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幸運な君の運命の掴み方  作者: ラララ
1章 迷宮序章
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7/17

7 四層の秘密

今日は2話投稿します。

6時と18時に投稿します。



これから毎話ステータス書いていきます(そこ!文字数稼ぎなんて言わない!)

次の一週間、俺たちは新しい装備に慣れ、チームの連携を磨きながら、それぞれができる限りの準備を進めた。特に俺は、夜な夜な魔石ガチャに明け暮れ、わずかながらもステータスを上げるとともに、三つ目のスキル『運命の選択』の習得に没頭した。


ある夜、訓練施設で一人、スキルの練習をしていると、優しい声がかかった。


「健太さん、お疲れさまです。そんなに遅くまで……?」


振り向くと、聖子が立っていた。純白の聖職者ローブからはんだるが、私服の彼女は淡いパステルカラーのワンピースを着ており、また違った優しい雰囲気を漂わせていた。


「聖子か。まだ少し練習していたところだ」

「新しいスキル、難しいですか?」

「ああ……未来を見通すなんて、どうやったらできるのか見当もつかない」


聖子はそっと近づき、俺の隣に腰を下ろした。


「未来……ですか。私はよく、女神様にお祈りを捧げます。その時、ふと、目の前の人の未来がほんのり明るく照らされるような……そんな感覚になることがあります」

「ほう……? それは興味深い」


彼女の言葉に、ふと閃くものがあった。『運命の選択』は、未来の「確率」を読むスキルだ。聖子の「祈り」は、もしかしたらそれに近いものなのかもしれない。


「聖子、一つ頼んでいいか?」

「はい、何でしょう?」

「俺がこのスキルを練習している間、そばで……祈っていてくれないか? あるいは、何かヒントになるようなことがあれば」


聖子は少し驚いた表情を見せた後、優しく微笑んだ。


「わかりました。お役に立てるなら」


彼女は目を閉じ、静かに手を組み始めた。特に大きな動作や詠唱はない。しかし、彼女の周囲には確かに、穏やかでありながら強い「何か」が満ち始めている。APP58の輝きが、ほのかに増しているようにさえ感じた。


俺も目を閉じ、『運命の選択』の感覚を探る。未来……分岐点……最も有利な選択……


(……無理だ。やはり何も……)


すると、その時だ。


聖子の穏やかなオーラが、ほんのりと俺に触れてきたような感覚があった。そして、暗闇だった視界の向こうに、かすかに、幾筋もの光の道のようなものが見え始めたのだ。


(……!?)


一本の道は明るく輝き、別の道は曇っている。さらに別の道は、途中で突然消えている……。


「これは……!」

「どうかされましたか、健太さん?」


俺は目を見開いた。ほんの一瞬、ほんのわずかな未来の断片を、確かに「見た」気がした。


「今……少しだけ、道筋のようなものが見えた気がする」

「まあ! 良かったです!」


聖子の顔がぱっと輝いた。その笑顔は、APPの数値以上の、心からの喜びに満ちていた。


「聖子……お前の『祈り』が、俺のスキルに何らかの影響を与えたかもしれない」

「そうでしょうか? 私にできることなら、いつでもお手伝いしますよ」


彼女は照れくさそうにうつむいた。


「……ありがとう、聖子。助かった」

「いいえ……こちらこそ、お役に立てて嬉しいです」


その瞬間、なぜか俺の胸の中に、ほんのりとした温かみが広がった。LUCKの力とはまた違う、穏やかで確かな温かみだ。


◆◇◆◇◆◇


任務前日。迷宮社本部の作戦室で、最終ブリーフィングが行われた。


カゲトが、最新の偵察データをスクリーンに映し出す。古代観測所は、森の中心にある円形の広場に、ぽつりと建つ白亜の建造物だった。しかし、その周囲には、強力な結界が張られているのが確認できる。


