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才能EXの落ちこぼれ召喚士〜成長の鍵は地脈だった!?〜  作者: SN


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第17話 火鱗窟


ランキング戦から二日後。


日曜日。

迷宮実戦の日。


蓮とゴロは、F級火属性迷宮──“火鱗窟”へ来ていた。


目の前には、死火山の岩肌へ埋め込まれるように巨大な石造りの門が佇んでいる。


左右の門柱には、蛇、蜥蜴、鰐といった爬虫類を模した彫刻。

その全身には炎を思わせる紋様が刻まれ、門の中央では赤い光がゆらゆらと揺れていた。


「ここが火鱗窟か……」


入口へ近付くだけで、ほんのりと熱を帯びた風が頬を撫でる。


蓮は肩のゴロと共に門を潜った。

その先に広がっていたのは、黒い岩肌が続く洞窟。

まるで、遠い昔に流れた溶岩がそのまま冷え固まったような景色だった。


「思ったより暑くないな」


熱はある。

だが、環境そのものが大きな脅威になるほどではない。


蓮はゴロを見る。


「まずは泥で行こう」


こくり。


「ゴロ。≪泥ノ体≫」


白い光が全身を包む。

土だった身体が濃い泥色へ変わり、水分を含んだ柔らかな身体となる。


──どんっ。


ゴロが胸を叩いた。


先日の検証。

そして、ランキング戦。


≪泥ノ体≫が速い相手へ有効なのは確認できた。


だが。


今回は別の意味で、試したいことがある。


火属性。


水から得た≪泥ノ体≫なら、基本的には相性が良い。

実際、訓練施設でも弱い炎ならほとんど問題はなかった。


しかし。


高火力の炎を受け続ければ、身体の水分が失われて泥が乾燥する。

柔軟性も動きも、大きく落ちる。


「どこまで通用するか、見ていこう」


こくり。

ゴロが拳を構えた。


◇


第一階層。


岩陰から、赤茶色の蜥蜴が飛び出した。


“火蜥蜴”。


口を開き。


──ボッ!


小さな火球が飛んでくる。

ゴロはそのまま胸で受けた。


──ジュッ……。


白い湯気が上がる。

だが、泥の身体に大きな変化はない。


「やっぱり、この程度なら問題ないな」


そのまま距離を詰める。


──ドゴォッ!!


一撃。

火蜥蜴が白い光へ変わった。


「……弱いな」


これでは、まだ検証にはならない。


◇


さらに奥へ進む。

第二階層を越え、第三階層。


岩陰から現れたのは、細長い赤い蛇──“火蛇”。

火蛇は一気に飛び掛かると、ゴロの腕へ身体を巻き付けた。


──ぎり。

──ぎりぎり。


強く締め上げる。


しかし。


柔らかな泥の腕は、締め付けられるほど沈んでいく。

逆に、火蛇の身体へ泥が絡み付いた。


「シャァッ!?」


火蛇が慌てて離れようともがく。

だが、動くほどさらに深く泥へ沈んでいく。


「なるほど」


蓮は頷く。


「密着してくる相手にも効くのか」


ゴロが腕を振る。


──ドゴッ!!


