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意外とイケてる錬金パーティー  作者: TAIRA
第2章:新生活編

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36/61

35:むしろジャン事案よりも切実



 明けて翌朝、最近の俺は夜より朝の方がヤバい。


 一緒に寝るのに慣れたのか、何気に寝相が悪いココアの右きょぬーが丸出し。

 髪と目がピンクなら、先っ……いやそうじゃなく。


 自分の忍耐と理性を褒めちぎりたい気持ちでいっぱいになりつつ、めくれ上がったパジャマをそっと整えて差し上げた。


「展望風呂に入ってみるか」


 夜明け前なので展望も何もなかったというね。


 普段なら朝メシを作り始めるところだが、必要がないため広いリビングでジョギングをして筋トレもみっちりやる。

 幾つかある柔術の打突型が終わる頃には汗だくで、夜も明けたから再びの展望風呂。


「街より空の方がイケてんな」


カチャ…


「イオリ♥」

「いらっしゃいませ」


 朝日に照らされるリリの裸体は、エロさよりも美しさが際立っている。

 いやエロい……俺のジュニアはギンギン……でも我慢、我慢……

 巨珍エロ大王とか呼ばれるわけにはいかんのだよ。


「ねえイオリ」

「な、なんだい?」


 いかんテッパって変な言葉になった。


「ココアが妊娠しやすいから、イオリは我慢してるんでしょ?」

「それか。まぁそれもあると言えばあるね」


 リリは長命種だから生殖能力が低く、更に俺が異種族だから妊娠確率は極端に低いらしい。

 リリとシェインが付き合ったのも、子供の頃から双方の両親に白亜種の存続を説かれていたため、恋だの愛だのではなく当然の流れだったとか。


「こんどーむ作れないの?」

「…ココア情報?」

「うん。イオリなら一つくらい持ってそうって」


 持ってねえし。でも避けては通れない問題だよな、ジッサイ。


 ユウトとも話したことがある。

 ゴムの原料はまんま天然ゴムだが、化学合成ゴムだからあれだけ薄くても破れないらしい。

 日本製のゴムが世界一と言われている理由は、人体に無害な薬品数種の配合率にあり、ユウトは「想像の何十倍も難しいですよ」と言ってた。


 形状は金型ならぬチ○コ型をガラスで造り、ゴム液に浸して引き上げる速さを突き詰めれば、小数点一桁の薄さは可能だろうと。

 ラブローション的な潤滑剤をマストにすれば、簡単に破れることはないらしい。

 型はルーカスに相談済みだ。


 ゴムは商機よりも、社会貢献の意味合いが強い。

 こっちに私生児が多かったり、死産や手遅れ堕胎での母体死が多いのも、物理的な避妊用品が存在しないから。娼婦は吐き気をもよおすと、精神的な意味で顔面蒼白になるとルーカスは言っていた。


 こっちの堕胎は薬剤を使う。

 毒草、薬草、水銀を混ぜたものとあって体に悪いこと請け合いだ。

 流産率もかなり低く、堕胎剤の服用が原因で死亡したと思われる女性は数知れず。


「イオリ、ここに座って」

「いや、それは…」

「体にも心にも良くないよ。私も我慢してる。でも出来ることは、ね?」

「……ありがとリリ、悪いけどお願い」

「何も悪くないよ。私は嬉しい。愛してるから」

「俺もリリとココアを愛してる」


 もちろんちゃんとお返しご奉仕をした。


「むっ、センパイとリリがすっきりした顔してる!」


 ココアの勘が鋭くて嫌すぎる。

 カノンが顔を赤らめ俯き、ユウトはジト目で刺してくる。


「ココアとカノンもしてあげなよ」(あっけらかーん)

「ほれっへ…?」


 ココアがパンを咥えたまま口を指さすと、リリがコクコク頷いた。

 誰か俺の心を救ってくれ早よ。


 すると、更に顔を真っ赤にしたカノンが、上目で皆を見回し口を開いた。


「ピルの…低用量経口避妊薬の成分と配合を知ってる…かなり詳しく…」

「ま!? 恥ずいかもだけど大切な話だよカノン!」

「うん。両親が医師で、お母さんは産婦人科医なの。私、不順で重いタイプだから飲んでた。作れそうと思ってたけど恥ずかしくて…ごめんね?」


 そういや開業医の娘だったわ。何科かは知らんかったけど。


「カノンが謝ることなんてないから! おいユウト!」

「分かっているよ。カノンさん、手伝えることがあれば言ってください」

「ありがとうユウトさん。これから相談しよう?」

「もちろんですとも」


 見張りは一人一時間の交代制と決めていて、俺、ココア、ユウト、カノンの順番だ。

 薬剤だと分かって微妙な顔をするリリを連れて張り込み部屋へ行き、ココアの説明を背中で聞きながら望遠スマホのピントを合わせた。


 始業前の可能性もあるため、朝メシ食って五時半から見張っているが来ない。


(俺だったら何時頃にするかなあ)


