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ハイカラにギャルが転生!〜令和ギャルの大正暮らし〜  作者: がお


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【1話】ハイカラに転生!?

また思い付きで書いちゃいました。一応ラブコメにしようと思ってます。

「今日は大正時代について勉強します」

先生は黒板に大きく書いた。

『大正デモクラシー』

「大正時代は、それまでよりも国民の自由や権利を大切にしようという考え方が広がった時代です。これを大正デモクラシーと呼びます」

「また、西洋文化が広まり、喫茶店や百貨店なども人気になりました。この頃を『大正ロマン』と呼ぶこともあります」

その頃、教室の後ろでは――。

「ねぇ、今日カラオケ行かない?」

「いいね!」

主人公は友達と小声で話していた。

「……そこ、私語はやめなさい。」

「はーい。」

返事だけは元気だ。

先生は苦笑しながら授業を続ける。

「とはいえ、現在のような男女平等ではありません。当時は女性の社会的な立場も今とは大きく違いました」

主人公は教科書をパラパラとめくり、

「着物かわいくない?」

と、授業とはまったく違うところを見ていた。

チャイムが鳴る。

「じゃあ、今日はここまで。」

「やっと終わったー!」


喫茶店のドアベルが軽く鳴る。

「遅いって、ミア!」

窓際の席で、友達が手を振った。

「ごめんごめん、制服ダルくて着替えてた」

ミアは悪びれもなく笑って、椅子にドカッと座る。

「相変わらずだね、あんたは」

「ねぇそれ褒めてる?」

カップから立ちのぼる湯気の向こうで、友達はため息をつく。

「でさ、今日の歴史の授業やばくなかった?大正デモクラシーとか言ってたやつ」

「あーあれ?ほぼ聞いてない」

ミアはストローをくわえながら窓の外を見る。

「なんかさ、着物とか喫茶店とか、ちょっと“映え”じゃなかった?」

「そこかよ」

友達が笑う。


喫茶店の時計が、ゆっくり針を進めていた。

「え、もうこんな時間?」

友達がスマホを見て目を丸くする。

「やば、門限ギリじゃん」

「今どき門限ってウケるんだけど」

ミアはアイスティーの氷をストローで回しながら笑った。

「でもさ、明日も授業だし」

「だる〜」

二人で顔を見合わせて、同時にため息。

店内には、コーヒーの匂いと夕方の少しだけ眠い空気が混ざっている。

「じゃ、ここで解散ね」

友達が立ち上がる。

「うん。また明日」

「遅刻すんなよ、ミア」

「それお前もな」

軽く笑って、友達が店を出ていく。

ドアベルが鳴って、外の夕方が少しだけ入り込む。

ミアはひとり残って、ストローをくるくる回したまま窓の外を見る。

「……帰るか」

カバンを肩にかけて、立ち上がる。

その瞬間だった。

視界が、ふっと揺れる。

「え?」

足元が一瞬だけ遠のく。

喫茶店のざわめきが、急に水の中みたいにぼやけていく。

「ちょっと、何これ……」

声が出ない。

ストン、と世界の音が途切れた。

ミアの意識は、そのまま暗闇に沈んだ。

どれくらい時間が経ったのか分からない。

「……っ」

ミアはゆっくりと目を開けた。

頭が少し重い。

「え……私、倒れた?」

最近夜更かし気味だったことを思い出して、小さく舌打ちする。

「ほんとだる……」

喫茶店の匂いがまだする。

いつもの店だ。さっきまで友達といた席じゃないか。

「ふつーに気絶とかウケるんだけど」

そう呟いて、ミアは立ち上がった。

カウンターへ向かい、ポケットから財布を取り出す。

「すいませーん、お会計」

軽く言って、お金を差し出す。

しかし――

店員は、ぽかんとした顔でミアを見た。

「……あの」

「はい?」

「それは……何でしょうか?」

「は?」

ミアは首をかしげた。

「え、なに……?」

店員の服装に、違和感があった。

いつもの喫茶店の制服じゃない。

白いシャツでも、エプロンでもない。

和服のような、少し古風な服装。

「……コスプレ?」

思わず口に出る。

店員はさらに困ったように目を瞬いた。

「こす……ぷれ?」

「いや、え、ここカフェだよね?」

周囲を見渡す。

カウンター、木のテーブル、窓際の席。

雰囲気は“いつもの喫茶店”のはずなのに――

どこか違う。

電灯も、看板も、さっきまでと微妙に違う気がする。

