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第二の星で  作者: ぷりお
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空からの侵略者

地球の旧世紀末期、人類は出生率低下、生まれる民族の偏りにより、明らかなパワーバランスの崩れがあった。

それを未然に防ぐために、人類はこのアネストを各地に設立。アネスト内で各人種、アジア人、ヨーロッパ系、中東それぞれに別れた人種の精子を回収、人造人間を開発した。

しかし、それは逆に地球に抱えきれないほどの人間を作ることになってしまった。新星歴54年。人類はとうとう旧世紀には不可能とされ、開発を中止されていた、宇宙開発を開始。

その最初として、宇宙エレベーターなるものの建造を計画、しかし、地球圏まで連なるエレベーターは途中のデブリや、重力に逆らえなくなった真ん中からへし折れ、失敗。

まずは、地球圏のデブリ一掃と別の惑星に棲みつかせることが課題となった人類は先兵隊、アレクサンドロスを編隊。

各人種が統合された、部隊は人型駆動兵器アッシスに搭乗。

しかし、宇宙の可能性を知った彼らは人類から独立。あの地球に閉じこもる人類を地底人として認知し始める。

星歴523年、アレクサンドロス編隊は月に居住を構え、地球の人造人間、今の人類を月に回収させ、国を作ろうと画策。

そして人型戦闘兵器セルヴスを開発。地球へ降下し、人類殲滅および、回収を開始した。目的は、地球の醜い黒歴史、戦争の歴史の抹消、逃避、脱却と、新文明を築き、人類の歴史を書き直すことだった。それに反発して、人類もテラーストュートを設立。全面戦争を開始する。



アネストは人造人間および、強化人間基ネオ・エンズルズを作成、テラーストュートに提供し、宇宙、及び地球の空からやってくる侵略者を迎撃するために編成された独立研究施設であり、第12部隊の監視下にある。


空が陰っている。

アネストの被験体。略式アダム・ヴァレン。

そう命名された彼は来る地球での戦争に向けて生身の人間からサイボーグへ強化された。

原因は、このアネストの館長、ジーネン・スレーズ。

地球への侵攻を宣言した、エルガー帝国。その総帥、セリウス・ハルト。


彼の演説が始まる。


「我々月の人造人間は人間達の捨て駒とされてきた。なぜなら、人間は自分達と同じ形をしながらも、好奇心と理想を叶えるための人型の盾を欲したからだ。しかし、その好奇心が自分達に牙を向くとは考えずに、少し反抗された途端、すぐに喚き始める。人間のこの支配欲はもはや地球全体に広がり、地球そのものがこの被害に遭っている。そう、地球と地球に残された人造人間は我々の同士なのだ!新しい可能性を秘めた存在は、我々人造人間であり!人造人間に流れる血こそが地球の血である!純血を穢す癌は取り除かれなければならない。よって私たちはこの月から、新政党、および国家の樹立を宣言する。人造人間による。人造人間のための国家、同じ人間を消費物として扱ってきた人間達をこの世界から抹殺するのだ!

よってこの新帝国エルガー帝国の建設を宣言する。地球に取り残された我が同胞よ、私たちと共に戦ってくれ!そしてエルガー帝国の諸君、私たちの先兵、サラス・シュタイン中将率いるタイタニスが地球に先制攻撃を仕掛け、敵の本拠地に打撃を加えた。我々の国力と軍事力は地球に住む人間だけに計れるものではない、私は戦う!諸君らのために!!諸君らとエルガー帝国の栄光のために!!」


「ハイル、ハイル!」


アダムもこの演説を自室から見ていた。

汚れ役を押し付けられた怒りはわかる。しかし、溜め込んだフラストレーションをこうやって争いへの燃料としていては旧時代の繰り返しだ。



タイタニスは地球の技術力、力量を計るために、この地球に侵攻をした、アダムはその襲撃の被害に遭い、適合率を理由にこのアネストに連れてこられ、強化人間基、ネオ・エンズルズへと変えられた。


