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三章 その肆

 警護隊が増員されて数日が経った。小さな騒動は相変わらず起き続けている。隊員たちのこまめな巡視も犯行を抑止することはてきず、彼らの仕事は後始末ばかりだ。

「今日は何をしようかねぇ」

 コハクは楽しそうに声を弾ませて言う。

「楽しんでますね。悪戯はコハクの真骨頂ですからね」

「褒めるんじゃないよ」

 ある目的があって立てられた潜入作戦は、そのほとんどをレイが考えた。しかし、騒動の細かい内容はサツキとコハクに任されていた。レイはコハクが話せることも、人に変化できることも知らない。恐らく彼は、他に仲間がいると思っているのだろう。

「そういえば、今日は蔵に風を通すって言ってたね。……そろそろ仕上げといこうか。猫とからすかな」

 コハクが短く口笛を吹いた。サツキは何度見ても、犬の口で音を鳴らせているのが不思議でならなかった。

 空から一羽の鴉が降りてきて、その隣に猫がちょこんと座る。

「猫よ。蔵から石を持ちだし鴉に渡せ。鴉よ。石を庭の池に沈めよ。わかったな。行け」

 鴉と猫は素早く去って行った。コハクはサツキの視線を感じて振り返る。

「なんだい?」

「どうして動物たちを操るときに言葉遣いが変わるのかな、と思いまして」

「うーん、雰囲気作り? まぁ良いじゃないか。それより早くアユミのところに行かないと疑われてしまうよ」

「あっ、そうでしたね。レイさんに声を掛けて行きますか」

 何だかごまかされた気もしたが、サツキは指先で髪を簡単に整えてから部屋を出た。


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