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第五章 十五 人太現る
流都と留樹緒はカエルを佐村先生に預かってもらったので安心していた。
職員室を離れ、下駄箱に向かっていた。終始和やかだった。
「おい!」
このひと言が暗転に変化した。目の前に人太が仁王立ちしていたのだ。
「あ、あの……えっ……」
留樹緒は動揺して、しどろもどろだ。
「カエルはどこだ!」
人太は留樹緒に詰め寄った。鬼のような形相で見つめられ、身動きさえ出来ない。
「ないよ」
と、流都が小さな声で言った。人太の威圧に中学生でも屈していた。
「何だ!」
人太は流都に視線を変えた。
「そ、その……」
流都さえもお手上げだ。
「さては学校内に隠したな!」
「……」
留樹緒は何も言わなかった。
人太は靴を脱いだ。教室をさがすようだ。
「こ、ここにはないよ」
留樹緒は咄嗟に人太を教室に向かわせないように腕を掴んだ。
「教室にあるな」
人太は校内ある事を確信した。留樹緒の手をはね除けた。
どうする事も出来ないのか。
流都も呆然として見ているだけだった。