火蛇が岩壁へ叩き付けられ、そのまま白い光となって消えた。


「覚えておこう」


速い相手だけではない。


掴む。

絡み付く。


そうした近接型にも、≪泥ノ体≫は相性が良さそうだった。


◇


その後も。


“火家守”。

“火亀”。


新たな魔物と戦いながら進んだ。


火球。

火炎。

突進。


どれも、≪泥ノ体≫を大きく乾燥させるほどの威力はない。

多少、表面から湯気が立つことはあっても、柔軟性や動きに大きな問題はなかった。


「十分だな」


蓮はゴロの身体を見る。


「火属性迷宮でも、泥ノ体は使える」


こくり。


ただし。

それは、ここまでの相手ならという話。


「本当に見るべきなのはボスだな」


迷宮の強化を受けた火属性のボス。

その火力を、≪泥ノ体≫がどこまで受けられるか。


「ここからは魔力を温存しよう」


こくり。


「ゴロ。解除だ」


白い光。

泥色の身体が、いつもの土へ戻った。


そこから先は土の身体で十分だった。

現れる魔物を危なげなく倒しながら、蓮とゴロは迷宮の奥へ進んでいく。


そして。


第九階層を抜けた先。

第十階層へ続く大きなゲート。


その前で、蓮は足を止めた。


途中から≪泥ノ体≫を解除したことで、消耗した魔力もほぼ戻っている。


「魔力も問題なし」


ゴロが。


──どんっ。


胸を叩く。


ここから先が、今日の本番。

蓮はゲートへ手を掛けた。


「行こう」


こくり。


扉が開く。

奥から、これまでより強い熱気が流れ込んできた。


蓮とゴロはそのまま、第十階層へ足を踏み入れた。


◇


第十階層。


広い空洞の中央。

黒く冷え固まった岩盤の上で、一体の巨大な鰐が静かに伏せていた。


全長は四メートルほど。


赤黒い鱗。

太い四肢。

地面へ横たわる、長く重い尾。


閉じられた口元からは、鋭い牙が何本も覗いている。


“火鰐主”。


火鱗窟最深部の主。


「……でかいな」


蓮は静かに息を吐く。

肩のゴロも、じっと火鰐主を見つめていた。


ここまでの魔物とは明らかに違う。

まだ眠っているだけなのに、その巨体から重い圧力を感じる。


蓮は一度ゴロを見る。


「行くぞ」


こくり。

ゴロが頷き、一歩踏み出した。


直後。

火鰐主の瞼がゆっくりと開く。


──ギロリ。


黄金色の瞳が、蓮とゴロを捉えた。


「グルルルル……」


低い唸り声。

火鰐主がゆっくりと身体を起こす。


──ズン……。


四肢が岩盤を踏む。

それだけで、足元から僅かな振動が伝わってきた。


そして。


周囲の魔素が動き始める。


「来たな」


蓮は表情を引き締めた。


魔素が次々と火鰐主へ吸い寄せられていく。

赤黒い身体が一回りほど大きく膨らみ、鱗の隙間へ赤い光が走った。


さらに。


長い尾の先。


──ボッ。


小さな炎が灯る。


迷宮強化。


それまで眠っていた火鰐主が、完全に戦闘態勢へ入った。


「まずは様子を見るぞ」


攻撃力。

速度。

火力。


迷宮強化によって、どこまで強くなったのかは分からない。


≪泥ノ体≫は火属性に強い。

だが、高火力の炎だけは別だ。


最初からその弱点を晒す必要はない。


「一番硬い身体で行くぞ」


こくり。


「ゴロ。≪電晶ノ体≫」


白い光が全身を包む。

土色の身体が青白い結晶へ変わり、背中には蓄電結晶が形成された。

その内部で淡い光が揺れる。


「まずは情報収集だ」


ゴロがゆっくりと前へ出る。

火鰐主も低く身体を沈めた。


「……来るか?」


次の瞬間。


──ドンッ!!


岩盤が弾けた。


「速い!」


火鰐主が一直線に突っ込んでくる。

四メートル近い巨体が、あっという間に距離を詰めた。


ゴロは身体を捻って躱す。


だが、避け切れない。


「──っ!」


──ガキィッ!!


巨大な顎が右腕へ食い付いた。

硬い牙と青白い結晶がぶつかり、激しい音が空洞へ響く。


「……耐えた!」


牙は食い込んでいる。

だが、電晶ノ体の腕を一撃で砕くほどではない。


なら。


反撃できる。

そう思った、その時。


火鰐主の口元で赤い光が強くなる。


「っ!」


──ボォッ!!


牙の隙間から炎が噴き出した。

噛み付かれた右腕が、一瞬で炎へ包まれる。


「牙から火まで……!」


青白い結晶の表面を炎が舐める。


だが、まだ大きな損傷はない。

電晶ノ体なら十分耐えられる。


「ゴロ。反撃!」


空いている左拳へ魔力が集まる。


「≪大地ノ拳≫!」


拳を振り抜く。


だが、その直前。

火鰐主の身体が大きく捻れた。


「なっ……!」


噛み付いたまま。

巨体が回転する。


──グルンッ!!


右腕が強引に引っ張られる。


電晶の身体は硬い。

だからこそ、捻りを逃がせない。


──バキッ!


「っ!」


亀裂。


次の瞬間。


──バキバキバキッ!!


右腕全体へ一気にひびが走った。


「ゴロ!」


それでも火鰐主は止まらない。

さらに、もう一回転。


──グルンッ!!

──バギャッ!!


肩から先が完全に捻じ切られた。

青白い結晶の腕が宙を舞い、そのまま岩盤へ落ちる。


──ガランッ!


「……!」


だが。


ゴロは止まらない。

痛みはない。


残った左拳を、そのまま火鰐主の頬へ叩き込む。


──ドゴォッ!!


続けて。


──バチィィッ!!


青白い電撃が火鰐主の身体を走った。


「グッ……!」


巨体が僅かに硬直する。


「効いた!」


蓮はすぐに判断した。


「今だ! ≪大地ノ角撃≫!」


ゴロが身体を沈める。

額から青白い角が伸び、加速の態勢へ入る。


だが。


火鰐主の硬直は、ほんの一瞬だった。


「なっ!? もう動く!?」


火鰐主が身体を大きく回す。

長い尾が横薙ぎに迫る。


──ブォンッ!!


角撃の溜めに入っていたゴロは動けない。


「ゴロ!」


直後。


──ドゴォン!!


太い尾が胴体へ直撃した。

ゴロの身体が大きく吹き飛ぶ。


──ガァン!!


