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17、おっさんカラオケ大会に出る

「小野さん、加川さん、町内のカラオケ大会に出てもらえないかな?」

「はい!? 店長、急になんですか?」

 俺は焦った。歌うのは好きだったが、今の姿でカラオケに行ったことはない。

「いいですよ、面白そう。ね、千草?」


「……ああ、はい、菜央がそう言うなら出ます」

 俺は心を決めた。

「あの、百々花ちゃんも誘って良いですか?」

 菜央は店長に聞いた。

「OKだよ、一人でも多い方が盛り上がるしね」

 店長は嬉しそうだった。町内会の人間関係も難しいのかも知れない。


「ねえ、千草。明日、練習がてらカラオケに行こうよ。百々花ちゃんも誘って」

「そうだね。いいよ」

 俺は内心困っていた。最近の曲なんて分からない。

 しかたなく、俺はおっさんだった頃に聞いていたアイドルのCDを引っ張り出して聞いた。

 カラオケ当日。

 百々花も菜央も時間通りに駅前にやって来た。

「カラオケ屋さんって意外と行ってないね」

「そうだね」

 ふたりは和気藹々と話している。


 カラオケ屋に着くと、百々花が手続きをした。駅前なのにカラオケ屋は空いていて直ぐに部屋に入れた。

「最初に言っておくけど私、古い曲しか分からないよ」

 俺は先手を打つことにした。

「そっか、気にしないよ」

 百々花も菜央も笑顔で頷いた。


 百々花も菜央も最新の歌を歌っていた。

「次、千草だよ」

「うん」

 俺は懐メロを入れた。


「あ、この曲なら知ってる」

「わたしも、歌えるよ」

 意外だったが、ふたりとも俺の知っている曲を歌えることが分かった。

「なんでこんな古い曲知ってるの?」

「お母さんが良く聞いてるよ」

「私の家もそうだよ」


 俺は百々花や菜央の親と同じ世代だと思うと、なんだか気が重くなった。

「カラオケ大会の曲、青いスイトピーにしようよ。これなら皆歌えるよ!」

「いいの?」

「いいよ!!」


 百々花と菜央はノリノリで歌っている。


 カラオケ屋をでると、3人は別れ別れになった。

「それじゃ、週末頑張ろうね!!」

 菜央が言うと百々花が返した。

「この前買ったお揃いのワンピース着ようね」

 俺も頷く。

「分かった」


 カラオケ大会当日。

 とても良い天気で暑かった。

 カラオケ会場には、そこそこ人が集まっていた。皆、暇なんだな。


 カラオケ大会が始まると、着々と出番が近づいた。

「じゃあ、私たち3人で青いスイトピー歌います!!」

「はい、よろしくおねがいします」


 カラオケ会場がわずかに盛り上がった。店長、義理は果たしたぞ。

「はい、お疲れ様でした」

「ありがとうございました」

 俺たちは頭を下げて舞台を降りた。


「ああ、緊張した」

「でも、聞いてもらうのって快感だね」

 百々花が目をキラキラさせていった。

「私はもういいや」

 俺がため息交じりに言うと、菜央が笑った。


「それでは優勝は、小野千草さん、加川菜央さん、相沢百々花さんの3人組です」

「ええ!?」

「優勝賞品はお米10キロです!」

「ありがとうございます!」

 俺は嬉しかった。食費が浮くからだ。

 

 菜央と百々花は賞品に興味は無かったようだ。

「ほしかったら千草持って帰って良いよ。重いし」

「うん」

「いいの!? やった!!」


 こうして、無事カラオケ大会は終了した。

 俺はホクホクして米を担いで家路についた。


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