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蛇足2

・恋愛お題ったー(http://shindanmaker.com/28927)

これでお題を決定してやってみました。

エリオットさんは、「夕方のジム」で登場人物が「約束する」、「スーツ」という単語を使ったお話を考えて下さい。


‥‥‥‥‥‥

 私はいつも筋肉がつくようにトレーニングをつんでいる。だが、いくらジムで鍛錬をつもうとも、カルロ殿のような美しい肉体を手に入れる事は出来ない。


「はぁ……」


 バタフライマシンから腕を離し、汗を拭って溜息を零す。隣のベンチプレスで鍛えているイリアス殿を横目にみると、筋肉が美しく盛り上がっている。私はイリアス殿ほどの重量を上げる事が出来ない。相変わらずひ弱だった。


「くっ……よっ!……ふぅ!」


 上まで持ちあげきって、爽やかな笑みで起き上がる。疲れ等微塵も感じていないようで、シットアップベンチへと移動している。その足取りが軽く、ステップでも踏んでしまいそうだ。なんとも嫌味なものだ。

 私の視線に気付いたイリアス殿が、苦笑いを浮かべる。


「そんな顔して……団長の方が余程羨ましがられるくせに」


 そう、私には絶世の美女であるユリという恋人がいるのだ。若い男なら必ず目が惹かれ、その優しさに触れれば恋に落ちる。騎士団の男たちの心を根こそぎ持っていってしまわれた。

 皆、ユリを好いているが、ユリが嫌がる様な事はしない。それにユリは頻繁に私の話をして惚気ているようなのだ。そんなユリに告白する者など、何も知らない新人だけだ。

 惚気られるのは、気恥ずかしいので本当にやめて欲しいものなのですが……男として悪い気は致しません。カルロ殿のような筋肉がなくても、私が好きと言う変わり者の「異界の君」。


「ほら、さっそくです、団長。行ってあげてくださいよ!」


 イリアス殿の指さす先には夕暮れで照らされた美しい女性。

 何度も見ているはずなのに、見る度に鼓動が跳ね、幸せな心地にさせられる。私はバタフライマシンから立ち上がって愛しい彼女の所へ向かう。


「ねぇねぇ、エリオット!明日、私の部屋に来てね?」

「……っ!え、ええ」


 彼女がこうやって部屋に呼ぶ時は、何かしら思い浮かんだ時なのだ。ブラッシングさせられたり、膝枕をしてもらったりと、基本的に私が喜ぶモノが多い。それで彼女も喜んでいるのだから、私としても嬉しい。

 ですが……少し困ります。彼女の部屋からは彼女と同じ甘い香りがして、彼女が柔らかな体を寄せてくる。その度にどれだけの精神力が問われるか……今度も耐えられるでしょうか……?流石に、お昼間にそういう事はしてはいけませんからね。

 彼女の「呼び出し」は嬉しい反面、精神力がかなり持っていかれるものなのです。

 良い笑顔で去っていく彼女を見て、嬉しいやら、困惑するやら。


 次の日、約束通り彼女の部屋へと訪れると、なにやら変わった服を持っていました。


「じゃーん!でっきたんだよ!特注品!なんでこの世界にスーツがないの!?くぅう!そうですよね、筋肉マッスルにはちょびっとばかしハッスルしちゃいますからね!でもでもでも!マッスルハッスルでもスーツは必要だと思うの」


 何やら白熱している。良く分からないが、その服には深い情熱が込められているようです。灰色の「スーツ」とやらは男性用にしか見えない。流石に、あれはユリが着るようなモノではないだろう。だとすると、あれは私用だったりするのでしょうか?


「さぁ、エリオット!脱いで脱いで」


 そう言って勢いよく私の胸に飛び込んでいて、ボタンを外そうとして来る。その行動に驚く。自分の部屋に男を入れて、その男の服を脱がそうだなんて。私でなければ、すぐにでも襲っている所です。……私もそれなりに、いえ、かなりやばかったですが。


「あっ、だ、ダメです!その、自分でやれますから!」


 慌てて引き剥がすと、不満そうにしているユリ。ああもう、この方は……本当に心臓に悪い方です。私は着替えようと思ったのですが、別室に行くと、ユリが付いてきます。


「あ……あの、ユリ?」

「ん?なぁに?」

「見られていると、着替えにくいのですが」

「気にしないで!」


 堂々と覗いてくる恋人。私は溜息をついて、ユリの頬に触れます。暖かく、とても甘い味のする恋人に、頭が痺れて来そうになるのをなんとか堪えます。


「そんな事をして……食べられても仕方がないですよ?」


 私がそう言ってキスすると、ボン!と顔を真っ赤にさせました。可愛らしくて、私の方も顔が熱いです。瞳を潤ませて真っ直ぐにこちらを見上げてくるユリを見て、理性が揺れてしまいます。う……ダメです。

 いつまでも見ていたい気持ちを振り払い、視線を引き剥がします。ドキドキと心臓が速く、胸が甘く締め付けられます。自分が言ったせいでその反応をしているのは分かってはいるのですが……分かっているからこそ、歯止めが利かなくなりそうです。