背中から岩壁へ激突。

そのまま岩盤の上を転がった。


「大丈夫か!?」


片腕を失った身体が、何とか起き上がる。


深緑色の瞳はまだ消えていない。

だが、右肩から先が完全にない。


蓮はすぐに手を伸ばした。


「≪修復再生≫!」


白い光がゴロの右肩を包む。

欠けた結晶が少しずつ伸び、腕の形へ戻り始めた。


「くっ、重い……!」


電晶ノ体の修復は、土よりも明らかに魔力を使う。

しかも今回は腕一本を完全に失った。

消費は小さくない。


それでも、修復しないわけにはいかない。


その時。

火鰐主が再び身体を沈めた。


「まずい!」


──ドンッ!!


二度目の突進。

まだ右腕は戻り切っていない。


「避けろ!」


ゴロは咄嗟に身体を横へ投げ出した。


反撃は考えない。

ただ、直撃だけを避ける。


──ガァン!!


火鰐主の牙が岩盤へ突き刺さり、砕けた石片が周囲へ飛ぶ。


だが。


それで終わらない。

火鰐主がすぐに身体を捻った。


「尾!」


──ブォンッ!!


ゴロは地面へ身体を丸め、そのまま転がる。


──ゴロッ!

──ゴロゴロッ!


太い尾が頭上を通り過ぎた。


綺麗な回避ではない。

それでも、直撃だけは避けた。


白い光は、その間も右肩を包み続けている。


「あと少し……!」


結晶が伸びる。


肘。

前腕。

拳。


そして。

ようやく失われた右腕が元の形へ戻った。


「……間に合った」


蓮は小さく息を吐く。


だが、安心はできない。

火鰐主はまだ大きな傷をほとんど負っていない。


対してゴロは、右腕を一度完全に失った。

それを戻すため、蓮の魔力も大きく削られている。


「……このままじゃ駄目だな」


一度なら戻せる。

二度でも、おそらく。


だが。


三度、四度と繰り返せば。

先に蓮の魔力が尽きる。


しかも。

一番硬い≪電晶ノ体≫で、この結果だ。


牙だけなら耐えられた。

だが、噛み付かれたまま巨体で捻られれば、硬い結晶は力を逃がせない。


そして──砕ける。


「硬さで受ける相手じゃない……」


蓮は火鰐主を見据えた。


硬さで勝てない。

なら、もっと硬くする?


違う。


必要なのは、逆だ。


「……そうか」


蓮の目が僅かに見開かれる。


硬いから、捻じ切られる。


なら。


捻られても形を変えられる身体なら。

砕かれることを恐れなくていい身体なら。


「こういう時こそ……」


蓮はゴロを見る。


「泥だ」


深緑色の瞳が蓮を捉える。


「ゴロ」


こくり。


「≪泥ノ体≫」


白い光が青白い結晶を包み込んだ。


硬い身体が、柔らかな泥へ。


濃い泥色。

水分を含んだ身体が、ゆらりと揺れる。


蓮は改めて火鰐主を見る。


「硬さで受けるのはやめだ」


そして。


「今度は、壊される前提で戦うぞ」


ゴロが力強く泥の胸を叩く。


──どんっ!!


火鰐主が低く唸る。


「グルルルル……」


先ほどまでとは違う身体。

だが、相手にとっては関係ないらしい。


再び四肢へ力を込める。


「来るぞ」


次の瞬間。


──ドンッ!!


火鰐主が一直線に突っ込んできた。


速い。


ゴロは身体を横へずらす。

だが、避け切れない。


──ガブッ!!


巨大な顎が右腕へ食い付いた。


「……っ」


牙は簡単に泥の身体へ沈む。


電晶ノ体なら、表面で牙を受け止めていた。

だが、≪泥ノ体≫にはそんな硬さはない。


その代わり。


火鰐主がそのまま身体を捻る。


──グルンッ!!


噛み付かれた右腕が大きく引っ張られた。


しかし。


泥の腕は砕けない。

捻りに合わせて、ぐにゃりと形を変える。


「やっぱり、捻りには強い!」


火鰐主がさらに回転する。


──グルンッ!!


泥の腕が伸びる。

歪む。


それでも、先ほどのように一気に亀裂が走ることはない。


やがて。


──ブチッ!


二の腕から泥の一部が千切れた。


火鰐主が大きく首を振る。


──ブンッ!


