6.回想
独房にでも入れられるかと思ったがとりあえずとはいえ自室に軟禁で済まされたのは腐っても侯爵令嬢という立場だからだろうか。
部屋の中で一人になり落ち着いたフレアは考える…自身のこと、この世界のこと。
フレアになる前の私の名前は佐藤アスカ、職業プロレスラー。
自分で言うのもなんだが、私は頑張った身体を鍛え技を鍛えキャラクター作りも様々な悪役な出てくる創作物を嗜み、同期で親友だっためぐみの頭だってパイプ椅子で引っ叩いた…何度も何度も引っ叩いた。
その甲斐もあり、戦う悪役令嬢としてのキャラを確立した私は『鮮血の魔女』という二つ名と共にマットを席巻、ついにはチャンピオンベルトへの挑戦権を得てトップヒールへの道を走り出したところだった。
だが肝心のタイトルマッチでコーナーポストから足をすべらせた私は場外に頭から落ちて打ち所悪く…。
恐らくこの世界は乙女ゲーム『剣と魔法のリングリング』の世界もしくはそれに酷似した世界。
ゲーム自体はあまり売れなかったらしく、私もワゴンセールで安いから買っただけで興味があって買ったわけではなかった。
ゲームのヒロインはカリーナ、平民の身ながらも特待生として貴族子弟が通う学校に通い、自らを鍛えて
様々なライバルヒロインと競い、幾つものイベントを越えて目当ての男性と結ばれるのが目的。
(ちなみに初期のパラメーターは好きに割り振れるがそれによって出身が少し変わるなんて変な設定もあった)
フレアはそのライバルですらないイベントキャラに過ぎない。
そのせいかあまり細かい設定もされていなかったので悪役キャラの勉強をしていた私としては物足りなかった。
内容もあまり覚えてはいなかったが侯爵令嬢だったらしい。
この国はリーガル王国。さっき私と戦ったチャールズ・リーガル殿下はゲームの攻略対象の一人。
第一位王位継承者で成績優秀、運動神経もよく、真面目過ぎるところはあるが学園長代理を任されているほど人望も篤い。
フレアの婚約者…いや元婚約者になっているだろう。
他にも攻略対象は何人かいた、さっき私を横から思いっきり蹴りつけてくれたマリガンとか…。
元のゲームではフレアの人生にそう関わることもない相手ばかりだった気がする。
ちなみにゲームの通りなら剣と魔法と言いながら魔法は少し眩しいくらいの光を出したり煙を出したり位しかできないので設定倒れに感じたことを覚えてる。
フレアの父親、エリック侯爵に関してはゲームには登場しなかった。
だが繋がったフレアの記憶にあったのは少し娘に甘いところはあるが国の再興に尽くした立派な人だ。
私の短慮な行いのせいで彼が大好きな一人娘を失わせるとこになるかもしれないと思うと心苦しい。
そんなことを考えていたらエリック侯爵が戻ってきたらしい。
迎えに出るべきなのかと思ったが部屋の前には見張りがいる、私は父親が来るのを部屋で待つしかなかった。




