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ニナクリーシャへの誘い 2

ニナクリーシャに行く場合は、都市開発の相談役というポジションで王都から派遣されるらしい。


ユーヴァンはティアの随行をお願いすると言っていたが、権力者からの依頼であれば、ティアは自分の意志と関係なく同意するだろう。


ティアにこれ以上の負担を掛けたくないが、一緒についてきて欲しいという気持ちも正直ある。

出来れば自分の口で同行をお願いするのが筋というものだろう。


ゼンイチはティアのもとに向かう途中、どう伝えるべきか頭の中で繰り返していた。


(「ニナクリーシャについて来てくれたら、とても安心できるんだ」……いや、回りくどいか?「いっしょに、相談役になろうぜ!」……俺のキャラじゃないか……? どう言ったら──)


ティアは図書館の庭園にあるベンチで本を読んでいた。風が髪を揺らす。集中しているのだろう。さらりと髪をかき上げ、耳にかける。夕焼け色の光が、その美しい横顔を静かに照らしていた。


思わず息をのんだゼンイチにティアが気づく。


「打合せは終わりましたか?」


「な、なあ、ティア……俺と、一緒にならないか?」


 その瞬間、ティアの手に持っていた本が、ぴたりと静止した。

 目を見開き、頬をわずかに染めたその表情を見て、ゼンイチはようやく自分の言い方に問題があったことを悟る。


「えっ、ちょ、違う! そういう意味じゃなくて!」


「そ、そういうって、どういう意味なんですか!?」


 ティアは耳まで真っ赤にしながら身を乗り出してくる。ゼンイチは慌てて両手を振った。


「ち、ちがうって! プロポーズとかじゃなくて! その、仕事の話! ニナクリーシャっていう都市で再開発があって、国家土地管理局の副所長から相談役になって欲しいって頼まれたんだよ!」


「に、ニナ……クリーシャ……? あの、南東の?」


「そう! なんか城塞都市で、防衛と物流の要なんだけど、古い貴族が絡んでてごたごたしてるらしい。領主は国王の弟で、でもそっちにも手が回らなくて、人手が足りてないって、それでティアも一緒に相談役になって、一緒に行ってくれたらって…」


 ティアはようやく冷静さを取り戻し、そっと本を閉じた。

 それでも頬の赤みはまだ残っていて、ゼンイチは見ないふりを決め込む。


「……再開発、ということは都市計画や住居区画の整備も?」


「多分そうなる。あと、古い遺構の調査も兼ねてるって。なんか、防衛施設の名残が問題になってるらしいんだ」


 ティアはしばらく考え込んだあと、柔らかく笑った。


「……てっきり、いきなり求婚されたのかと……心臓が止まるかと思いました」


「俺も止まるかと思ったよ! 自分で言っててドキドキしたもん!」


 互いに照れ笑いしながら、ゼンイチはベンチに腰を下ろし、真面目な声で言った。


「でも、やっぱり……ティアが一緒に来てくれたら心強い。現地の貴族や役人ともやりとりしなきゃだし、文化の違いで変な誤解が生まれないようにしたいんだ」


 ティアはうなずいた。


「わかりました。私でよければ、お供します。……?」


「……お願いします」


 二人は顔を見合わせ、ふっと笑った。



「それで……実はもう一人、お願いしたいやつがいてさ」


ティアが横目でゼンイチを見た。


「今度は言い方、間違えないようにしてくださいね?」


「わ、わかってるって!」


夕方、街が夕闇に包まれ始めた頃、ガルドが図書館の入口に現れた。重い足音とともに、ひときわ目立つ長身が近づいてくる。


「どうした?こんな所で待ち構えて…何か問題でもあったか?」


「いや、そういうのじゃなくてさ……今日は3人で飯でもどうかなって」


「……なんかあったな?」


「まあ、いいじゃないか。飯食いながら話すよ」


ガルドは肩をすくめ、3人は馴染みの酒場へ向かった。


食事が運ばれ、料理の湯気が立ち上る中、ガルドが箸を止めてゼンイチをじっと見た。


「で? そろそろ言えよ」


ゼンイチは苦笑しながら、グラスを置いた。


「ニナクリーシャっていう城塞都市に、相談役として行くことになった」


「……ああ、あの南東の」


ガルドは肉を咀嚼しながら、しばらく考え込んだ。そして無造作に言った。


「おもしろそうだな。行くか」


「え? 隊の仕事は……」


ティアが尋ねると、ガルドはあっけらかんと笑った。


「辞めるよ。隊長には恩もあるけどな。お前ら二人だけじゃ心配だし、何より――面白そうじゃねえか」


ゼンイチは笑ってグラスを掲げた。


「じゃあ、俺が護衛として個人的に雇うよ。正式に」


「そうしてもらえると助かる」


「よし、決まりだな」


「あぁ、ただ少し時間をくれないか。除隊の手続きや、兄貴…ゲイルにも挨拶をしておきたい。」


「問題ないよ。じゃぁ出発は一か月後としよう。」


「わかりました。」

「あぁ、楽しみだ」


その夜、三人の杯が静かに触れ合った。

新たな旅立ちを祝うように。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

色々考えましたが、次章──「ニナクリーシャ編」はいったんお休みします。

第一章は思いつくまま、キーボードを連打しましたが、改めて小説の難しさを感じました。


とりあえず、今は『 魂装の輪廻 ~死者の魂で異世界最強~ (仮) 』でプロットを作って話を作ることに挑戦ですw 

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