咥えていた泥の腕が、岩盤へ叩き付けられた。


「さすがに持っていかれたか」


だが。


地面へ落ちた泥が、ずるずると動き始める。


飛び散った泥も。

千切れた右腕も。


床を這うようにしてゴロの足元へ戻り、その身体へ吸収されていった。

欠けていた右腕が、ゆっくりと元の形を取り戻していく。


「これなら……!」


失った部位を一から作り直す電晶ノ体とは違う。

≪泥ノ体≫なら、千切れた身体そのものを回収できる。


その時。


火鰐主が鬱陶しそうに口を開いた。


「グルル……」


蓮の視線が、その口元で止まる。


牙の隙間。

その周囲へ泥がべっとりと張り付いている。


噛み付いた時に、ゴロの身体が付着したものだ。


「よし。ちゃんと残ってる」


想定どおりだった。

攻撃する時だけではない。

相手から触れてきても、泥は付く。


なら。


「これなら、受けるだけでも無駄にはならないな」


硬さで攻撃を止める必要はない。

避け切れなければ、受ける。


壊されても戻る。


そのうえ、相手には泥が残る。


「このまま泥で動きを鈍らせるぞ」


こくり。


火鰐主が再び踏み込む。

今度は大きな尾。


──ブォンッ!!


横薙ぎ。

ゴロは後ろへ下がろうとする。


だが。


やはり、間に合わない。


──ドゴォッ!!


太い尾が脇腹へ叩き付けられた。


泥の身体が大きく歪む。

勢いを殺し切れず、ゴロが岩盤の上を滑っていった。


腕から。

脇腹から。


泥が大量に飛び散る。


だが、電晶ノ体のように砕けることはない。

大きくへこんだ身体も、ゆっくりと元の形へ戻っていく。


そして。


火鰐主の尾にも、新たな泥が付着していた。


「いい。そのままだ」


火鰐主が尾を振る。


一度。

二度。


泥を振り落とそうとする。

だが、完全には落ちない。


その間にも、ゴロの身体は戻っていく。


「今だ!」


火鰐主が尾を振ることへ意識を取られている。

ゴロが前へ出る。


速くはない。

それでも、今なら間合いに入れる。


「≪大地ノ拳≫!」


泥の右拳が大きく膨らむ。


──ドゴォッ!!


火鰐主の前脚へ直撃。

拳の衝撃と同時に、大量の泥が弾けた。


前脚。

胸。

腹。


べっとりと張り付く。


「グルァッ!」


火鰐主が身を捻り、すぐさま距離を取ろうとする。

だが、その一歩が僅かに鈍い。


「……効いてる」


拳そのものは、あまり効いていない。


だが。


付着した泥が、その動きを鈍らせていた。


重さだけではない。

足の関節へまとわりつき、動きを邪魔している。


火鰐主が強く地面を蹴った。

まだ速い。

だが、最初ほどではない。


「もう一度来るぞ!」


火鰐主が大口を開ける。

ゴロは避けようと身体をずらすも。


──ガブッ!!


噛み付かれた。

だが、噛まれたのは肘から先だけ。


最初より明らかに浅い。


火鰐主は噛み付いたまま。

ゴロの間合いへ入っている。


「ゴロ!」


空いた拳を握る。


「≪大地ノ拳≫!」


──ドゴォッ!!


今度は火鰐主の頬。

さらに大量の泥が飛び散り、首から前脚へ張り付いた。


「グオオッ!」


火鰐主が苛立ったように唸る。


身体を振る。

尾を叩き付ける。


ゴロも避けようとする。

だが、全ては避け切れない。


肩へ。

腕へ。

脇腹へ。


攻撃が掠め、泥が飛び散る。


それでも。


電晶ノ体の時とは違う。

一撃ごとの損傷は軽い。


そして。


接触するたび火鰐主へ泥が残る。

ゴロが殴れば、さらに泥が増える。


少しずつ。

少しずつ。


火鰐主の動きが重くなっていった。


「やっぱり、この形だ」


蓮は戦いを見ながら確信する。


全部を避ける必要はない。

避けられる攻撃は避ける。

避け切れなければ、泥の柔らかさで受ける。


そして。


相手が間合いへ入った瞬間に、こちらも返す。


ゴロの低い機動力を無理に補う必要はない。

火鰐主の方から近付いてくるなら、その攻撃さえこちらの勝機へ変えればいい。


「グルルル……!」


火鰐主が一度距離を取った。


四肢には泥。

胸にも泥。

長い尾にも、ところどころ泥が付着している。


それでも。


まだ動ける。

火鰐主が低く身を沈めた。


「また来る」


蓮は目を細める。


火鰐主の四肢には、泥がべっとりと絡み付いている。


踏み込む速度も。

方向転換も。


明らかに落ちていた。


「今なら……」


火鰐主が地面を蹴る。


──ドンッ!!


突進。


だが、遅い。

少なくとも、最初の突進ほどではない。


「ゴロ!」


こくり。


火鰐主の巨大な顎が迫る。

ゴロはその動きを見据え。


一歩。


横へ身体をずらした。


──ガチンッ!!


牙が虚空を噛む。


「避けた!」


初めて。

火鰐主の突進を完全に躱した。


しかも。


火鰐主はすぐには止まれない。

泥に覆われた四肢では、急な方向転換もできない。


その脇腹が、無防備にゴロの前へ晒される。


「今だ! ≪大地ノ拳≫!」


泥の拳が大きく膨らむ。


──ドゴォッ!!


