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僕と私の秘密の約束  作者: 卯山
20/20

発作と疑惑 そして…………

お待たせいたしました。宜しくお願いします!



待ちに待った(?)親睦会という名のセレブ散歩の日がとうとうやって来てしまった。


今日は朝から雲1つ無い爽やかな秋空。


文句なしに山に登れる絶好な日です。(登らないけど! ただ平坦な道を歩くだけだけど!!)



「はーい! 班ごとに順番に並んで下さいね。コースは平坦な道が続くだけですが足下には気をつけて歩いて下さい」


そう説明すると、生徒達は皆各々返事を返してくる。

皆ほのぼのとしている。ちなみに服装はジャージじゃないんです。セレブのお嬢様、お坊っちゃまはジャージなんてもの履きませんわよ。



オシャレな歩きやすいカジュアル服で決めてます!!



さて、今回のセレブ散歩、どういったコースかと言いますと周りを山々に囲まれた広大な土地にて舗装された道を優雅に先輩とお喋りしながら親睦を深めていくというもの………………。



ちなみに、2年の先輩と1年が必ず組むようにされている。



……………………されている、筈…………なんだけど?



「久住様~、私この間ルノワールの絵画をお父様が買いましたの。是非我が家に来て観ていただきたいのですが」



「んまあ! そんなのより私は料理を習い始めましたの! 是非久住様に食べていただきたいですわ」



……………久住先輩の周りのご令嬢達が黄色い声で我も我もと久住先輩を誘っている。


うらやま――――しくなんかないんだからなっ! ほ、本当に羨ましくなんか…………ない(泣)



しかし、彼女達のペアの人達はどうしたんだろう?

僕は例のごとく生徒会メンバーとして久住先輩と組まされた訳なんだが…………。



そう思い後ろを振り向き――――――固まった。


「イケメン爆ぜろ」「リア充爆発しろ……」


(ひいぃぃぃ――――――!? 彼女達のパートナーがこっちを恨めしい目で見てるぅ!!)


彼女達のパートナーである男性達(『婚活も必要だから』とかわけわかんない理由で会長が決めたパートナー制)がこちらを…………というか、久住先輩を怨めしそうな怨念を放った目で見ている…………。


(こ、これは早く先輩を引き離さないと――――血を見ることに!!)


「せ、先輩! 久住先輩!! ちょっと確認したい事があるのですけども!! こちらに来て頂けます!?」


必死になって久住先輩を呼んだ僕に対し先輩は


「確認……? ごめんね? あっちでちょっと呼ばれちゃったから行って来なくちゃいけなくなっちゃった」


「「えええええ~~~~!?」」


(ぎゃー!! 変な言い方すんなよ馬鹿!! 女子の恨みの目が怖いっつーの!!)



案の定睨んでくるお嬢様がたが僕を見ているのに先輩は知らないふりだ。


「それじゃ、またね?」


そう言いながら僕の肩をポンポン叩きながらあっちに促してくるので仕方なく行くと、途端に表情を変えた。


「は―…………ったく、何でまとわりついて来るんだかわかんねーよな。お前も早く声かけに来いよな」


滅茶苦茶な言い分に僕は呆れた。


「何で私が先輩を助けなきゃいけないんですか。さっきだって他の女子に睨まれるし良いことなんて…………っ!?」


ドクンッ ドクンッ


「――――っ!?」


(な、にこれ…………っ!? 心臓が鷲掴みされたように苦しいっ…………!!)


「? おい、桜井お前なんか顔色悪くないか……?」


何か先輩が言ってるけど、心臓の音が煩くてわからない


「……っくぅっ!!」


「!? おいっ!!」



何が、起きたんだろうか?




心臓の音が煩くて、先輩を見ようとしたら視界が急にぐらぐらした。




次に見えたのは必死な顔で僕に手を伸ばす先輩の姿と…………







…………………………




…………………




…………






「っ!?」


ガバッと起き上がると、空はいつの間にか夕暮れになっていた。


? …………何で僕はこんなところにいるんだろう? というか寝てた?


