入った方がいいと思ってな。とりあえず親父、航空部隊をなんとかしてくれや」
「おう、乙姫桜姫。お前らハエたたき得意だったろ? 一丁揉んでやれや!」
「よしきたガッテンだ!」
射程距離に入るなり、桜姫の主砲が火を吹いた。
乙姫も負けずに航空戦力を叩きのめす。
味方水雷戦隊が敵の艦船に猛烈な攻撃をしかけていた。
状況はこちらに傾いた。
味方航空戦力も、僕たちを迂回して敵拠点をめざしてゆく。