拳が火鰐主の横腹へ深く突き刺さった。

衝撃と同時に、大量の泥が弾ける。


脇腹。

腹。

後脚。


さらに泥がべっとりと張り付いた。


「グルァッ!」


巨体が大きくよろめく。

火鰐主が慌てて向き直ろうとする。


だが、遅い。

泥が四肢へ絡み付き、思うように身体を動かせない。


「これなら押し切れる」


蓮は確信する。


最初は、避け切れなかった。

だが今は、火鰐主の動きそのものが落ちている。


避けられる。

そのうえ、できた隙へこちらの一撃を叩き込める。


硬さでは勝てなかった。


だが、≪泥ノ体≫なら。

避け切れない攻撃の被害を抑えながら、少しずつ相手の動きを奪える。


「ゴロ! このまま──」


その時。

火鰐主が突然動きを止めた。


「……?」


低く身体を伏せる。


そして。


「グ……グオオオオオオオッ!!」


大咆哮。


空洞全体が震えた。

火鰐主の身体へ、一気に魔力が集まっていく。


「まさか……!」


赤黒い鱗。

その隙間から、赤い光が激しく漏れ始める。

尾の先だけだった炎も、一気に大きく膨れ上がった。


次の瞬間。


──ボォォォォォッ!!


炎が火鰐主の全身から噴き上がった。


「っ!」


四肢へ。

胸へ。

尾へ。


まとわりついていた泥から、一斉に白い蒸気が上がる。


──ジュウウウウッ!!


「まずい!」


泥の表面が乾いていく。


艶を失い、ひび割れ。

次々と剥がれ落ちていく。


──ボロッ。

──ボロボロッ。


さっきまで火鰐主を縛っていた泥が、見る見るうちに失われていく。

重かった四肢が、再び自由を取り戻す。


そして。


炎を纏った火鰐主が、ゆっくりと顔を上げた。


鱗の赤は先ほどよりも鮮やかに。

全身を包む炎は、尾の先だけだった時とは比べものにならない。


「……第二形態か」


蓮は表情を引き締める。

第一形態で作った優位が、一瞬で消え去った。


だが。


≪泥ノ体≫そのものが使えなくなったわけじゃない。


「ゴロ! もう一度泥を付けるぞ!」


こくり。

ゴロが火鰐主へ踏み込む。


「≪大地ノ拳≫!」


泥の拳が大きく膨らむ。

だが、火鰐主が身体を捻った。


──ブォンッ!!


炎を纏った尾が横薙ぎに迫る。


「っ!」


ゴロは避けようと身体をずらす。


しかし。


間に合わない。


──ドゴォッ!!


太い尾が脇腹へ直撃した。

ゴロの身体が大きく歪み、そのまま岩盤の上を吹き飛ばされる。


腕。

脇腹。

肩。


泥が四方へ飛び散った。


「ゴロ!」


しかも。


尾が触れた部分から白い蒸気が上がっている。

泥の表面が乾き、細かなひびが走っていた。


「……接触しただけで、これか」


第一形態の炎とは違う。

全身へまとった炎そのものが、接触しただけで泥を乾かしていた。


「まずいな……」


それでも。

止まってはいられない。


蓮は手を伸ばす。


「≪修復再生≫!」


白い光がゴロの身体を包む。


岩盤へ飛び散った泥が、ずるずると床を這い始めた。

足元へ戻り、身体へ吸収されていく。


へこんだ脇腹。

欠けた肩。


少しずつ元の形へ戻っていく。


だが。


火鰐主は待ってくれない。

大きく息を吸い込む。


胸が膨らみ。

口内へ赤い光が集まり始めた。


「……っ!ブレスか!」


次の瞬間。


──ゴォォォォォッ!!


灼熱の炎が放たれた。

広く、避け切れる範囲ではない。


「ゴロ!」


ゴロが横へ動こうとする。


だが、遅い。

炎が一気に押し寄せる。


──ゴォォォォッ!!


泥の身体が炎へ飲み込まれた。


「くっ……!」


数秒。


やがて炎が途切れる。

白い蒸気が立ち込める中、ゴロの姿が見えた。


「……!」


泥の身体は大きく乾燥していた。

表面の艶は消え、全身へ細かな亀裂が走っている。


一部は乾いた土のように固まり。

動くたびに、ぽろぽろと崩れ落ちる。


「さすがにこれは……!」


道中で受けた炎とは、比べものにならない。


≪泥ノ体≫は火属性に強い。

だが。

高火力の炎を受け続ければ、その強みは失われる。


分かっていたこと。


それが今。

目の前で起きている。


「ゴロ、動けるか!」


こくり。


ゴロが頷く。

だが、いつもより明らかに遅い。


その瞬間。

火鰐主が身体を沈める。


「まずい!」


──ドンッ!!


