メルリーウェと不思議な日記
ご意見があったので…
主人公は彼ら一行全員みたいな感じです。
まずは拠点作りの為にトールが出張っていますが、これから各々が好き勝手に活動し始めます。
分かりづらい話になっていてスミマセン。
私たちの新しい家になる建物に入った途端に、自分の世界に入っちゃったトール。
皆で、しょうがないねって笑いあった。
こうなったトールの邪魔はしない方がいいから、セイに留守番を頼んで街で買い物をすることにした。
「メル。
いいか?お菓子くれるって言っても知らない奴には着いていくなよ?
それに、人が少ないような場所には入らないように。
あと・・・・」
「子供じゃないんだから、分かっている!」
もう、バルドはすぐに子供扱いするんだから。
ちょっとムカムカしながら歩いていたけど、もの珍しいものばかりが置いてある通りを歩いていると面白くて、そんな気分もすぐに忘れてしまった。
こんな風に外を歩くことがなかったから、とっても楽しい。
そんな風にフラフラお店を見て歩いていたら、ちょっとだけ通りから入ったところに小さなお店を見つけたの。
可愛いかんじの小物とかが置いてある店内に興味を持って入ってみると、
カウンターの中にバルトくらいの男の人がいて、ちょっと緊張した。
男の人を気にしないふりをして店の中を見ていると、黒い表紙の本が目に入った。
手に取って開いてみると、中は真っ白なページが続いている。
「それは、呪われた日記帳だからね。
おススメはしないよ?」
びっくりした。
カウンターから出てきた男の人が後ろに立っていた。
「呪われた日記帳?」
「そう。店を開いた先々代の時からある商品なんだけどね。
何度か売れたこともあるんだけど、絶対に戻ってくるんだ。
『俺が持っているのは不相応だった。』とか『こんなもの使ってられるか』とか。
僕も先代も、原因がトンと分からなくてね。
一応、命に関わるようなものじゃないとだけは全員が言っていたから、
店には置いてあるんだけど・・・」
命に関わることはない、でも持っていたくない日記帳・・・
面白そう。
「これ、私買うわ。」
「えっ?」
男の人が驚いている。
それもそうだよね。
呪われた、なんて言われて買おうなんて人めったにいないもん。
「こっちとしては助かるけど・・・
いいのかい、お嬢ちゃん?
まぁ、どうしても嫌になったら何時でも引き取るからね。」
男の人が優しく言ってくれるけど、多分持ってくることはないと思う。
だって、どんな呪いかはまだ分からないけど、トールとかセイ、あと兄様が興味を持ったら最悪バラバラにされて呪いなんて関係なくされてしまいそうだし・・・
広場にある噴水に腰掛けて、日記帳を開く。
家になる建物に戻っても多分まだトールが練り歩いて考えことしているだろうから、ここで呪いを試してみようと思う。
どんなことがあっても、ここなら誰かしら人がいるもの。
えっと
日記帳なんだから、日記を書けばいいのよね。
最初の真っ白なページを開いて、
『異世界に来てびっくりすることもあるけど、皆がいるから何があっても大丈夫だと思える。
もらえる祝福はまだ決めないでおこうって決めた。
祝福が無くても、まだ大丈夫だから。それはいざという時にとっておくの。
これからの生活は初めてのことばかりだけど、とっても楽しみ。』
日記ってこんなんでいいのかな?
よく分からないけど、まぁいいよね。
・・・書いてみたけど、何も起こらないよ?
嘘だったのかな?
でも、あの人はそんな風に見えなかったけど・・・
首を傾げて目がほんの少しだけ日記帳から離れた。
その間に変化は訪れた。
『君が、今話題の一人か・・・
仲間を信じることが出来るなんて素敵なことだ。
きっと僕は君達が好きになるね。
いつか会いに来てくれると嬉しいな。
祝福を取って置くのも、良い手だね。
でも、君がそれを使わないで済むなら・・・そのほうがいいかな
エクリシア』
「何これ!!?」
膝の上に置いていた日記帳を落としちゃった。
しょうがないよね。
だって、私が書いた字の下に突然字が浮き上がってきたんだもん。
「どうかしたのかな?」
落ちた日記帳を拾ってくれた、おじさん。
兄様の教育係だった公爵様を思い出しちゃった。
真ん丸のお腹を揺らした白髪交じりの優しそうなおじさんは、日記帳をジッと見つめて突然笑い始めた。
「えっ?」
「あぁ、これは君の日記帳かな?」
あっ、おじさんの日記帳を見る目。レーニ翁やアマリエさんが鑑定していた時に似ている。
じゃあ、この人もギルドの人なのかな?
でも・・・なんだか違うような・・・
「さっき買ったの。」
「そうか。呪われた、なんてものを買うなんて勇気のある子だ。」
おじさんが日記帳を返してくれた。
「これはね。僕の姉が造ったものなんだ。
書き込んだ日記に、近くにいたり、興味を持った精霊が返事を返してくれるというものでね。
その書き込まれた日記を気に入ったなら、贈り物をしてくれるそうだ
君もどんどん日記を書いてみるといいよ。
精霊からの贈り物は大抵は役に立つものだからね。」
「メル。」
「お姉ちゃん」
イストが手を振って近づいてきた。
・・・でも・・・その後ろに何人もいる男の人たちは何?
皆、大きな箱とか袋をもっているんだけど・・・・
「今、ここに何かいた?」
私を抱きしめて、耳元で囁いてくる。
「・・・おじさんがいたよ?
見えなかったの?」
「何もないのに、空間が歪んでいるように見えたわ。
気をつけないと駄目じゃない。
バルトたちに、しっかり叱ってもらうからね。」
うううう。
バルトたちってことは、ジェノスやフェウル・・・兄様もってことだよね・・・
やだぁ・・・
「そうそう、メル。
今日って何かあったかしら?
この人たちに飲みに行かないかって誘われたんだけど、用事があった気がして迷っているの。」
声は嬉しそうなのに、私を見ているイストの目は怪しく光ってる・・・
こういうときは・・・
「今日は大事な用事があるから家にいなさいって、おじさんが言ったよ?
忘れちゃったの?お姉ちゃん。」
「そうだったわね。
・・・ごめんなさい。今日は飲みにいけないわ。
また、誘ってね。」
振り返って男の人たちに謝っているイスト。
こういうのを魔性の女っていうんだって、セイが言ってた。
私も見習わないと!
「メル。
荷物を家まで運んでくださるんですって。
もうそろそろ終わっている頃だし、帰りましょうか。」
そうだね。
そろそろトールも戻ってきているだろうし・・・
自分のお部屋の掃除をしなくちゃいけないもんね。
この日記帳、悪い感じもしないし使っても問題ないよね。
精霊の話を聞けるなら、役に立てるかも知れないもん。




