↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13才と31才と  作者: 転生新語


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
2/2

13才と31才と(後編)

「すっごい、内容(ないよう)が良(よ)かったですよね。歴代(れきだい)シリーズのキャラクターが合流(ごうりゅう)してくるっていう、お約束(やくそく)の展開(てんかい)はしっかり押(お)さえつつ、テーマはとてもシンプルで」


「ヒロインたちの目的(もくてき)は結局(けっきょく)、一人(ひとり)の孤独(こどく)な少女(しょうじょ)を元気(げんき)にすることだものね。スーパーマンの映画(えいが)だったら、地球(ちきゅう)や宇宙(うちゅう)の平和(へいわ)を守(まも)る展開(てんかい)になるんだろうけど。日曜(にち)朝(あさ)アニメのヒロインは、孤独(こどく)な少年(しょうねん)少女(しょうじょ)に寄(よ)り添(そ)うキャラクターなのよ。よくわかってるわぁ、映画(えいが)の製作陣(せいさくじん)は」


 映画館(えいがかん)のロビーでソファーに腰掛(こしか)けてから、13才(さい)と31才(さい)の二人(ふたり)は感想(かんそう)を語(かた)り合(あ)っている。


「私、心(こころ)の何処(どこ)かで思(おも)ってたんですよ。私は物語(ものがたり)のヒロインに、なれないんだって。ヒロインになるような子(こ)は皆(みな)、ポジティブで輝(かがや)いてて、そういう要素(ようそ)は私に無(な)いですから」


 年下(としした)の少女(しょうじょ)が、一息(ひといき)ついてから再(ふたた)び、話(はな)し出(だ)す。


「でも実際(じっさい)は、内向的(ないこうてき)なのに活躍(かつやく)しているキャラクターだっているんですよね。以前(いぜん)のシリーズから合流(ごうりゅう)してきたヒロインは、『怖(こわ)くない、怖(こわ)くない』っていう呼(よ)びかけが決(き)め台詞(ぜりふ)で。あの言葉(ことば)は、孤独(こどく)な女(おんな)の子(こ)の心(こころ)に、きちんと届(とど)くと思(おも)うんですよ」


「キュア・リリアンのことね。女(ヒ)主人(ロイ)公(ン)っていうと一人(ひとり)に限定(げんてい)されがちだけど、日曜(にち)朝(あさ)アニメのテレビシリーズや映画(えいが)は、複数(ふくすう)のヒロインがいるって考(かんが)えたほうがいいんじゃないかしら。最新(さいしん)シリーズなんか、特(とく)にそうじゃない。変身(へんしん)するときは二人(ふたり)一緒(いっしょ)が基本(きほん)だものね」


 二人(ふたり)の目(め)は輝(かがや)いている。大好(だいす)きなアニメを語(かた)り合(あ)えば、年齢(ねんれい)の差(さ)も関係(かんけい)ないのだった。


「ええ。とにかく、あの映画(えいが)は孤独(こどく)な少年(しょうねん)少女(しょうじょ)、そして孤独(こどく)な大人(おとな)への呼(よ)びかけなんです。ヒロインになれなくても、貴方(あなた)には貴方(あなた)の価値(かち)があるんだよって。頑張(がんば)れば、もっと輝(かがや)けるかもしれない。ヒロインに近(ちか)づけるかもしれないって、そういう勇気(ゆうき)を与(あた)えてくれる話(はなし)でした」


「そうね。映画(えいが)の中(なか)でプリズムっていうのか、光(ひかり)を煌(きら)めかせるアイテムがあったじゃない。あれは一種(いっしゅ)の増幅器(ぞうふくき)で、『心(こころ)の中(なか)にあるレンズ』を象徴(しょうちょう)してると思(おも)うのよ。そのレンズは、心(こころ)のネガティブな部分(ぶぶん)を増幅(ぞうふく)させることもあって。でも逆(ぎゃく)に、心(こころ)のポジティブな部分(ぶぶん)を増幅(ぞうふく)させることだってできるものなの。そして、孤独(こどく)な少女(しょうじょ)のレンズに光(ひかり)を与(あた)えてくれるのは、友(とも)だちや外界(がいかい)からの助(たす)けなのよね……」


 二人(ふたり)は映画(えいが)の話(はなし)に夢中(むちゅう)であった。一人(ひとり)で映画(えいが)を観(み)に来(き)ていたときより、ずいぶん明(あか)るい表情(ひょうじょう)になっている。


「いつもながら、ヒロインがシリーズを越(こ)えての共演(きょうえん)をするって展開(てんかい)が、もう激熱(げきあつ)で激熱(げきあつ)で! 孤独(こどく)な少女(しょうじょ)の闇(やみ)に、他(た)シリーズのヒロインがハグで寄(よ)り添(そ)ってくれるところで泣(な)いちゃいましたねぇ、私」


「シリーズを越(こ)えた共演(きょうえん)ってことで言(い)えばさ。最新(さいしん)シリーズって、物語(ものがたり)の時代(じだい)が1999年(ねん)じゃない。だから、どうやって時代(じだい)が違(ちが)う他(た)シリーズのヒロインと会(あ)うのかなって思(おも)ってたんだけど。舞台(ぶたい)を夢(ゆめ)の世界(せかい)にすることで、時空(じくう)を越(こ)えた共演(きょうえん)が可能(かのう)になってて感心(かんしん)したなぁ。まさしく、夢(ゆめ)の共演(きょうえん)ね」


「来年(らいねん)も劇場(げきじょう)映画(えいが)化(か)が決定(けってい)してますし。そのときは、細(こま)かい理屈(りくつ)を抜(ぬ)きにして、またヒロインたちは共演(きょうえん)してくれますよ。公開(こうかい)が今(いま)から楽(たの)しみです!」


 二人(ふたり)はソファーから立(た)ち上(あ)がって、場内(じょうない)の売店(ばいてん)に向(む)かう。これから作品(さくひん)のグッズを買(か)うのだ。


「映画(えいが)のパンフレットは絶対(ぜったい)、買(か)いましょう。毎回(まいかい)、楽(たの)しみにしてるんです」


「もちろん買(か)う、買(か)う! 挿入歌(そうにゅうか)の歌詞(かし)が必(かなら)ず載(の)ってるのよね。映画(えいが)のメッセージが込(こ)められてて、いつも読(よ)み返(かえ)してるの」


 すいませーん、パンフレットくださーい。そう二人(ふたり)は、係員(かかりいん)に声(こえ)を掛(か)けた。


「ああ、日曜(にち)朝(あさ)アニメのものですね。あいにく、今(いま)あるのは残(のこ)り1冊(さつ)だけです」




 その後(ご)、二人(ふたり)はパンフレットを巡(めぐ)って、しばし殴(なぐ)り合(あ)いのケンカを始(はじ)めて。結局(けっきょく)、パンフレットは割(わ)り勘(かん)で買(か)って、二人(ふたり)で貸(か)し借(か)りしながら読(よ)むこととなった。お互(たが)い、映画館(えいがかん)をまたいで、意外(いがい)と近所(きんじょ)に住(す)んでいたので。


 今年(ことし)の日曜(にち)朝(あさ)アニメ劇場版(げきじょうばん)は、シリーズ歴代(れきだい)興行(こうぎょう)収入(しゅうにゅう)で1位(い)を記録(きろく)したそうだ。来年(らいねん)の映画(えいが)は、更(さら)に人気(にんき)が上(あ)がるかもしれない。とりあえず二人(ふたり)は、来年(らいねん)の映画(えいが)も一緒(いっしょ)に観(み)に行(い)くことを約束(やくそく)している。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。