一直線の突進。


乾燥した泥の身体では、さっきまでのように動けない。

ゴロは横へ逃れようとする。


だが。


間に合わない。


──ガブッ!!


巨大な顎が上半身へ食い付いた。


「ゴロ!」


牙が泥へ深く沈む。


そのまま。

火鰐主が首を大きく振った。


──ブチッ!!


ゴロの上半身が。

胸ごと、丸ごと噛み千切られた。


「ゴロ──!!」


蓮の顔から血の気が引く。


胸部。


そこには、心核がある。


終わった。

そう思った。


火鰐主は、そのまま口内の泥を噛み砕く。


そして──大部分を飲み込んだ。


「……っ」


召喚が解除される。

そう思った。


だが。


何も起きない。


「……え?」


地面に残ったゴロの下半身。

そこに、まだ魔力の繋がりがある。


「生きてる……?」


蓮は目を見開いた。

火鰐主も様子がおかしい。


「グルッ……!」


苦しそうに首を振る。

口の中へ飲み込み切れなかった泥が張り付いている。


だが。


そんなことより。

ゴロが消えていない。


心核だけ、偶然外れた?


いや。


胸ごとかなり深く持っていかれた。


「どういう……」


分からない。

だが、今は考えている場合ではない。

生きている。

それで十分だ。


「ゴロ! ≪修復再生≫!」


白い光が、残った下半身を包む。


岩盤へ飛び散っていた泥が一斉に動き始めた。

ずるずると床を這い、次々とゴロの足元へ集まっていく。


腰から腹へ。

さらに胸、肩へ。


失われた上半身が、少しずつ形を取り戻していく。


「戻れ……!」


一方。


火鰐主はまだ、口内へ絡み付いた泥に苦しんでいた。


「グルッ……!」


口から炎を吐き、まとわりつく泥を焼き払おうとする。


──ボォッ!!


「間に合え……!」


白い光が強まる。

泥がさらに集まり。


胸。

腕。

頭。


次々と形を取り戻していく。


そして。


火鰐主がようやく口内の泥を焼き払った、その時。

ゴロの身体も元の姿へ戻った。


「……!」


ゴロがゆっくりと立ち上がる。

深緑色の瞳が、蓮を見た。


「……ゴロ」


こくり。

ゴロが力強く泥の胸を叩く。


──どんっ!!


蓮は思わず息を吐いた。


「……生きてるなら、それでいい」


理由は分からない。


心核を偶然外したのか。

それとも、≪泥ノ体≫にまだ何かあるのか。


確認は後だ。

今は、目の前の相手を倒す。


蓮は再び火鰐主を見る。


全身を炎で包んだ巨大な鰐。


泥は乾かされる。

動きも落ちる。

付着させた泥も焼き払われる。


第一形態で通じた戦い方は、ほとんど潰された。


それでも。


「まだ終わってない」


ゴロが拳を構える。


火鰐主も大きく口を開く。

その奥へ再び赤い炎が集まり始めた。


「……また来るぞ」


ゴロが拳を構える。


だが。


今の身体では。

あのブレスをまともに受ければ、さらに乾燥する。


避けるのも難しい。


なら。


「ゴロ! ≪大地ノ甲殻≫!」


泥が一気に盛り上がる。

身体の表面を覆い、厚い泥の層を作り上げた。


直後。


──ゴォォォォォッ!!


灼熱の炎がゴロを飲み込む。


──ジュウウウウッ!!


白い蒸気が激しく噴き上がった。

泥の甲殻から一気に水分が奪われていく。


表面が乾き。


──ピシッ。


細かな亀裂が走る。


──ピシピシッ!!


亀裂は一気に広がり。

そして。


──バキィンッ!!


乾き切った泥の甲殻が砕け散った。


だが。


「耐えた!」


本体にも乾燥は及んでいる。

それでも、さっきほどではない。


厚く重ねた泥の甲殻が、炎の大部分を引き受けていた。


ブレスが途切れる。

その瞬間。


火鰐主が地面を蹴った。


──ドンッ!!


「来る!」


ゴロは横へ身体をずらす。


だが。


まだ乾燥の影響が残っている。

避け切れない。


──ガブッ!!


巨大な顎が肩へ食い付いた。

泥が大きく抉れる。


それでも。

さっきのように上半身までは持っていかれてない。


そして。


火鰐主は自ら。

ゴロの間合いへ入っている。


「今だ! ≪大地ノ拳≫!」


泥の拳が膨れ上がる。


──ドゴォッ!!


火鰐主の前脚へ直撃。

大量の泥が弾ける。


前脚。

胸。

腹。


べっとりと張り付いた。


だが。


──ジュウウウッ!!