「ねぇ、これさ……」

ミアは笑おうとして、言葉が止まった。

外が見えた。

そして――固まった。

「……は?」

そこにあったのは、さっきまでの見慣れた街ではなかった。

舗装されたアスファルトの道路はなく、代わりに石畳のような道が続いている。

その上を、黒い車ではなく、路面電車がガラガラと音を立てて走っていた。

電線が空を走り、木造の建物が立ち並ぶ。

看板はどれも漢字が多く、今より少し角ばった字体で書かれている。

「……え、なにこれ」

通りを歩く人々もおかしい。

女性たちは長いスカートではなく、着物に帯を締めた姿。

髪は結い上げられ、洋装と和装が混ざったような人もいる。

男性は帽子をかぶり、学生服のような詰襟姿で歩いている者もいる。

そして何より――

「スマホが、ない……?」

誰も手に持っていない。

代わりに、新聞を片手に歩いている人ばかりだ。

遠くから、車ではないエンジン音のようなものと、人の声が混ざって聞こえる。

「ここ……どこ……?」

喉が乾く。

喫茶店の中だけが、現実から切り取られたみたいに静かだった。


「あの……」

店員が申し訳なさそうに口を開く。

「そのお金は、お預かりできません」

「え?」

ミアは手の中の硬貨を見る。

「いや、お金だけど?」

店員は首を横に振った。

「申し訳ございません。見たことのない物でして……」

「え、うそでしょ……」

その時だった。

「その勘定、私が払いましょう」

後ろから落ち着いた男の声がした。

ミアが振り返ると、背の高い青年が立っていた。

帽子を軽くかぶり、落ち着いた洋装を身にまとっている。

店員は軽く頭を下げた。

「ありがとうございます」

青年は代金を払い終えると、ミアに向き直る。

「失礼ですが、お加減でも悪いのですか?」

ミアは思わず答えに詰まった。

男性はミアの姿を見て、不思議そうに首をかしげた。

「失礼ですが……その制服、青蘭高等女学校の制服ではありませんか」

「せい……らん?」

聞いたことのない名前だった。

「制服って……」

言われて初めて、自分の姿を見下ろす。

「えっ……」

そこにあったのは、さっきまで着ていた制服ではない。

淡い色の着物に袴を合わせた、女学生の姿だった。

「うそ……なんで?」

思わず袖を触る。

布の感触は本物だ。

夢でもコスプレでもない。

青年は不思議そうに首をかしげる。

「どうかなさいましたか?」

「いや、その……」

混乱したまま胸元に手をやると、小さな手帳のようなものが指先に触れた。

「これは……?」

取り出して開く。

そこには一枚の写真と文字が記されていた。

青蘭高等女学校

三年 如月 美亜

「……え?」

写真に写っていたのは――

間違いなく、自分の顔だった。

「そんな……」

頭の中が真っ白になる。

青年は心配そうにミアを見つめたが、やがて懐中時計を取り出した。

「……いけない。」

時計を閉じると、軽く頭を下げる。

「申し訳ありません。少々急ぎの用がありますので。」

そう言って店員の方を見る。

「ありがとうございます。」

店員が深々と頭を下げた。

青年はミアに向き直り、穏やかに微笑む。

「お困りのようですが、どうかお気をつけて。」

「えっ、あの……!」

呼び止めようとした時には、青年は店を出ていた。

ドアベルが静かに鳴る。

ミアは慌てて外へ飛び出した。

しかし、行き交う人々の中に、青年の姿はもう見当たらなかった。

「……行っちゃった。」

学生証を握りしめたまま、ミアは立ち尽くす。

そこに書かれた名前を、もう一度見つめた。

青蘭高等女学校 三年 如月 美亜。

「……これ、本当に私なの?」

夕暮れの風が、袴の裾をそっと揺らした。



ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

この作品では、大正時代の文化や風俗をできるだけ調べながら描いています。

先生が話していた「大正デモクラシー」は、実際に自由や民主主義の考え方が広まり、「大正ロマン」と呼ばれる文化も花開いた時代でした。

一方で、現代とは暮らしも価値観も大きく違います。

これからミアが、そんな時代とのギャップに驚いたり、現代の知識で新しいものを生み出したりしていきます。

物語と一緒に、大正時代の雰囲気も楽しんでいただけたら嬉しいです。

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