「結界は五重に張られている。物理的障壁、魔法障壁、精神干渉、そして……確率変動障壁だ」

「確率変動……?」

「ああ。内部への侵入を試みる者の『運』を歪め、失敗に導く障壁だ。通常の手段では、門前にすらたどり着けない」


カゲトは俺を見る。


「ここが、お前の出番だ、健太。お前のLUCKが、この確率変動障壁を無効化できるか、あるいは突破する弱点を見つけ出せるか」


「やってみるしかないな」

「ただし、油断は禁物だ。結界の外にも、強力な魔物が徘徊している。前回のアースゴーレム以上の個体も確認されている」


スクリーンに映し出される魔物のデータを見て、紫子が厳しい表情を浮かべる。


「LV60前後……かなり手強そうです」

「ですが、新しい装備もあります。必ずお守りしてみせます」

聖子が確かな口調で言う。


「では、明日の朝8時に、ここに集合だ。しっかり準備を整えておけ」


ブリーフィングが終わり、各自が解散する中、聖子がそっと俺の袖を引いた。


「健太さん、よろしいですか?」

「ああ、どうした?」

「もしよければ……今夜、一緒に女神様にお祈りを捧げませんか? 明日の任務の安全を願って」


彼女の瞳は真摯で、優しさに満ちていた。あの日、スキルの練習を手伝ってくれた時の温かみを思い出し、俺はうなずいた。


「ああ……そうさせてもらうよ」


◆◇◆◇◆◇


迷宮社本部には、小さな礼拝堂が設けられていた。聖子に導かれ、その静かな空間に足を踏み入れる。柔らかなろうそくの灯りが、穏やかな空気を醸し出している。


聖子は祭壇の前で跪き、静かに祈りを始めた。俺は少し離れた席に座り、彼女の後ろ姿を見つめる。その佇まいは、まさに「天使」の名にふさわしい、神聖ですらある美しさだった。


やがて、彼女の祈りが終わると、俺の隣に座った。


「ありがとうございました、健太さん。来てくださって」

「いや……むしろ、ありがとう。なんだか、心が落ち着く」

「そう言っていただけて、嬉しいです」


少しの沈黙が流れる。ろうそくの火が揺らめく音だけが、静かな礼拝堂に響く。


「聖子は、なんで迷宮社に入ったんだ?」

「はい……私には、幼い頃から『癒し』の力がありました。傷ついた小鳥や、道端の花でさえも、私が触れると元気になることがあるんです」

「それは……生まれ持った才能だな」

「ええ。でも、その力で、もっと多くの人を、世界を救いたいと思って。迷宮社なら、その力が必要とされていると聞きまして」


彼女の目は、強い決意に輝いていた。見た目以上の芯の強さを、改めて感じさせられた。


「健太さんはどうですか? なぜ、あんなに……『幸運』に全てを賭けようと思ったんですか?」


珍しくストレートな質問に、俺は少し考え込んだ。


「……最初は、ただの反抗だった。『運に振ったら人生棒に振る』って、よく言われたからな。その言葉に反発したってのもある」

「でも今は?」

「今は……この力で、守りたいものがあるからだ。明日香も、紫子も、聖子も……このパーティーのみんなをな」


聖子の頬がほんのり赤くなった。


「……嬉しいです。私たちのことを、そう思ってくれているなんて」

「当たり前だ。お前たちは、かけがえのない仲間だ」


再び沈黙が訪れる。しかし、先ほどとは違い、心地よい静寂だった。


「健太さん」

「ん?」

「……お手を、貸していただけますか?」


聖子が、少し恥ずかしそうに、しかし確かな意志を持って手を差し出した。俺は少し驚きながらも、その手を握った。


すると、彼女の手から、あの温かなオーラが再び流れ込んでくる。しかし今回は、祈りの時よりもっと強く、確かに。


「これは……?」

「私の……精一杯の『祝福』です。明日の任務が、無事に成功しますように……そして、健太さんが、ご自身の道を見出せますように……」


その瞬間、俺の《マイチェック》が、ほのかに反応した。


 状態:精霊の加護(持続時間:24時間)| LUCK効果微増 | 精神安定 |


「聖子……お前……」

「どうか、お気になさらずに。これは……私からの、少しばかりのお守りです」


彼女は微笑んだ。その笑顔は、ろうそくの灯りに照らされて、一層美しく輝いて見えた。


◆◇◆◇◆◇


任務当日。朝8時、全員が作戦室に集合した。それぞれの顔には、緊張と決意が浮かんでいる。


カゲトが最終確認を行う。


「全員、装備の最終チェックは済んだな?」

「「「はい!」」」


「では、行くぞ。健太、先頭を頼む。紫子、前衛のサポート。聖子、中衛での支援を忘れるな。明日香、魔法攻撃はタイミングを見計らえ」


エレベーターで深部へと降りていく。第四層のゲートが近づくにつれ、あの不気味な静寂が再び迫ってくる。


ゲートをくぐり、第四層「静寂の森」へ。今回は、最初からLUCKの感覚を最大限に研ぎ澄ませている。無数の確率の流れが、より鮮明に感じ取れる。


「結界までは、ほぼ直進だ。前回のルートを覚えているな」

「はい、任せてください」


紫子が先頭に立ち、慎重に進路を開いていく。新しい装備を身にまとった彼女の動きは、以前よりも軽やかで力強い。


しばらく進むと、前方から複数の気配が感じられる。


「魔物だ。三体……いや、五体か」

「《マイチェック》!」


 シャドウストーカー (LV52)

 特徴:高速、暗殺術、集団行動


「後ろにも回り込まれる! 注意しろ!」

「《鉄壁の構え》!」


紫子が盾を構える。しかし、シャドウストーカーは紫子を無視し、なんと後衛の聖子と明日香を狙って動き出した!