全身を覆う炎が泥を焼く。

水分が奪われ、泥が乾燥していく。


──ボロボロッ。


すぐに剥がれ落ちた。


「やっぱり駄目か……!」


第一形態なら、ここから泥が残った。

重なって動きを奪えた。


だが今は、付けてもすぐに焼かれる。


火鰐主が首を振る。

ゴロが弾き飛ばされる。


それでも。

蓮は火鰐主から目を逸らさない。


「もう一度!」


ゴロが立ち上がる。

火鰐主が踏み込んでくる。


避ける。


だが、避け切れない。

肩を掠める。


そのまま。

ゴロが拳を返す。


「≪大地ノ拳≫!」


──ドゴォッ!!


再び泥が付着する。


──ジュウウウッ!!


炎が焼き払う。

また、泥が剥がれ落ちる。


火鰐主の尾が迫る。

ゴロが身体をずらす。


直撃だけは避ける。

その勢いで身体を捻った火鰐主の脇腹が、ゴロの目の前へ晒された。


「もう一発!」


──ドゴォッ!!


泥が張り付く。

そして、また焼かれる。


何度やっても同じ。

泥は残らない。

拘束できない。


それでも。


蓮は繰り返した。

攻略の糸口を探しながら。


攻撃を受ければ、その接触で泥を残す。

隙があれば、≪大地ノ拳≫を叩き込む。


付ける。

焼かれる。


また付ける。

また焼かれる。


「……ん?」


蓮の目が細くなる。


何か、違う。


火鰐主が再びゴロへ迫る。

その前脚へ。


「≪大地ノ拳≫!」


──ドゴォッ!!


泥が弾ける。

炎へ触れ。


──ジュウウッ!!


焼かれていく。


だが、蓮は今度こそ見逃さなかった。


「……弱くなってる?」


火鰐主の前脚。

そこを覆っていた炎が、さっきより僅かに小さい。


一瞬だけ?


いや。

蓮は火鰐主全身を見る。


尾。

胸。

四肢。


最初は激しく噴き上がっていた炎が、ほんの少し勢いを失っている。


「まさか……」


蓮は思い返す。


泥を付ける。

火鰐主の炎が、それを焼く。

大量の水分が蒸発する。


その度に炎も。

同じだけではないにせよ確実に力を使っている。


「泥だけが一方的に焼かれてるんじゃない」


蓮の口元が僅かに上がる。


「泥を焼くたびに、あいつの炎も消耗してる!」


答えが見えた。


泥は残らない。

なら、残るまで焼かせればいい。


「ゴロ!」


深緑色の瞳が蓮を見る。


「このまま続けるぞ!」


こくり。

ゴロは頷き、拳を構えた。


火鰐主が咆哮する。


「グオオオオッ!!」


再び突進。

ゴロは横へ身体をずらす。


牙が肩を掠める。

泥が飛ぶ。


そのまま。


「≪大地ノ拳≫!」


──ドゴォッ!!


泥を叩き付ける。


──ジュウウウッ!!


焼かれる。


火鰐主が尾を振る。


──ブォンッ!!


ゴロは腕で身体を庇う。

泥が弾ける。

その泥も、尾へ張り付く。


──ジュウウッ!!


また焼かれる。


攻撃する。

攻撃される。


そのどちらでも火鰐主へ泥を押し付ける。


少しずつ。

少しずつ。


全身を包む炎が弱まっていった。


「グルル……!」


火鰐主が苛立ったように身を震わせる。


張り付いた泥を焼く。

だが、今までより時間がかかる。


「効いてる!」


さらに、ゴロが踏み込む。


「≪大地ノ拳≫!」


──ドゴォッ!!


前脚へ泥が張り付く。


──ジュウウウ……。


炎が泥を焼く。

しかし、今度は完全には乾かない。


「残った……!」


泥の一部が、前脚へべっとりと残っている。


「今だ!」


ゴロがもう一度拳を叩き込む。


──ドゴォッ!!


泥が重なる。

火鰐主が脚を上げようとする。


だが、重い。

動きが僅かに遅れる。


「もう一度!」


──ドゴォッ!!


反対の前脚。

さらに胸。

後脚。


少しずつ泥が残り始める。

火鰐主の炎はもう泥を焼き切れない。


そして。


焼き切れないなら、第一形態と同じだ。

付いた泥が次の泥を呼ぶ。


重なる。

絡み付く。


四肢の動きを奪っていく。


「グオオオッ!!」


火鰐主が暴れる。


尾を振る。

脚を踏み鳴らす。


だが──遅い。


さっきまでとは、明らかに違う。


「ここまでだ」


蓮は大きく息を吐く。

泥の役目は終わった。


ゴロの魔力も残り僅かだ。

長期戦はできない。


だからこそ。


残った魔力は火力に回し、ここで一気に決める。


「ゴロ!」


こくり。


「≪電晶ノ体≫!」


白い光がゴロの身体を包む。

柔らかな泥が消え、青白い結晶へ変わっていく。


背中に蓄電結晶が形成され。

その内部で、青白い光が激しく瞬いた。


一方。


火鰐主へ付着した泥は消えない。

すでにゴロの身体から離れた泥だ。

四肢へ絡み付き、巨体の動きを縛ったまま残っている。


「行け!」


ゴロが踏み込む。


火鰐主が身の危険を感じたのか。

長い尾を振り抜く。


──ブォンッ!!


