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モフにゃーのお魚もぐもぐタイム♪

「う〜ん、美味しいにゃん」


 モフにゃーは美味しそうにハムハムもぐもぐ食べているんだもん。可愛いって最強だね。


「モフにゃーたくさん食べて大きくなるんだよ」


 もうどうして猫ってこんなに可愛いんだろう(あ、モフにゃーは聖獣猫だったか)じっとその様子を眺めていると口元が緩んでしまう。


「お魚さんウマウマだにゃん」

「ウマウマなんだね」


 わたしはしばらくの間モフにゃーのお魚もぐもぐタイムを見つめた。


 その時、ふと視線を感じた。何だろう? と振り返るとお父さんがしゃがみ込み口元を緩めわたしを見ていた。


 目が合うと、「アリナよ、可愛いな〜」と、とろけるような笑顔を浮かべ言った。


「可愛いなってモフにゃーが?」

「モフにゃーも可愛いがアリナお前のことだよ」

「わたし……」

「そうだよ。モフにゃーを優しく見つめるアリナのその表情を見ているとお父さんは感動したのだよ」


 お父さんはそう言ってやっぱりとろけるような笑顔でわたしを見た。


「おいおい親子劇場なんて見せつけるなよ。洗い物はどうしたんだよ」


 ギャップが呆れたように笑った。


「ギャップちゃんちょっと待ってね。モフにゃーのもぐもぐタイムを見守っているんだよ」


「ギャップちゃん、アリナの優しい眼差しを見守っているので待ってくれな」


「はいはい、呆れた親子だな。それとモフにゃー主もな……」


 ギャップはふぅーと溜め息をついた。


 ごめんね。ギャップちゃん。今はモフにゃーのもぐもぐお魚タイムの見守りに集中させてね。


「モフにゃー主のもぐもぐお魚タイムは長かったよな……」

「うん、でも可愛かったから良しとしようよ」

「あのモフにゃー主は結局お魚を五匹も食べたんだろう」


 ギャップはお口の周りを舌でナメナメしているモフにゃーにチラリと視線を向けて言った。


「うん、モフにゃーってば食いしん坊だよね」

「ああ、呆れるほどな」

「ギャップちゃんもお魚一匹食べたでしょう」

「味見程度にな」

「……味見程度ね」


 ギャップが魚を丸呑みする姿を思い出しゾクッとした。ギャップは魚を噛まずに丸呑みするんだもん。あれには驚いた。やっぱり野生動物だけあるな。


「う〜ん、わたしのお腹は満足だにゃん。さあ、お仕事だにゃん。ん」


 モフにゃーは満足げな表情でこちらに向かってきた。


「ん? アリナちゃんにギャップちゃんどうかしたの? わたしの顔に何か付いてるにゃん?」


 モフにゃーの顔をじっと見るわたしとギャップに可愛らしく首を傾げ尋ねる。


「モフにゃーキュートだけど食べ過ぎだよ」

「そっかなにゃん?」


 モフにゃーは布巾を手に取り拭き拭きしながら言った。


「だって、お魚五匹だよ。食べ過ぎだよ」

「にゃはは、だって、美味しかったんだもん」

「お父さんの冷蔵庫は空っぽだね」

「えへへ、照れちゃうにゃん」

「何故照れるの?」

「わかんにゃい」

「モフにゃー主の胃袋は最強だな」

「わ〜い、ギャップちゃん褒めてくれてありがとうにゃん」

「俺もモフにゃー主を見習わないとな」

「ギャップちゃん見習わなくていいからね」


 なんて話をしながら、洗い場に戻ってきたわたし達は洗い物と拭き拭きのお仕事をした。



「さあ、ギャップちゃんも洗い物をしてみてね」


 それまでずっとわたしの洗い物をする姿を眺めていたギャップにスポンジを渡した。


「ほぅ。これが洗い物をする道具なのかい」


 ギャップはスポンジをまじまじと見る。


「うん、そのスポンジでお皿をゴシゴシしてね」

「ゴシゴシするぞ」


 ギャップはスポンジをぎゅっと握りしめた。


 そして、油がベタベタにくっついている食器から洗おうとした。


「あ、ギャップちゃん待って」

「ん? 何故だ」

「えっとね、先ずは汚れの少ないものから洗ってね」

「へ? 何故だね」


 ギャップは不思議そうに首を傾げた。


「それはね。油汚れがあるものから先に洗うと汚れの少ない食器にくっつけてしまうかもしれないからだよ」


「ほっ、アリナちゃんは小さいのに洗い物のプロのようだな」


 ギャップは感心したようにわたしを見る。


「だって、わたしは三歳からお父さんとお母さんのお手伝いをしてるもん」


 それに安莉奈時代の記憶もあるからねと心の中で付け加える。


「ふむ、そうなのか偉いな」

「そんなことないよ〜ギャップちゃんでは、汚れの少ないものから洗ってね」

「ほ〜い! 了解だ」


 ギャップはグラスから洗い始めた。


「ふんふん♪ なんか洗い物って楽しいものだな〜」


 ギャップは鼻歌を歌いながら洗い物をする。


 わたしの教えた通りの手順で洗い物をするギャップは初洗い物にしては上出来だった。

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