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11話

「秀介、他所の家のことにこれ以上口出しはーーーー」


「姉さんは黙ってろ!」


慌てて止めに入ろうとする姉さんを怒鳴って制止させる。

「あんたは理不尽だ!」

驚いた表情をしている白石の母親を指さし、続ける。

「別にいいじゃねぇか、それくらい!成績はかなりいいし、バイトも休まずやってる!たまの息抜きくらい自分の趣味に没頭させてもいいじゃねぇか!」

「こんなことばかりに興味を示していると世間から冷たい目で見られるでしょ!?」

「それはあんたの偏見だ!実際世間のオタクはのびのび生きてるじゃないか!入ったことは無いが、街に行けばアニメやゲームの専門店はいくらでもある!オタク文化が認められてる証拠だろ!100%認めなくてもいい!ちょっとでも許してあげればいいだろうが!」

一気に叫び続け、ぜぇぜぇと息が上がる。

不意に背後からパチパチと拍手の音が聞こえた。

「認めてもいいんじゃないですか?」

そういったのは姉さんだった。

「高島さんまでなにを……!」

「ただし、ひとつ条件がある」

白石の母さんが姉さんに詰め寄るが、姉さんは人差し指を突き出し続ける。

「条件……ですか……?」

「そうだ。まず白石さん」

「は、はい」

「あんた、成績はトップクラスのようだな?」

「どうしてそれを?」

「あんたはこの辺じゃ有名なんだ。成績がいい娘がいるってな。夏休み前のテストで学年トップを取れ」

「トップってことは1位ですか?」

「そうだ」

「頑張ります!」

両手をグーにし、その提案を呑む白石。

「そしてアホ」

うん?アホって誰のことだ?

「お前だ」

ゴツンと後頭部にげんこつを食らう。

「痛てぇ!」

殴られた箇所を押さえていると。

「お前、前回のテスト何位だった?」

「ちょっと待ってくれ!俺も!?」

「そうだ。啖呵切ったのはお前なんだ。当たり前だろう」

「確か、110に入らなかったくらい」

「ゴミみたいな順位だな」

「ゴミ言うな!」

「次のテスト、100位以内に入れ」

「姉さん、ちょっとそれはハードルが……」

「返事は『はい』だろ」

「はっはい……!」

ギロりと睨みをきかせる姉さんについ迫力負けしてしまう。

どうしよう……自信ない……。

俺が頭を抱えてる間も話は続く。

「よし、決まりだ。白石さん」

「なんでしょうか?」

「この条件がクリア出来なかったら、宝物とやらは売って参考書にでも変えてやればいい」

「……そういうことなら」

渋々といった感じで了承する白石母。

てことは……。

白石と顔を見合わせる。

『やったああああああああああ!!!』

2人で大声をあげる。

「まだ気が早い。もうテストまで約2週間だぞ」

そうだ。これをクリアすれば白石の宝物は捨てられずに済む。

やる気になった白石が俺に話しかける。

「善は急げだね!高島くん!この後図書館で一緒にテスト勉強しよう!」

「俺としてはありがたいけど、白石の邪魔になるんじゃないか?」

「私は大丈夫!」

自信満々といった表情で俺を見やる。

「そういうことならよろしく頼む」

「今が11時過ぎだからお昼食べてすぐ、1時頃に駅前のイルカ広場で集合ね!」

俺の返事を待たずにお下げ髪を揺らしながら嬉嬉として部屋から出ていく。

そのあとからこちらにお辞儀して後を追う白石母。

大変なことになったが、頑張るしかないか。

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