「っ!? こいつら……!」

「聖子さん!」


紫子が焦りの声を上げる。その瞬間──


(……左から二体、右から三体。右の一体がまず仕掛ける……!)


『運命の選択』のスキルが、かすかに、しかし確かに未来の断片を映し出した。


「明日香! 左にウィンドカッター! 聖子、右に浄化の光を!」

「「はい!」」


明日香の風の刃が左側の二体の動きを封じ、聖子の放つ浄化の光が右側の魔物の目をくらませた。


「紫子! 今だ! 右の混乱している三体を!」

「了解!」


紫子が猛然と突撃する。ミスリル合金の盾「皎月」が、魔物たちをなぎ倒す。


「ふん……!」

「残り二体は俺が──《ラッキーパンチ》!」


俺の拳が、残りのシャドウストーカーの頭部を粉砕する。


一連の流れが、水が流れるようにスムーズだった。


「……凄い。あの連携……」

「お兄ちゃん、今の……『運命の選択』?」

「ああ……少しだけ、だがな」


聖子が嬉しそうに微笑んだ。彼女の『祝福』が、わずかながら効果を発揮しているのかもしれない。


そうして一路、古代観測所へと向かう。結界が張られた広場が見えてきた。白亜の建造物は、近くで見るとさらに威容を誇っていた。


「これが……古代観測所」

「結界の圧力が凄まじい……」


五重の結界が放つオーラは、物理的に迫ってくるほどだった。


「健太、頼む」

「ああ」


俺は結界の前に立ち、精神を集中させる。LUCK3000の感覚を最大限に研ぎ澄ませ、確率変動障壁との干渉を試みる。


(……この結界……確かに俺の『運』を撹乱しようとしている)


しかし、LUCK3000という圧倒的な力の前では、その撹乱もかき消されてしまう。さらに、聖子の『祝福』が、ほのかに結界との調和を促しているような感覚さえある。


「……大丈夫だ。ついて来い」

「まさか……あの強力な結界を、ただ歩いて突破するつもりですか?」

「信じろ、紫子」


俺はためらいなく結界へ足を踏み入れた。他の三人も続く。結界のオーラが体を包むが、特に支障はない。


「信じられない……本当に突破できた」

「これが……健太さんの『幸運』……」


観測所の重厚な石造りの扉が、眼前に立ちはだかる。ここにも、強力な魔法のロックがかかっている。


「このロック……どうすれば」

「待て」


俺は扉の前に立ち、再び『運命の選択』に意識を集中させる。未来の分岐……開ける方法……。


(……右上、左下、中央……この順に魔力を注げ……)


「明日香、聖子。俺の指示通りに、扉に魔力を注げ」

「「はい!」」


「まず右上……次に左下……そして中央だ」


二人が指示通りに魔力を注ぐ。すると、扉に刻まれた紋章が順番に輝き、重厚な音とともに扉が開いた。


「開いた……!」

「中へ急げ!」


中は薄暗く、ほこりっぽい空気が漂っていた。壁には古代の文字や、複雑な魔法陣が刻まれている。


「ここが……古代観測所」

「あの机の上に、何かありますよ」


明日香が指さす方向には、分厚い書物と、いくつかの水晶のような道具が置かれている。


俺が近づき、書物を手に取る。そこには、古代語で何かが記されている。


「読めるか?」

「ちょっと待って……《マイチェック》で……」


すると、《マイチェック》が反応し、古代語が自動的に翻訳されて表示され始めた。


 |『確率論と運命改変に関する考察』……真の幸運とは、数値化された確率を超え、運命そのものに干渉する力である……|


「!?」

「まさか……これは……」


まさに、俺の「幸運」そのものを論じた書物ではないか!


その瞬間、観測所の奥から、不気味な気配が迫ってきた。


「お兄ちゃん、何か来る!」

「全員、警戒を!」


奥の闇から、ゆっくりと現れたのは──人間の形をしているが、明らかに人間ではない、漆黒の鎧に身を包んだ騎士だった。


その姿を見て、カゲトから渡されていた念話器から、彼女の声が緊迫した口調で響く。


“まさか……『運命の番人』がまだ活動しているとは……健太! あれはこの観測所を守る自律守護者だ! LVは70以上ある! 撤退だ!”

“だが、この資料は……”

“命あっての物種だ! 今すぐにだ!”


