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テンプレ通りッッ!!  作者: ひよこ倖門


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8/8

ヒロインside

 怪訝そうな表情(かお)をしているニース卿に、あぁ、きちんと説明してなかったと、今更ながら悔やまれる。

 ダグリュースとはベルガモットの実兄であり、侯爵家の跡取りだった。

 そう、だった(・・・)、なのよね。

 ある日突然「おれ、結婚して、辺境伯に婿入りしたわ〜」なんて言われた身にもなってほしい。え、何それ、誰が侯爵家継ぐのよ!?ってなるじゃん。

 ベルガモットだって、表情こそ変わらなかったけど、何言ってんのコイツ!?くらいにはなってたもん。わたしだってそうなんだから、ダグリュースが非常識なだけだ。

 ちなみに父親たちも同じだったようで、侯爵家ではこの一週間程ダグリュースの話題には誰も触れない。というか、触れられないのよね。侯爵閣下(ちちおや)が怖くて。

 何せこの国の辺境伯閣下というのは、隣国でもあるのだから。

 隣国クリペリアン帝国と、この国の国境周辺の土地は、ノトスユーク辺境伯閣下の土地であり、帝国でもこの国でもない、所謂独立した土地だ。だけど、どちらの国にとっても辺境であり、魔物どころか、色々と物騒な土地なのである。

 法律もかの土地独自のものがあり、けれど帝国からも、この国からも辺境伯として認められている、という永久的に謎な土地でもあった。

 そんな土地に婿入りして、辺境伯閣下を継いだとなれば、いくら父親であっても手が出せる問題ではない。連れ戻すならば力づくしかないが、ダグリュースの実力に敵う侯爵家の家臣は少ない。むしろ、辺境伯の軍隊でみれば、こちらの分がかなり悪かった。

「え?」

 きょとんとしてるニース卿可愛らしいななんて思ってる場合ではないのだけど、美形に見惚れるなというほうがムリだ。

 父親も母親もバツが悪そうに視線を逸らしている。

「そのことも含め、陛下に父が相談していたはずなのですが…」

「聖女の対応について聞いていたから、そのまま婚約破棄で同意したんだがな」

 あー、ベルガモットが聖女を襲わせようとしたやつですね。解ってたから、婚約破棄に同意して、侯爵家の代理にしようとしてたんだよね、この人は。

 親子の情がないわけではないようだけど、やっぱり優先すべきは家督のようで、貴族らしいといえばそれまでなんだけど。

「ほとぼりが冷める頃にシガー嬢を侯爵家に戻して、侯爵家を継がせる予定だったと?」

「戻さなくても、どこかの令息と結婚させ、こどもを養子にしても良かったんだが」

 婚約破棄騒動の噂は残ったりするものの、侯爵家の令嬢の価値は残っているから、それを利用するつもりだったわけね。

 聖女が襲われてればベルガモットは切り捨てられていたけど、襲撃計画が漏れたくらいなら何とでも情報操作するつもりだったのだろう、この人は。

 賭けといえば賭けだけど、貴族というのは互いに足の引っ張り合いをして、情報や武力で差をつけて、地位と名誉を守る人種ってこと。結果、国は守られているからこの下地が崩れることは早々ないってわけだ。

 これだから、頭の回る人たちって怖いのよねぇ。ベルガモットもどちらかというと、そっち側だし。わたしは頭使うより動くほうが好きだけど。

 ニース卿は父親の話についていけてるから、頭使うほうよね。まぁ、侯爵家継ぐならそっちのほうが良いし、武力方面はわたしが頑張ろうかな。

 あー、ダグリュースが鍛えた面々だから、わたしが鍛えられるほうか。今からムキムキ目指すのはどうなんだろうか。

「この婚約は整えてかまわないんだな、ベルガモット」

「お願いいたしますわ、お父さま」

 いつの間にかニース卿と話終えていた父親から尋ねられたけど、わたしの答えは決まってる。

 だって、ニース卿を侯爵家(ここ)に連れてきたのはわたしだもの。

 責任はちゃんととらないと、女が(すた)るってもんでしょ。

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