「俺はもう普通の人間ではないんですか。」

横にいたジーネンにアダムは聞いた。


「そうよ。」

ジーネンは答える。

後戻りができないと感じた。

「人権はないんですか。」

唯一絞り出せるのがこんな言葉だから腹が立つ。


「あんなルール、平和な時にしか活用されないわよ。そもそも、現人類は人造人間とオリジンタイプの見分けもつかない。あなたはあのマシーン専用にされているから顕著だけど、今や人類全体が人造人間の可能性もある。」

「そんな自分勝手な理由で!」

こいつを殴り倒すか。いや…

「地球保全のためよ。」


アダムは部屋を飛び出した。

小綺麗にされている真っ白な廊下、その様子がさらにアダムの神経を逆撫でする。

廊下でイブに鉢合わせた。

「あっ」

気まずそうにしている。

「どけ!」

押しのけて配当された自室のドアを力一杯に閉める。

この程度の反抗しか行えないからさらに腹が立つ。


このイブ・ナティアは自分より以前にこの施設に配備されていた。自分と同じ女サイボーグだ。



ジーネンは急いでアダムの部屋に向かう。横にはナーケルがいた。

第12独立部隊ガベル所属 ナーケルヨーガ中尉。艦長不在の中、この施設の監視役を務めるエリートである。

「ジーネン司令部、ご安心ください。この施設には私たち第12独立部隊がおりますゆえ、現在は指揮官のノックチルグ中佐は不在ですが……」

「私たちの施設は私たちの手で守りましょう。」


可愛くない奴だと感じる。


「あの」

物陰からイブが顔を出す。

「さっきの演説って」

「大丈夫よ。戦争にはならないわ。地球の戦力は明らかに上だし。あなたはアダムが守ってくれる。」

ジーネンはイブをそっと抱く

その妙な距離感をナーケルは不思議に思う。

「はい。」

イブは少し落ち着いたようだった。


そういうのは、よそでやるんだな。

くだらない疑問はかき消される。


「私たちはいつでも出撃ができます。そこのサイボーグなんか使わなくとも、勝てますよ。あんな宇宙人なんか。」

「彼女も人間よ。」

ジーネンが睨みをきかせて言う。

「はっ」


託児所の館長が偉そうに。


「今後、彼女への冒涜ととれる発言は控えていただきます。こう見えても私はアースガーディアンの大尉の階級もあります。あなたの上官に当たることはわかりますね。」

「はっ!失礼いたしました。」


上っ面で誤魔化せるのは旧人類と同じだな。


アダムの部屋につく。

「アダム、さっきの演説を見ましたね。あなたはこれに感化されず、我々地球防衛のために」


「この地球を侵略してるのはどちらなのですか。」

俯いたアダムが言う。

「なにを!…」


地面に振動が走る。


「まさか、もう攻めてきた!」

「足だけは早いな!」

ナーケルは掛け出す。


「ナーケル中尉!勝手な出撃は!!」

「地球保全に貢献させていただきます!!」

振り返り様にナーケルが言う。


「アダム、あなたは地球で生まれて地球で育ってきたでしょう。だからこの星のために。」

「この星はあんたらに侵略されているんじゃないのか。」

「アダム……!あなたの体を勝手にマシーンにしたのは謝ります、しかし、そうしなければあなたは死んでいた。こうしたことも理解して頂戴。しばらく、休憩を取って。」

ジーネンが去った部屋でアダムは暗く俯いていた。



「総帥による宣戦布告が済んだから、こうやって堂々と攻められるのだ。なぁ?バジーリオ少佐。」

タイタニスの中将サラスがバジーリオを見る。

「はっ。しかし、このような身勝手な攻撃は総帥もお認めになってはおりません。軍規に則って攻撃を……」

答える声はバジーリオ

「貴様の軍での好待遇の理由はそれだよ。少佐。自発的にものを考えて行動できないものなど、それこそマシーンだな。ハハハ。」


「はっ。」


戦わずして実績を得る人間の考えがこれか。

戦場で命を賭ける人間は消費され

戦場に出ない無能はこうやって力を蓄えるのだ。それならば……



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