表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/25

1-3

「まあ試験近いもんね。高校って進み早いし」

「ね、英語ヤバすぎるんだ。桐島君、よかったら教えてくれない?」

 私はちょっとばかし良い雰囲気になったのをいいことに、強引にいってみた。

「え、うん。いいよ」

「ほんと?ありがと。じゃあ、今日の放課後とかは?」

 今日は月曜日。週に一度、部活が休みの日だ。こういうチャンスは活かさないとダメだと、この前陽子に借りた少女マンガに書いてあった。

 私は三国志とか格闘ゲームが好きで、恋愛成分たっぷりで読んでるこっちが恥ずかしくなる甘々な少女マンガなんぞに興味はなかったが、最近は勉強のつもりで読むようになった。残念ながら髭の長いおっさんたちの戦や義の話は、恋する乙女の指南書にはならないのだ。

 私のバイブル、もとい少女マンガはこう言っていた。「今は三顧の礼なんて甘っちょろいことを言っている場合ではない。一度で決めるのよ」と。

 桐島君は悩んでいるらしく、「今日は、ちょっと。うーん」とつぶやいた。私と違って意味のない言葉を発しない桐島君にしては珍しい、独り言だった。

 何か言いにくい用事でもあるのだろうかと勘繰っていると、桐島君は考えがまとまったらしく続きを話した。

「友達と試験勉強する約束してたんだけど、もし阿部さんが嫌じゃなかったら一緒にどう?その友達も英語が苦手なんだよね」

「ほんと?じゃあその友達が嫌じゃなかったら、是非ご一緒させていただきたいっす」

「うん、聞いてみるね。ダメとは言わないと思うけど」

 私はお願いしますと手を合わせながらも、心の中では握りこぶしをつくりガッツポーズをしていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