意外な彼とデートです
亀の歩みでスミマセン…………宜しくお願いしますm(__)m
目の前を過ぎ去る人々に僕はどう映っているのだろうか?
………………いや、完璧迷子にしか見えないよね~~~~(笑)
じゃないよっっ!? どうすんの!? こんな人混みで恵君とはー君見つけるなんて絶対無理だし!!
見渡すけど二人のイケメン見つからず。
はっ!? スマホあるじゃん! これで――――
………………電池切れ。
「ど、どうしよう(泣)」
「…………迷子?」
「へ……?」
神様、目の前にマーチィ君が現れました。これって抱き着いて良いんですよね!?
わきわきと手を出したらマーチィ君に額というか頭をガシッと掴まれ無念にも叶えられなかった。
「それで、迷子なの? あんた」
「…………迷子だけど、夢は壊さないでほしかった。マーチィ君があんたとか言っちゃいけないと思うんだよ中の人は出ちゃいけないんだよ! 子供と乙女の夢は壊しちゃいけんのよ!!」
グッと拳を握りながら力説したら引かれた。
めっちゃドン引きされました…………。
「迷子になった奴を迷子センターに連れて行って恥をかくのと俺という目立つ奴と一緒にいて相手に探してもらうのとどっちが良い?」
究極の選択来ました――――――!
嫌過ぎる!! 迷子センターで幼い幼児達と一緒に待つとか何の罰ゲームなのっ!?
なので後者一択です!
「マーチィ君と一緒で!!」
「オーケー」
ため息と共に僕はマーチィ君に手を繋がれ歩き出した。
「マーチィ君、これ美味しいね!!」
「……口、滅茶苦茶食べかす付いてるけど」
通り行く人達がマーチィ君と写真を撮るのを見ながらボケーっと見ていたらお腹が減ったのでキョロキョロと周りを見渡したらチュロスとポップコーンが売店で売ってたので2つとも買って食べてたらマーチィ君が撮り終わったらしくこちらに歩いて来た一言である。
そして両手に持ってたチュロスを持ってくれる。何て紳士なのマーチィ君! しかし、マーチィ君の分も買ったのだけど…………食べられるの?
マーチィ君は見た目猫の妖精と言う設定で愛らしい姿をしている。尻尾のフサフサがフリフリと可愛らしく揺れている。
「マーチィ君も食べられる? 一緒に買ったんだけど……」
はい、とマーチィ君に出してみるがジッと見つめるだけ。
やっぱり食べられないのかな?
――――と手を引っ込めようとしたら
「食べるよ」
「!?」
グイッと手を引かれ持っていたチュロスごと手をマーチィ君の口元に寄せられたかと思ったら――――――口がパカッと開いた。
「――――っ!?」
開くの!? やっぱりと言うか中の人の下半分が見えてビックリするが、人の目があるし、口を開けて見えているのは僕だけなので声を出さないように片手で口を押さえた!
危ない。このマーチィ君何やるかマジでわからん。
「…………ここのチュロスあんまり食べないけど結構美味しいよね。ポップコーンは飲み物欲しくなるからいらない。……後でお金渡す」
「え? 良いよ。私が買いたいから買っただけだし」
「返す。奢られる事なんてしてないし。もし、恋人を探すのを手伝ってるのを言ってんなら――」
「恋人っ!?」
「? こんなところ恋人か女友達としか来ないだろ? あぁ、女友達の方か?」
「……いや、男友達だけど」
「…………」
何故か微妙な間が出来た。ついでにため息をまたつかれてしまった。何で? 男友達だと何か悪いの?
…………まあいいや。
「う~ん……こんなに歩いているのに会えないってどうしてなんだろう?」
かれこれ1時間くらい歩いているのに二人とは全然出会えていない。……もしかして二人っきりになって恵君がこれ幸いとはー君に告白して二人は――――――――!?
…………僕、もしかして帰った方が良いのかもしれない。
二人の邪魔なんかしたら馬に蹴られてなんとやらだしね!