だが、遅い。


泥に拘束された尾は、さっきまでの勢いを失っている。

ゴロがその内側へ入る。


「≪大地ノ拳≫!」


──ドゴォッ!!


青白い拳が、火鰐主の横腹へ突き刺さった。


直後。


──バチィィッ!!


蓄えられた電撃が全身を駆け巡る。


「グオッ!?」


火鰐主の巨体が大きく震えた。

動きが止まる。


「まだだ!」


ゴロがもう片方の拳を握る。


「≪大地ノ拳≫!」


──ドゴォッ!!


反対側からさらに一撃。


──バチィィィッ!!


再び電撃。

火鰐主の四肢から力が抜ける。


だが。


まだ倒れない。


「グ……グオオオオッ!!」


最後の抵抗。


火鰐主が大きく口を開く。

残った魔力をかき集めるように、口内へ炎が集まっていく。


「来る……!」


それでも。


ゴロは止まらない。


蓮も退かせない。

ここで離れれば、また立て直される。


「決めるぞ、ゴロ!」


こくり。

ゴロが身体を沈める。


「≪大地ノ角撃≫!!」


額から青白い角が伸びる。


火鰐主が炎を吐き出す。


──ゴォォォォォッ!!


同時に。

ゴロの身体が一直線に加速した。


炎が青白い結晶を包む。

それでも止まらない。


一直線。


火鰐主の胴体へ。


──ドゴォォォッ!!


青白い角が、赤黒い鱗を突き破った。


「グオォォォッ!!」


さらに。


──バチィィィィッ!!


激しい電撃が火鰐主の全身を駆け巡る。

その巨体が大きく仰け反った。


一瞬の静寂。


そして。


──ズゥゥゥン……。


火鰐主の巨体が、岩盤へ崩れ落ちた。


炎が消える。

赤黒い身体が淡い光へ変わっていく。


そして。


無数の光の粒となり、静かに消えていった。


「…………」


蓮はしばらく。

その場所を見つめていた。


やがて。


大きく息を吐く。


「……勝ったな」


ゴロが振り返る。

深緑色の瞳で蓮を見つめ、力強く頷いた。


蓮は笑みを浮かべ、右手を差し出す。


「お疲れ」


ゴロが首を傾げた。


「……ああ、分からないか」


蓮は少し笑う。


もう一度。

手のひらを前へ出した。


ゴロはその手を見る。

蓮を見る。


そして。


恐る恐る。

自分の手を伸ばした。


──パンッ。


乾いた音が静かな空洞へ響いた。


ゴロが目を丸くする。


「ハイタッチだ」


ゴロは自分の手を見る。


それから。

もう一度、蓮の手を見る。


そして。


──パンッ。


「ははっ」


もう一度。


──パンッ。


どうやら。

気に入ったらしい。


ゴロは嬉しそうに何度も頷く。


蓮も思わず笑った。


◇


「≪迷宮浄化≫」


ゴロが黒水晶へ拳を叩きつける。


白い光が迷宮核を包み込んだ。

黒水晶は純白へと染まり、粉々に砕け散る。


次の瞬間。


砕けた光の一部が、ゴロへ流れ込んだ。


「来た!」


ゴロの身体が白い光に包まれる。


やがて。

光が収まった。


そこに立っていたゴロの身体は、白みを帯びた岩肌へ変わっていた。

岩の隙間からは、赤い熱が脈打つように漏れ出している。


まるで。

内側に溶岩を閉じ込めた岩石のような姿だった。


蓮はすぐにステータスを開く。


──────────────────────


【ゴロ】

肉体スキル:

 ・≪火岩ノ体≫ NEW!


──────────────────────


【岩崎蓮】

ランクアップ条件:

 ✔ 召喚獣の存在階位をF-MAXにする

 ✔ F級雷属性迷宮を浄化する

 ✔ F級水属性迷宮を浄化する

 ✔ F級火属性迷宮を浄化する NEW!


 ・未達成条件 5件 → 4件


──────────────────────


「よし」


蓮は小さく拳を握る。


また一つ。

条件を進められた。


そして。


新しく手に入れた≪火岩ノ体≫。

どんな能力を持っているのかは、まだ分からない。


「検証は明日だな」


ゴロは嬉しそうに頷き。


──どんっ。


力強く胸を叩いた。


新たな肉体を手に。

蓮とゴロは火鱗窟を後にした。


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