京都編 1日目 午前 〜京都の旅は「塞翁が馬」〜
3年ぶりの京都旅行1日目の午前中。気分が上がったり下がったりの半日であった。
3年ぶりの京都旅行である。今回は、1泊2日と短い旅行なので、効率よく観光しようと、早朝3時半に自宅からクルマで出発した。東名高速道路に乗ってしばらく走ると、後部座席から
「コンタクトの調子が悪い。」
との声が。最寄りのPAに駐車してコンビニで洗浄液を購入し、洗浄後、入れ直して再出発。ところが、
「まだ変だ。」
とまた声が。次のSAに寄り、コンビニでまたもや洗浄液を購入し、洗浄後、入れ直していた。
「片方に二枚入ってた。」
あっけらかんと言いやがった。いつになったら京都に着くのやら。
京都まで なかなかつかぬ コンタクト
家人のコンタクト騒動で、到着予定時刻が1時間ほど遅くなった。そこで、行程を変更し、まずは、寺町通りの老舗喫茶店に行った。
アメリカンコーヒーとホットオレンジジュース 、ホットケーキとフレンチトーストとプリンを一つずつ注文した。ホットケーキとパンケーキの違いってどんなだろうか?と考えながら給仕されるのを待った。
まず、アメリカンコーヒーとホットオレンジジュースが運ばれてきた。コーヒーが美味しいのは無論だが、ホットオレンジジュースは濃厚で酸味があり、眠気も吹っ飛び、美味しかった。
そのうちに、3品が次々に運ばれてきた。ホットケーキにバターを塗り、メープルシロップをたっぷりかけ、ナイフで切り分けて食べた。
表面のカリカリ感は、ふにゃふにゃしたパンケーキとはまったく違った。中はしっとりしているが、今どきのパンケーキのような甘やかなしっとり感ではなく、昭和の喫茶店らしい骨太なしっとり感であった。
「これこれ、まさに昭和のホットケーキ!」
と二人顔を見合わせた。
ホットケーキ 腑に落ち「パン」とは
別のもの
朝食後、枝垂れ桜で有名な平野神社に行った。平野神社に向かう途中、車窓から見える桜の木々はみな開花前で、嫌な予感を抱きながら平野神社に向かった。
案の定、平野神社の枝垂れ桜はみな固いつぼみのままで、枯れた枝を垂らして、まるで竹ぼうきのようであった。
竹ぼうき 肩すかし食らい 福食らおう
参拝もそこそこに、次の目的地、出町柳の豆大福を食べるために、クルマを大福屋に向けて走り出した。
ここの豆大福は、40年ほど前に食べたことがあるが、それ以来食べたことがないので、今回の旅行のハイライトの一つとして楽しみにしていた。お店で食べる時間がないので、店頭で買って車内で食べよう、と路肩に停め、店頭に向かうと
大行列 踵を返す 豆大福
とんでもなく長い行列が、次の通りまで続いていたので、断腸の思いで断念し、クルマで昼食場所に向かった。
高台寺付近の駐車場にクルマを駐車し、昼食までには時間があったので、四条河原町にある老舗和菓子店の支店がこの近くにあるので、先にそこで葛切りを食べることにした。日曜日、ということで本店の喫茶にはきっと列ができているはずである。支店も高台寺という観光客が溢れている場所なので、列に並ぶことを覚悟して店に向かった。
グーグルマップを見ながら、この通りを北に行けばよい、と思いながら歩いていると、どうも過ぎてしまったようである。
「あれ?過ぎちゃった?」
と思い、来た道を引き返すと和菓子屋の看板が目に入った。店の構えが本店とは違い簡素な上、予想した行列などなかったので、気づかずに通りすぎてしまったのだ。
店内に入ると、構えと同じ簡素な店内で好感をもてた。先客がたった一組で、すぐに席に座れた。しばらくするとその先客も店を出て行った。
お目当ての黒蜜の葛切りをそれぞれ注文した。葛切りの味は本店と全く変わらず、美味しくいただけた。その間も来客は皆無で、外の喧騒から遮断された結界の中に二人きりでいるように感じた。
あら不思議 京の葛切り 二人占め
昼食は、今日のハイライト!高台寺付近の有名料理店の喫茶を予約してあったので、すんなり席に着けた。予約時に注文しておいた「時雨弁当」が運ばれてきた。「弁当」といっても懐石料理の小鉢が9皿も収まった立派な品である。それに、お椀とご飯が付いた。お椀のふたを開けると、とても良い香りが鼻をくすぐる。大きな海老真薯の味は、過去一であった。小鉢は見た目もきれいで 食べてしまうのがもったいない、と思わせる品々で、迷い箸製造弁当だった。
ご飯のふたをとってみるとびっくり。まるでカレーがかかっているように見えたからだ。だが、カレーの匂いなどはしない。「塩辛?」とも思ったが、それにしては量が多すぎるし、最初からご飯にかけたりないだろう。横を通りかかった仲居さんに尋ねると、「鯛の胡麻和え」だと教えてくれた。これが、「時雨弁当」の名前の由来であるとも。
「胡麻和え」と聞き、ちょっとがっかりした。それは、あの胡麻特有の甘みがどうも好きになれないからだ。仕方がないのでしぶしぶ食べてみると、これが美味い !見た目からしつこく濃い味を想像したが、私の苦手な甘さもとても控え目でありながらも、出汁がしっかり効いていて、思わず「おかわり と言いたくなった。
大変満足し、ほうじ茶をおかわりして食後の感想を話しながら余韻を楽しんだ。来年も上洛したら、またここで食事しよう、と意見も合った。
しばらくして、用を足そうと席を立ちトイレに行った。
香りよし 見栄よし味よし 厠あし
ドアを開けると それまでの至福の余韻が一気に霧散してしまった。洗った手を拭いた後のペーパータオルが、ゴミ箱から溢れんばかりの状態だったのだ。
「料理店の質はトイレにあり」 というのが、私が考える名店の条件の1つである。その条件からすると、来年の
予約は、残念ながら考え直さざるを得なかった。
(でも、また、食べたい……。)
桜と豆大福は空振りだったが、あとはだいたい目標は達成できたので、家人の機嫌はよい。ヤレヤレ…(笑)




