「僕の名前はラブレター」
僕の名前はラブレター。といっても、もちろん本名じゃない。他人の恋の橋渡しをするのが趣味なので、ちょっと気取ってそう名乗っているだけなんだけどね。
僕には「他人の好きな人がわかる」という、ちょっと変わった能力があって、よく目の前にいる人が想っている人の顔が、ぼんやり僕の頭に浮かんでくる。大抵の場合、それがどこの誰なのかもわからないのだけれど、まぁ、学生なんかをやっていると当然想い人も同じ学校の人間であることが多い。相手の想い人も見に行って、両思いだとわかったら僕の出番だ。それぞれの机なりに、こっそりと「放課後、屋上で待っています」という手紙を入れておくと、お互いに気になっている同士うまくいっちゃうことが多いのだ。今のとこ成功率は七割くらい。
今日も給水塔の影からうまくいったことを確認して心の中でガッツポーズを決めていると、頭上からパチパチと手を叩く音がして、見上げると白い少女が給水塔の上に腰掛けて、足をぶらぶらとさせていた。
「縁結び百組成立おめでとう! ご褒美あげちゃうよ」
「君、だれ?」と声をかけると、
「あたしゃ神様ですよー。全知全能なので君が望むこともわかってるんだよねー」
と言って、自称神様はポケットから粘土で出来た人型を取り出し、鼻のあたりからふう、と息を吹き込んだ。見る間に粘土の人型が膨れ上がり、肌色の少女になり、そのまま僕の上に落ちてくる。「わぁ!」両手で受け止めると、粘土から生まれた全裸の少女は僕の腕の中で、「ん」と小さく息を吐いた。
「君が望んだ、君の恋人。あ、中身は別売りだから、悪しからずご了承ください。じゃねー」
そう言って自称神様は「ばはは~い」と小さく手を振って消えた。
少女の顔に、「二百組達成でお好みの魂いれちゃうよ。by神様」って書いてあった。
「わけがわかんないよ……」はだかの少女を抱きかかえたまま、僕はため息をついた。
【少女】【ラブレター】【放課後】のお題で書かれました。
わりと意味不明です。