「……マーチィ君。私、家に帰るよ」
ピタッと止まった僕にマーチィ君は不思議そうに小首を傾げた。……可愛いΣ(゜Д゜)
「…………男友達はどうするんだよ?」
「…………帰る時にコンビニで充電器買って起動出来たらメール送るから大丈夫。それに、私がいたら二人のデートの邪魔しちゃうし」
苦笑いしてマーチィ君を見上げるとマーチィ君に頭を撫でられた。…………慰められたのかな? いや、別に悲しくはないよ? ただ居づらいってだけだし…………? 何かモフモフしてて気持ちいいから撫でられておこう。
「なら、良いとこ連れてってやるよ」
「? 良いとこってどこ?」
「言ったら意味ねーだろ。ほら、付いて来ねーとまた迷子になんぞ」
「っ!? ま、待って!!」
置いていかれると思ってたら意外にマーチィ君は僕の手をとって歩いてくれたので迷子にならずにホッとした。
案外マーチィ君は優しいようだ。ただツンが多いのが難点だ。
いつデレるんだろうか?
「…………お前、何か変な事考えただろ」
「何で断定するの!? 私何も考えてないし」
「まあ、迷子になるくらいだから考えてないか」
「…………」
この人(?)ツンしかないんじゃないの?
そんなこんなで連れて来られた場所は――――――ゴーカートでした。
(何でゴーカート!? 普通観覧車とか…………あぁ、これじゃ入らないか……)
チラリとマーチィ君を見るけど着ぐるみなだけあって結構デカイ。これでは観覧車の中に入るのは無理だ。
それなら脱いでくれば良いのにと思うが、僕がマーチィ君に夢を壊すなと言ったのを気にしたのだろうか?
別にもう気にしてないけど…………。
「お前、乗った事あるのか?」
「小さい頃に少しだけあるよ」
「ふ~ん」
「聞いておきながら『ふ~ん』て…………」
「じゃあ、仕方ないから一緒に乗ってやるよ。ほら、早くしろ」
そう言ってポスポスと隣の座席を叩くマーチィ君に僕はちょっとだけイラッとしたが、素直に乗った。
(……まあ彼なりに楽しませようとしているんだろうけどって……狭っ!! 対人用だから着ぐるみ入ると狭いっ!!)
何とか乗ってマーチィ君が握るハンドル付近を見ると何やらボタンがいっぱいあった。
「ねえ、マーチィ君。そのボタンって何?」
「ん? これは妨害用のアイテムだ」
「…………妨害用?」
「あぁ、他の車を蹴落とす為にこのボタンを押すとそのアイテムが出て妨害してくれる。皆嬉々として使っているぞ?」
「…………それは某アクションゲームのパ」
「それを言ったら駄目だ。大人の事情というものがある」
「………………」
大人の事情。あんまり分かりたくない事情だ。だけど、このゴーカート。危険な物かと思ったら案外楽しめた。
邪魔するアイテムも大きいクラッカー砲で相手をビビらせたり(こっちもビビった)ヌルヌルする液体orボールで行く手を阻んだりとかだったので速度も危険なものでは無い為結構楽しめた!
「どうだった? 楽しめたか?」
「うん! 楽しかった!! ありがとう、マーチィ君」
笑顔でマーチィ君に言うと彼は何やらポケットから(マーチィ君は服を着ている)何かを出した。
「これ、記念にやるよ」
「記念って……」
彼が渡して来たのはさっき乗ったゴーカートでの写真だった。
スタッフの人が撮っていたのは知っていたけど、まさかマーチィ君が写真を買ってくれるとは思わなかった。
「でも、高かったでしょ? 貰えないよ」
「俺に返されても困る。それに、それはチュロスのお返しだから気にするな」
「マーチィ君」
「…………」
何だろう。人に貰ってこんなに嬉しいのって誕生日以来な気がする!
「ありがとう! マーチィ君、またね!!」
「……またな。――――夕夜」
ブンブンと手を振って遊園地から出た。
「………………あれ? 僕名前言ったっけ?」
思い出してみようとするが中々思い出せない。まあ、話している時に言ったかもしれない。早く帰って恵君とはー君にメールしないと怒られそうだから早く行こう!!
そうして僕のマーチィ君とのデート? は終わったのである。
そのあと二人にこってり怒られたのは言うまでもない。