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6.エピローグ

 魔王が封印されてから数年後。魔王を封印した魔術師の元へ、魔術に優れた者が集まり小さな村ができた。

 ──というのは世間の目をごまかす為であって、実際は魔王(お父様)の元へ魔族が集まって小さな村ができたのだけどね。

 最初の頃、魔族の人々は人間の私がいることに警戒していたけれど、お父様が私のことを説明してくれたお陰ですぐに警戒を解いてくれた。

 そして今の私は人生初の友人ができ、これまで経験することができなかった楽しい毎日を送っている。


 そんなある日、村の出入り口付近に小さな人だかりができていた。そういえば最近、人間側に「魔王を封印した魔術師に村へ入ることを認められれば、魔術師から高度な魔術を学べる」という勝手な噂が広がって魔術を学びたいという人間が現れるようになったのよね。

 忙しいお父様の手を(わずら)わせたくないからここは魔王を封印した魔術師の娘という立場の私が「お父様は不在です」と言ってお断りしよう。


「ちょっと通して下さる?」


 人だかりに声をかけるとみんなが道を開けてくれた。開けてくれた道の先には、服があちこち擦り切れてズタボロな姿をした30代(なか)ばくらいの男性がいた。

 とりあえず見た感じ、意外にも怪我をしている様子はないみたいね。それにしても何者かしら? 見た目からして魔術師には見えないし、旅人にしては武器や食料を持っているようには見えないし……というか何も持っていないんじゃない?


「やぁ、お嬢さん。ボクは勇者。魔王を封印してこの国のお姫様を助けるために魔王城を目指して旅をしているところなんだ。だけど今、武器や食料など旅に必要なものを全てなくしてしまってね」


 何者か推測していると、ズタボロ男は頭の後ろをかきながら自己紹介とともにとんでもない単語を発してきた。あぁ……、この人があのヘボ過ぎてお父様が手助けをしていたというヘボ勇者なのね……そういえば自己紹介されるまで勇者の存在をすっかり忘れていたわ。

 というか相変わらずヘボいままだし、そもそも「魔王は封印された」という誰もが知っているはずの情報を知らずに今も旅をしているなんてどういうことよ! 旅をするのならちゃんと情報収集をしないとダメでしょうが!

 とりあえず魔王城ではないにしても、魔王(お父様)の元へ今になって現れたヘボ勇者に、私は心の中で乾いた拍手を送りながら深いため息をついた。

最後まで読んで下さりありがとうございました!

誤字脱字などありましたら教えて下さると嬉しいです。

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