漆黒の騎士──『運命の番人』が、重々しい足音を響かせて一歩踏み出す。その圧迫感は、これまで戦ってきたどの魔物よりも桁違いだった。


(ここで戦うか……撤退するか……)


俺は必死に『運命の選択』に問いかける。未来の分岐……最も有利な道は……!


すると、視界に、一本の光の道がはっきりと浮かび上がった。それは──戦う道ではなかった。観測所の壁の一部を指し示している。


「みんな! あの壁だ! 全力で壊せ!」

「え? でもあの騎士は?”

“信じろ!”


紫子が迷わず盾で壁を強打する。しかし、びくともしない。


「硬い……!」

「ならば……これで!」


明日香と聖子が魔法を放つ。それでもひびが入るだけだ。


その間にも、『運命の番人』が迫ってくる。


(くそ……間に合わないか……!)


その時、俺の体内で『確率保存』のスキルが自然発動した。蓄えられていたLUCKが解放され、壁の「弱点」が《マイチェック》に浮かび上がる。


「右上だ! 明日香! 右上を狙え!」

「はい! 《サンダーボルト》!」


雷撃が壁の弱点を貫く。壁が崩れ、その向こうに──秘密の通路が現れた。


「行くぞ!」

「でも、資料は……”

“持って行け!”


俺は机の上の書物と水晶を掴み、四人で秘密の通路へと飛び込んだ。


背後で『運命の番人』の咆哮が響くが、もうこちらには迫ってこない。どうやら、通路の外には出られないらしい。


「……どうやら、助かったようだな」

「はあ……はあ……あれが……LV70……」

「信じられない……本当に脱出できた……」


皆、安堵の息をつく。


「健太さん……あなたの『幸運』が、また私たちを救ってくれました」

「いや……これはみんなの力だ。お前たちが信じてついて来てくれたからこそだ」


俺は手にした古代の書物を見つめる。ここに、俺の「幸運」の秘密、そしてさらなる可能性が記されているに違いない。


「さあ、帰還だ。カゲトにも、報告しなければな」

「はい!」


四人は、秘密の通路を進み、無事に第四層からの脱出経路へとたどり着いたのであった。新たな発見と、深まった絆を胸に──。



■ パーティーメンバー ステータス (第四層「古代観測所」調査任務前)


1. 横嶋 健太 (よこじま けんた)


レベル: 31

ステータス:


· STR: 240 (+5)

· VIT: 225 (+7)

· AGI: 225 (+7)

· INT: 220 (+5)

· DEX: 220 (+5)

· LUCK: 3000 (※変動あり)

· APP: 42

主なスキル: 腕力強化、拳術、剣術、魔石ガチャ、ドロップ率増加、ラッキーパンチ、確率干渉(習得中)、確率保存(習得中)、運命の選択(習得中)

装備: 機動の腕輪、各種ガチャ獲得装備


2. 横嶋 明日香 (よこじま あすか)


レベル: 31

ステータス:


· STR: 125 (+5)

· VIT: 125 (+5)

· AGI: 155 (+5)

· INT: 460 (+10)

· DEX: 215 (+5)

· LUCK: 25 (+5)

· APP: 55 (+2)

主なスキル: 脚力強化、基礎魔法、思考加速、並列思考、器用

装備: プロテクトネックレス、マナバンドリング、魔導師のローブ【詠唱速度+10%】、翠晶の杖【魔法威力+5%】、幸運の指輪【ドロップ率微増】


3. 皇 紫子 (すめらぎ しこ)


レベル: 33

ステータス:


· STR: 370 (+20)

· VIT: 400 (+20)

· AGI: 140 (+20)

· INT: 130 (+20)

· DEX: 180 (+20)

· LUCK: 30 (+5)

· APP: 50 (+2)

主なスキル: 鉄壁の構え、挑発、盾術大師、剛力、頑健、不動心

装備: ミスリル合金盾「皎月」、ミスリル全身鎧「銀華」、衝撃吸収ブーツ


4. 天使 聖子 (てんし せいこ)


レベル: 32

ステータス:


· STR: 125 (+5)

· VIT: 190 (+10)

· AGI: 140 (+5)

· INT: 340 (+20)

· DEX: 160 (+5)

· LUCK: 45 (+5)

· APP: 58 (+3)

主なスキル: ヒール、エリアリジェネ、防御バフ【光の加護】、浄化、祈り、精霊の祝福

装備: 聖杖「慈愛の枝・改」、精霊衣「純白の誓い」、聖なるペンダント【MP回復速度UP】


5. 黒鉄 カゲト (くろがね かげと)


レベル: ?? (測定不能)

ステータス: 全て?? (完全隠蔽)

主なスキル: ??? (多数の未知スキルを保有)

装備: 魔装コート「夜霞」、双剣「闇鴉」「白鷺」、偵察用多機能ゴーグル



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