表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/80

015-000 自由とは(閑話)

 2日目は、本当に何も起こらなかった。


 班員の行きたがっていた場所を巡って、写真撮影をして、様々なことを話し合って。


 話題は政治経済からスポーツのことまで。もちろん、期待する超能力のことは出ない。

 班員は政治家や弁護士を志望する子だっただけに、お互いの意見を交換する場となっていた。


「ウチは力が欲しいなぁ」


 将来の話題になって呟いた一言に、班員の2人が食いついた。


「私は能力が無いから解らないけど。能力者って既に力、持ってるようなもんじゃん? それ以上、力が欲しいって思うことが不思議」

「右に同じく。というか、それ以上の力を得て何に使うの?」

「何に、って ……」


 言われて、私まで困惑した。


 力があれば、何でも出来ると思っていた。

 何でも、の中には外界での一人暮らしや仕事などが含まれていた。


 でも、力があっても死神様が居る限り、私に外界での自由は訪れない。


「(力だけじゃ、結局、自由にはなれないんだ ……)」


 しかし、死神様を倒したい訳ではなかった。

 それでも力が欲しいと願っていた私は、何のために力を得ようとしていたのか考え込んだ。


 そんな様子に、黙っていた班員のもう1人が答える。


「羽生さんが欲しいのは、もしかしたら只の力では無くて権力かも」

「「権力??」」

「うん、そう。権力があれば自由になれるから。多分、私達と同じかも、って思った」


 班員の言葉に私は耳を傾ける。


「私の家、昔から弁護士の家系だから、私も当然、弁護士になることを強要されているの。

 もちろん、今の家から逃げ出したいって気持ちはある。両親の期待が大き過ぎて、テストの成績が悪かった時は、私が潰れそうになるから。

 でも、弁護士になったら両親から解放されて、お金も得られて、自由になれる。

 そう考えているから、今が辛くても頑張れるの」


 私は今の話しを死神様と里に置き換えてみた。

 それがピッタリ当て嵌まるものだから驚いてしまう。


 つまりは、誰もが()()()()()()()()()()()()()()()()()のだと理解した。


「両親が私に期待しているのは私が権力を得ること。だから、羽生さんの力というのも、多分、権力のことじゃないかな? 能力的な力ではなくて、ということね」


 権力があれば、外界で自由な活動を公認される可能性があった。

 非能力者に言われて、初めて気付かされた事実だった。



 ホテルへの帰りのバスの中で発表された、個人のお風呂を2回に分散するという内容に首を傾げながらも、私達は話し疲れて自然と眠りに落ちていた。

 ホテルに到着した時は橋本先生に叩き起こされる程、私達は深く眠ってしまっていたらしい。



******************************


 計画は完璧。

 だから、計画通りに例の薬をカレーに混ぜる。

 これで下準備は出来た。


******************************



 バスを下ろされて、再三、お風呂の説明を受ける。

 その際に、私は1組の生徒の不穏なオーラに気付いた。よく見れば、それは1組全体から大きめの黒い湯気のようになって湧き出ていた。


 通常、オーラは体の表面から溢れ出ている。だが、その量は能力を鍛えているか、いないか、ではっきりとした差が表れる。

 もっとも、鍛えているならば多すぎるオーラを抑え込むことや、逆に放出して量を調整することも出来るが、鍛えていない者はその調整は難しいとされている。

 しかし、元々の量が少ない人は、そもそも調整する必要がない、とも言えた。


 だが、鍛えていないと思われる者だけではなく、何故か非能力者からもオーラがかなり溢れていた。多すぎるオーラは調整しなければ肉体に悪影響が現れてしまう。


『原因は解らん。が、()があんだけ出てるってことは、誰かさんが何ぞ動いたってことやろ。もっとも、あれだけの異変、咲九が気付いてへん訳がないけど』


 花菜子の呟きに私は冷汗を掻く。


『まさか ……』


 朝のバイキングで出されたカレー鍋を思い出す。

 夢の中で、誰かが黒い粉末を投入していた。

 その粉末を、私は良く知っている。


 同じものであって欲しくないとどこかで願った。



******************************


 1組の生徒が、次々と顔を黒く染めていく。


『その術は、2人にはまだ早い!!』


 私は必死に円と瞳に叫ぶ。


 でも、鬼の面の2人には届いていない。

 このままだと、2人だけの話しではない。


 このままだと、1組の生徒は誰も真の地獄から戻れなくなる。


『お願い …… 誰か、誰か助けて!!』


******************************


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