 こっちの仕事は六時頃に出勤し、十八時頃に退勤するのが一般的。

 始業直後と終業直前は忙しいだろうから、運び屋が来るのは八時から十六時の間だろう。


 昼メシで人がいなくなる十二時から十四時なんて狙い目かも。

 手弁当という習慣がないため、昼時は露店前や食堂がごった返す。


(待機電力的にも早く来てほしいんだよな)


 バックグラウンドで動くアプリは全消去したため、待機電力の消費量は激減している。

 しかし発電機開発は無期延期なので、先々を考えると少しでも節約しておきたい。

 術式の画像とかも撮るだろうし。


「そのお薬あったら毎日何度もしてもらえるね!」

「リリ欲求不満なの? ってか絶倫?」


 後者ですよココアさん。

 白猫の体力を舐めちゃいけない。すげえ跳ねるし。


「そろそろお仕事いかなきゃ。イオリ、チューして?」

「悪いけどこっちに来ておくれ」


 椅子に座ったままリリを横抱きにしてチュ~~~。ごっつぁんです。


「ココアにもチュ。じゃあ行ってきまーす」

「リリいてら~」

「頑張れよ~」


 一点から目を離さないって結構タイヘンだ。

 モーションセンサーを魔導器で造れないもんかね。

 光系統で似たようなモンが造れそうな気がする。

 赤外線を遮ったら発報する、みたいなやつ。


「センパイ、交代の時間だよ」

「おう………いやいや、上に座られたらストレッチもできないんだが?」

「あたしのオシリも大好物でしょ?」


 これっぽっちも否定できない。

 でもそれを言うなら手の平の上に座っていただきたい。


「ひゃう!?」


 両脇をがっと掴んで持ち上げ、立ち上がってストンと椅子に座らせた。


「脇弱いのか?」

「色んなとこ弱いんだよね」

「そりゃ楽しみだ」

「エロ魔王」

「褒めるな照れる」

「バーカ」(笑)


 リビングに鎮座する冷蔵魔導器を開け、果実水の樽のコックをひねりカップに注いでゴクゴクプハッ!

  水で割った果汁って意外と美味いのよ。


 ソファに横並びで座って相談している二人の視線を追うと、ピルに関することが色々とノートに書いてある。

 二種類のホルモンとか、三相性は自然なホルモン動態に近くて不正出血が起きにくいとか、避妊と生理周期コントロールなら第三世代ピルが良いとか。


※28錠1シートなら休薬期間がないから飲み忘れもない! が気になる。


「あのさ、ピルって毎日飲むものなん?」

「そうだよ。薬効があるのは二十一錠で、七錠は薬効がない偽薬なの」

「休薬期間の自己管理が不要になるので、飲み忘れ防止になるそうです」

「へぇ~。つーか、マジで作れんの?」

「興味本位だったけど、組成式を覚えてるから化合できるかなって」

「流石は医学部生といった知識ですよ、カノンさんは」


 薬剤って臨床テストとかやるんじゃねえのかな。

 いやまあ、ユウトとカノンがその辺を考えてないはずないか。


「センパーイ!」


 邪魔しちゃ悪いなと思い始めた時にココアが叫んだのでダッシュ。


「来たか!?」

「あ、ちょっと違くて。あの人がジャンだよね?」


 ダークブロンドの長髪を後ろで一纏めにしたジャンが、従業員だろう数人と談笑している。

 時計に目を移せば、もうすぐ七時半。


「ジャンだな。重役出勤か」

「吉岡さん、時間だから替わるよ」


 ついでにカノンも呼んで画像じゃないジャンを確認させ、先入観的に少し迷ったものの、昼メシ時の可能性が高いと伝えた。


 これ、空間拡張バッグのご褒美がなかったら挫折してる。



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