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12話

白石鏡花が高島家を出てすぐあとのこと。

鏡花は自室にて、片手で熱くなった頬を、もう片方の手で胸を押さえ心臓の高鳴りを鎮めようとしていた。

「なんだろう、この気持ち。高島くんのことを考えるとドキドキする」

話し始めてまだ数日しか経ってないが、彼が鏡花のためにしてくれたことを自然と思い返す。

フィギュアを預けたこと、飛び降りようとした時に必死に止めてくれたこと。

そして、先程条件付きとはいえ大事なものを守れるようにしてくれたのは彼が必死になってくれたからだ。

1つ1つのことを考える度に鼓動が高鳴る。

ああー!なんでだろう……?

もしかして、これが恋……?

恋。この単語を思いついた瞬間、『かああ』と顔全体が熱を帯びた。

それは彼女にとって初恋。初めての感情に戸惑いを隠せないでいた。

「高島くんのおかげで試験でいい成績取れば、オタクグッズは守れる。私も勉強以外にできることといえば……」

う〜んと腕を組んで思考を巡らせる。

「そうだ!」

そう言って、机の隅に並べられているCDケースを取り出す。

CDケースのジャケットは洋楽や人気jポップだが全てフェイクである。

中身は全て『霊力魔法少女ヒナコ』や『怪獣ウォーズ』など、アニメの主題歌やゲームのサウンドトラックなど、自分の好きなものが入っていた。

果たしてオタクでは無い高島秀介が、喜ぶかは疑問だが、鏡花は彼をオタクだと思っているため、きっと喜んでくれる。そう信じていた。

「うーん」

ある程度CDを選び終え、自分の服装を見直していた。

「もっと可愛い方がいいかな?でも次会って服装が変わってたら変に思うかな?」

そう悩みつつも、クローゼットを開ける。

「どれがいいかなぁ」

ハンガーにかかっているオシャレな服を取り出し必死に選ぶ。

「あっ!」

やがて白い半袖ワンピースを発見する。

「これ可愛かったから買ったけど、まだこれ着てないんだよね」

見つけた服に着替え時間を見る。

約束の時刻まで時間がなかった。

急いでカバンに筆記用具、ノート、参考書。そして先程選んだCDを中へ。

とてもじゃないが、呑気に昼ごはんを食べている余裕などない。

そう判断し、部屋を出て廊下から叫ぶ。

「ママぁ!時間ないからお昼ご飯いらない!」

そう告げて、母親の返事を待たずに家を飛び出す。

「間に合うかなぁ……?」

ダッシュで待ち合わせ場所に向かうのであった

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