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作戦決行

 まずは簡易爆弾を作るところから始まる

 革袋に火薬を詰め、ロープをほぐして出来た細い繊維を差し込む

 革袋の紐を締め、緩まないように結んだら完成


ダンテ

「…結構火薬を詰めるんだな」


ジン

「これだけ詰めれば、多分結構な音が発生するだろ」


ニャック

「多分かよ!」


 …心配も残るが、次の段階に入る

 まずはニャックが簡易爆弾の導火線に火を付ける

 …え?と思った人は多いだろう、まあ正常な判断だ、まだこの作戦の目玉である【ウィンドボイス】を使っていないのだから

 しかし、それはまだ早い

 特別に【ウィンドボイス】の説明をしよう

 【ウィンドボイス】は、簡潔にまとめると電話のような呪文だ

 相手側の音を聞くことができるし、こちら側の音を届けることができる

 さてここで問題だ

 ある部屋に屋外から電話をかけるとして、そこには電話の内容以外でどんな音が伝わる?

 …風によるノイズ…地面の振動…人々の話し声…様々だ

 刑事ドラマなどで、携帯を通話中にしたまま外部に情報を送る人質がいるが、あれはフィクションの話だ(まあこれもフィクションだけど)

 そして敵は10人以上、誰か1人にでも異変に気付かれたらアウトだ

 よって、【ウィンドボイス】をかけてから爆弾が爆発するまでの時間は短い方がいいのである


ニャック

「着火したっちゃしたが…

 本当に爆発すんのか?」


ジン

「ん?なんか言ったか?」


ニャック

「いえ何も」


 導火線代わりのロープ繊維が、ゆっくりと長さを縮めていく

 一同は耳栓を付け、爆発に備える

 爆弾に一番近い場所に居るのはジンで、爆弾から5mの位置にいる

 これは【ウィンドボイス】の効果範囲内に爆発音を入れる為であり、危険なものに近づきたがる子供の心理からではない


ジン

「もうすぐ爆発だな」


ニャック

「なんて?」


ジン

「…あと少し」


ニャック

「なんて?」


ジン

「…もう少し」


ニャック

「なんて?」


ジン

「…今だ!【ウィンドボイス】!」


 ジンが呪文を唱えた次の瞬間、森を震わすほどの轟音が響いた

 木々に実った果実は一斉に地に落ち、森の動物たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ惑い、地面が大きく揺れる

 耳栓を付けている彼らにも、この爆発音が聞こえる程の音量だ


ニャック

「こんな大音量になるなんて聞いてないぞ!」


ジン

「ここまでとは予想外だ!」


ユリーシャ

「雑貨屋さんが売っていたこの火薬が良いものだったのでしょうか!」


サクラ

「上質な火薬でも湿気には弱いです!

 保存状態も良好だったのでしょう!」


ルシア

「耳栓越しでもすごい音だったわよ!」


ノア

「…うにゅ?

 みんな…どうしたの…?」


ダンテ

「ノアはやっと起きたようだな!」


ニャック

「ってかみんな五月蝿(うるせ)えよ!」


ユリーシャ

「さっきの爆発で皆さんの音の感覚が狂ったようですね!」


ダンテ

「冷静に分析している場合かよ!

 この後はどうするんだっけ!」


ジン

「敵のアジトに侵入する!

 どうせ盗賊どもは気絶してるから安全だ!」


サクラ

「フラグですか!

 ねぇ!フラグですか!」


ニャック

「…ダァ゛ァ゛ァ゛ーーー!

 もう五月蝿えっての!

 まずは黙れッ!」


 バンダナを掻き毟りながら叫ぶニャックと、ただひたすらに叫ぶノア以外

 …ちなみにノアは二度寝に入った


ノア

「Zzz…」

老人

「爆発音…アジトの揺れ…耳から血を流す仲間…

 うわあああああああああああ!!!!!!」


隻眼の青年

「やっぱり、今回もダメだったよ」


王冠帽の青年

「今回も?」


子供

「すごいことになっちゃったねー」


隻眼の青年

「こんな和マンチプレイに全員が賛同するってシナリオ、そうそうないよな〜」


王冠帽の青年

「まあ…

 みんなノリノリだったもんな」

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