「食べても、いーよ?」


 そんな事をおっしゃります。恥ずかしそうにしつつも、私を誘惑してくるイケナイ恋人。この方は未だに自分の価値というモノを良く理解していらっしゃらない。

 ……遅くなったら、イリアス殿に叱られそうです。



……

百合さんは、「朝のレンタルショップ」で登場人物が「キスをする」、「アルコール」という単語を使ったお話を考えて下さい。

朝のレンタルショップ……だと……ない。ないよ、レンタルショップなんて(;゜д゜)

服、はさっきやってるし……ビデオとか論外だし。

↓悩んだ結果……本編で上がらなかった裏話。

……


 私は本のレンタルショップに来ている。本は高級品で、そんなに数も出ていないので、借りるのに結構お金がかかる。本レンタルは貴族御用達なのだ。

 私はというと、あれです。「異界の君」ビップ待遇なのですよ。まぁ、王様直々の依頼でもありますけどね。

 この異世界には、こう、魔法魔法したものはあまり普及していない。と、いっても、魔力と言うのは存在している。コンロなんかは魔力で動いているモノもある。空気中の魔力を取り込んで発動させるもので、とても高級品で、庶民には手が出せない代物だ。

 杖から、炎を上げたり、水を噴出したりだとかはない。かわりに「ビースト」っていう身体強化ならあるんだけど、今はおいといて。

 今、エルトリアの王城で魔術師と呼ばれる人は3人しか確認できていない。御年97歳になられる方と、その娘さんと、孫。察していただけた様に、血によってしか魔術師は受け継がれない。しかもお孫さんに至っては殆ど使えないレベルまで落ち込んでいる。

 血でしか受け継がれないのに、血はドンドンと薄まっていく。


 何故血なのか、それは「異界の君」に大きくかかわってくる。「異界の君」が齎したのは知識だけではない。「魔法」もだった。エルトリアの世界に墜ちてくる「異界の君」は魔術師と相場が決まっているらしい。

 最近まで知らなかったよ。

 私がこの世界に馴染むまでは上手く発動出来ないらしいので、黙っていたらしい。異世界で、もふもふのイケメン連れて、魔術師になるのか。なんということでしょう、テンション上がる。

 そこで、この本レンタルショップだ。ここには先代の「異界の君」が書き残した魔術の本や、方法、知識がふんだんに込められているのだ。ここで魔法を学んで、王城に貢献する。やっとただ飯食らいから解放されるという訳である。ホッとした反面、責任の重さに新たな悩みの種。

 道理でビップ待遇なはずですよね。そんなに貴重な魔術師なんだもの。

 「異界の君」の子孫は強い、というのは魔法が使えるという意味も含まれていたのだ。

 今ままでよく他国に攫われなかったな……この国のセキュリティーに感服するよ。


 黙々と本を読み続ける。中には、日本語の本もあった。あまりに懐かしい文字に涙が溢れた。


「貴方に幸福が訪れますよう」


 最後にそう書き記してあり、思わず本を抱きしめる。この世界に落とされた同じ日本人。この人はここでどんな生活をしたのだろう。


 しんみりしつつ窓をみると、もう夕方になってきている。何冊か本を借りて自室で読む事にした。


 自室で本を読んでいると、ドアがノックされた。


「え、エリオット……?」


 返事をする前にドアは開け放たれる。そこには顔を真っ赤にさせたエリオットの姿。珍しい。ドアをノックしたら返事があるまで絶対待つ人なのに。


「ユリ……」


 すたすたと真っ直ぐにこちらに来るエリオットの、少し違う雰囲気に気圧される。


「え、エリオッとぉっ!?」


 ドサリとベッドに押し倒される。そこでふわりとアルコールの香りがしてきた。エリオットの顔は茹で上がり、目はどこかとろんとしている。

 おお、レアエリオットだよ。酔ってるエリオットなんて、珍しい。まじまじと見ていたら、首の所に顔を埋めてきた。息が首にかかり、とてもくすぐったくて鳥肌がたってきた。


「ふぇっ!……え、えええ、エリオット!酔ってる?」

「……そーかも、しれない。だめだ……ユリ」

「んっ……!」


 両腕を甘く拘束されて、口付けされる。口内に舌が入り込む。アルコールの味なのだろう、なんだか苦い味が広がる。今まで飲んだ事のない味に、こっちまで酔ってきた。

 深く口付けられて、ゾクゾクとして震える。

 酔っている間、敬語が取れるのか、男らしいモノ言いに体が熱くなってくる。


「抵抗、してくれないと……たぶんもう、とまれない……」


 熱に浮かされた、余裕のないエリオットの美しい顔を見て、抵抗する事など出来ないのだった。

うん、朝じゃないですけどね。むしろレンタルショップでもないんですけどね、うん。思いつかなかったんですよ。魔道具は高級品過ぎますしね。


ちなみに「貴方に幸福が訪れますよう」と記述した日本人の方は、この世界の価値観を作り出す要因となった張本人だったりします。

マッチョ好きーの濃い顔好きーだった方です。

筋トレグッズやプロテインを広めたのも彼女です。

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