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神子の余分  作者: 朝山 みどり


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19/19

19 ルークを知りたい フェルナンド目線

 

 19 ルークを知りたい


 俺は図書館にやって来た。

 ルークは窓辺のテーブルで本を読んでいる。何を読んでいるのか、気になって仕方がない。


 俺は薬草の本を手に取り、ページをめくるふりをしながら、何度も視線がルークへ向かってしまう。


 やがてルークは本を閉じ、静かに立ち上がった。

 そのまま足音も立てずに図書館を出ていく。


 俺は、彼の姿が完全に見えなくなるのを確認してから動いた。

 ルークが読んでいた本を手に取る。


 この国の歴史書。


 思わず眉をひそめる。


(一体何者なんだ、あいつは)


 胸の奥がざわつく。

 理由はわからない。ただ、強く引っかかる。


 そして俺は気配を探りながら、ルークを追いかけた。


 何故こんなにも気になるのか。


 だが、ひとつだけはっきりしている。


(あいつは、逃してはいけない)


 根拠はない。

 それでも、この感覚は信じるべきだ。


 俺は何度も、この直感に助けられてきた。


 ルークが向かうのは海を見下ろす公園だとわかった。


 なんだか、健全すぎて笑える、なんというかルークらしい。


 ルークは商船が港に入るのをぼーっと眺めていた。


 翌日。


 ギルドに入ると、ルークが別の男に囲まれていた。


 男はしつこく誘っている。

 だがルークは、丁寧な言葉で断り続けていた。


「今日は無理です」


 ルークがそう言っても、男は引かない。


「一度でいい、組んでみようぜ」


 そのやり取りに、受付が割って入った。


 受付がはっきりと言う。

「薬師ギルドから薬草の供給を頼まれています。ですのでルークさんに頑張っていただきたいのです」


 ルークが静かに続ける。

「だから今日は薬草を摘みに行きたいんだ」


 男はしばらく黙り込んだが、やがて肩をすくめた。

「そうか、わかった」


 男のパーティはそのままギルドを出ていった。


 俺は受付に近づく。


「今のはなんだ?」


 受付が少し困ったように答える。

「ルークさんは魔法が使えるので、誘う人が多くて……」


 俺はルークの方へ向き直る。


「ルークさん。いつも一人なのか?」


 ルークがうなずく。

「はい」


「魔法士で一人はきついだろう」


「いえ、剣も使いますので大丈夫です。危ないところには行きません」


 そう言うと、ルークは受付に頭を下げた。

 そして俺にも軽く目礼し、そのまま外へ出ていく。


 気づけば、その背中を目で追っていた。


 胸の奥でいくつもの考えが巡る。


(まずは……薬師ギルドに話を通すか)


 俺はそのまま薬師ギルドへ向かった。

 事情を説明すると、驚くほど歓迎された。


 その後、俺はあえて二日ほどギルドに顔を出さなかった。

 焦る気持ちを抑えながら、本屋で買った薬草の本を読み続ける。


 ルークは薬草の話なら冷たい受け答えをしない。

 そう確信していた。


 三日目。


 俺は期待を胸にギルドへ向かった。


 受付が声をかけてくる。

「フェルナンドさん、指名依頼が入っています」


「指名依頼? 護衛か?」


「ええ、護衛です」


「どこだ?」


「近くなんですけど……」


 俺は顔が緩みそうになるのを必死で抑える。


「ルークさんの護衛です」


「薬草採取のやつか」


「はい。質のいい薬草を採ってくるので、薬師ギルドからルークさんの薬草が欲しいと依頼が来ています」


 俺は静かにうなずく。


 受付が続ける。

「それで、護衛をフェルナンドさんにお願いしたいと……」


「つまり近場でいいんだな」


「そうなんです。本来ならフェルナンドさんにお願いする内容ではないのですが……」


「やる。いいポーションが手に入るなら助かる」


 受付がほっと息をつく。

「ありがとうございます」


「ルークさんは?」


「もうすぐ来るはずです」


「ここで待つ」


 俺は受付から少し離れた場所で待った。


 しばらくして、ルークが入ってきた。


 すぐに二人の冒険者が近づく。

 赤毛の男と、大剣を背負った男だ。


 二人はルークを挟んで話しかける。

 ルークが一歩下がると、二人はさらに詰め寄る。


 赤毛の男がルークの肩に手を回した。


 胸の奥がざわつく。


 俺は迷わず歩み寄った。


「ルークさん」


 声をかけると、赤毛の男が振り向く。


「フェルナンドさん、おはようございます。ルークをパーティに誘っているんですよ」


 俺はルークを見る。


「ルークさん。薬草採取の護衛依頼を受けた。よろしく頼む」


 ルークがわずかに目を見開く。

「護衛……ですか?」


「ああ。薬師ギルドからの依頼だ」


「護衛ですか? いらないですけど」


 その一言が冷たい。胸に刺さる。思ったより効く。


 それでも俺は言葉を続ける。


「俺もしばらく遠出できない。ちょうどいいんだ。邪魔はしない」


 少し間を置いてから続ける。


「頼む。受けてくれ」


 そう言って、軽く肩に手を置いて、そのまま受付へと誘導した。


 受付の説明を受け、ルークは渋々うなずいた。


 俺は内心で息を吐く。


(これでいい)


 表面上は穏やかに振る舞いながら、心の中で確信する。


(距離を詰めればいい)


(そうすれば、邪魔なんて思わせない)


 俺は笑みを浮かべたまま、全力で愛想よく振る舞った。


いつも読んでいただきありがとうございます!


誤字、脱字を教えていただくのもありがとうございます。

とても助かっております。

楽しんでいただけましたら、ブックマーク・★★★★★をよろしくお願いします。

それからもう一つ、ページの下部にあります、「ポイントを入れて作者を応援しよう」より、ポイントを入れていただけると嬉しいです。


どうぞよろしくお願いいたします。



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