キョロキョロと周りを見てここが何処だか把握しようとするがさっぱり検討がつかない。

さっきまでは森の散策コースにいた筈なのにどういうことだか今は鬱蒼と木々が生えてる中にポツンと座っている。


「…………そういえば、久住先輩はどうしたんだろう?」


確かさっきまでは一緒にいて話してた筈。そう思って立って先輩を捜そうと周りを広く見渡した先――――――木や葉っぱにまみれて倒れてる久住先輩を発見した。


「!? せ、先輩!! 久住先輩っ!!」


(何が起きたの!? 何で久住先輩はこんな怪我をしているの!?)



まるで高いとこから落ちたかのような――――――




「――――――っ!?」


(何でそんな事思うんだ? だって、いや、まさか……)


あれは夢じゃないのか? だって、夢じゃないならあれは僕が発作を起こして、視界が急にぐらぐらしたと思ったら――――



恐る恐る上を見上げるが夕暮れ時で見えないかと思ったけど遥か遠くに何かが……いや、棒? が飛び出てるような…………?


そして次にその下、地面を見たら何か見覚えがあるような柵の残骸が落ちていた。


「え……これって、コースの所にあった柵……? で、でも何でこんな所に…………」


ここに仮定として、あの柵が落ちていたとして、そして僕もあそこから落ちたとする………………だけど、あの高さから落ちて普通死んでないか?


現に先輩はこんなボロボロだし…………。


そう思いながら先輩の方を見る。


「ぐっ……………!」


「!! せ、先輩!! …………気絶してる」


見たところ骨折とか分からないけど、とりあえず先輩を何処か休ませられる場所を探さなきゃ!!


でも、こんな森の中で休ませられる場所なんて…………しかも、僕は今女の身体で非力だから先輩を抱えて行けないし、そんな所あるのかな?



「…………あれ? そういえば、鳴神先輩が森の中に狩猟小屋があるって冨田君と話してたっけ?」


確か鳴神先輩フツメンが山登りが趣味だって話してて今回のセレブ散歩(親睦会オリエンテーション)に向けて話してた時に「このコースの下には狩猟が出来る山があってね、近くに狩猟小屋がいくつかあるんだよ」的な事を冨田君に色々な話の中言ってた気がする!!


「…………肩に腕をやって支えながらなら行けるかな?」


休み休み行けばどうにかなるかもしれないし。それに、あの光景――――先輩が僕を必死な顔で助けようとしてくれた光景が今も思い出す…………よし!


「せーの…………よいしょっ!!」


グイッ!!


「えっ!?」


勢いつけて先輩を持ち上げたら…………軽く自分よりデカイ男を立たせられた。


「………………と、とりあえず今は小屋を探さなきゃ。先輩を休ませなきゃいけないし!」


そう言って思考を小屋探しへと移行して夜の闇になる森の中を進んで行った。







「……………………あ、あった――――っ!!」



もう真っ暗になりそうな頃やっと一軒の山小屋を発見出来た!


一応変な奴とか獣とかいるかもしれないからそーっと開けて中を見てみよう。そーっと、そーっと…………。



カチャ………………



シーン…………


「…………うん、大丈夫そう」


早速小屋の中を入って見回してみたところ使われていたのか埃やら壊れた物などなく今でも使えそうな物で安心した。


とりあえず近くにあったでかいソファに先輩を寝かせた。


「どこか怪我してるのかな? 土埃とか付いてるから何か布とかで拭いた方が良いよね」


そう思い小屋の中を探す事数分。なんと、小屋の外に露天風呂発見!!


「何だろう……涙が出る程嬉しい…………!!」


思わず感動していたが先輩を拭く物を探していたのをすっかり忘れていた…………。


「そうだ! この温泉を布にやって拭こう!」


思い立ったら早速、ということで浸した布を先輩のところに持って行き優しく拭いていった。




「とりあえずこんなもんかな?」


綺麗になった先輩を見て人心地ついた。

だけど、拭く時に怪我も見たかったので上着を脱がしてやったのだが結構擦り傷とかはいっぱいあったけど、酷い傷は無かった。


ということは、森にあった鬱蒼とした木々達がクッションになって助かったのかもしれない。


なら僕がこんなにピンピンしてるのも頷ける。


――――――それは頷けるのだが…………



「何であの時の発作はこの間のとは違ったんだろう?」


まるで心臓を誰かに鷲掴みされたように苦しかった。

あんなのがまた自分に訪れると思うと恐ろしさに身が震える。



一体僕はどうなってしまうのだろう?



何だか嫌な予感がひしひしと感じる。


「あ~~~~! もう疲れたから風呂入ってこよ!!」



てなわけで脱衣室を抜けた先の露天風呂へとGO!!


「あぁぁぁ~~~~~~! 生き返る~~」


やっぱり温泉って良いよね! 嫌な事も忘れるわ!

しかしこの露天風呂、温泉引いてるのかな? 勝手に使わせて貰ってるけど後で謝れば許してくれるよね~?



「………ん?」


ふと、腕を伸ばした時に左腕を見て違和感があった。


「え…………何で無くなってるの?」


そう、小屋に来るまでは確かにあった筈の左腕の深い擦り傷がもののみごとに綺麗さっぱり跡形もなくなっているのだ。

確かに森の木々を抜ける際葉っぱに切りつけられてしまったところなのに。


「………………すべすべだ」


これで確信してしまった。


「僕は人じゃ無くなるのかな…………」




そう問いてみても今は誰も僕の事を聞いてくれる人は誰もいなくて、ただ満月が静かに光っているだけだった。






◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆




夕夜がお風呂に入っている頃ソファの上で寝ていた久住は部屋の暖かさと暖炉の火の燃える音に起きた。



「? …………ここは?」


確か、俺は桜井が急に苦しみ出して後ろにあった柵に手をついたらそこにあった筈の柵が消えた。

いや、消えたというか夕夜が触れた途端ミシッという音をたて壊れたのだ。そして夕夜の身体は崖へと落ちて行きそうになり、自分でも分からない内に夕夜を助けようとしたのか夕夜の手を掴んでいた。


だが重力には敵わず俺も落ちた。


大分時間が経った頃目が覚めた。先程の事を思い出した俺はまず夕夜を探したんだっけ。でも探さなくても隣に夕夜は寝転がっていたんだ。安堵して夕夜を起こそうと夕夜の身体に手を触れた途端気付いた。


夕夜の腹に血が滲んでいた事に。



「…………っ!? あ……」



驚いて飛び起きて痛みに呻く。だが、そんな事よりも俺はどうしてここに寝てる? 夕夜をあんな場所に置いて来てしまったのか?

夕夜は死んでしまったのだろうか?

あんなに血が滲んでいたんだ。出血多量でって事もありえる。


「つっ…………!! 夕夜っ……」



カタンッ


「? 何だ……?」


奥の方から音がした? もしかして、俺を運んでくれた誰かがいるのだろうか?


「夕夜がどうしたのか聞けるかもしれない」


そう思い音がした方へ行きある扉へと着いた時だ。


「あ~サッパリした! そういえば、久住先輩大丈夫かな?」


「!?」


バタンッ!!


「へ…………」


「………………」


お互いに見合っていたが夕夜の方が先に裸なのに気付き顔を真っ赤にさせて下はショーツをはいていたので上をバスタオルで隠した。

そしてじっと見られているのに耐えられなくて声を出した。


「ちょ、先輩いきなり入って来ないでっ――――!?」


「――――っ夕夜、良かった! 生きてたんだな!!」


ぎゅっと久住先輩にキツく抱きしめられて先輩が震えていたのがわかった。


「……先輩、私はちゃんと生きてますよ」


そう言って先輩の背中を優しく叩いた。


「っつ…………!」



静寂に包まれた中夕夜はやっぱりと思う。


自分はこの先、人間としては生きていけないんだな、と。










なんかシリアスっぽいけど主人公裸(笑)平凡なラブコメじゃ終わりません(-_-;)

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