贈り物…
夏樹…今もあなたの声が聞こえてくる気がする
あの日曜日
夏樹はもう一度私に会いに来てくれたんだよね…
ねえ、私がオムライス作っている時、これを書いてたの?
私は今もまだ辛くて、夏樹のこと思えば涙が止まらなくなる…
でも、夏樹も辛かったよね
あんなに美味しそうにオムライスたべてくれてありがとう
いつもと同じように私と過ごしてくれてありがとう
おそろいのカメラのストラップは
夏樹と私を繋ぐものだったんだね
大切にするね
ねえ、そしてここにある
『名称未設定』
これはなに?
澪はフォルダをクリックしてみた
そこには
夏樹がとった写真が入っていた
出会った頃からの二人の写真といっても
ほぼ澪の写真だ
そこにはたくさんの一瞬が残されていた
夏樹が好きだった澪の笑顔の瞬間が
瑞々しく切り取られていた
いつも私を見ていてくれたんだね…
私の一瞬の笑顔を逃さないように…
寝ぼけ顔まで…こんなのまで撮ってる…笑
それと…この写真はなんだろう?
一枚だけ、澪の写真じゃないものが入っていた
5歳くらいの子ども…
甥っ子?かな
この前5歳になったって言ってたから…
そういえば、滝の写真
あの時、見せ合いっこしなかったよね
夏樹、どんな写真を撮っていたのかな…
あっ、そうだ
カメラあるから見れるかな…
ねえ夏樹、みてもいい?
最後に撮った写真
夏樹のメッセージを聞かせてほしくて…
澪は
夏樹のカメラを手に取った
………。
滝の写真は一枚も撮っていなかった…
澪
「滝…じゃない…」
そこに写っていたのは
ウエディングドレス姿の澪とエスコートする夏樹の写真だった
夏樹…これがあなたの最後のメッセージ…
これってプロポーズって思ってもいいのかな…
ねえ…夏樹…
澪は溢れる涙を堪えきれず
俯いた…
コロンっ
何かが机に落ちる音がした
………指輪?
何か掘ってある…
『M & M』
ダイヤモンドのプリズムが澪の涙にきらめいた
。
。
。
あれから7年が経った…
澪はあの時と同じマンションに今も住んでいる
薬指にはあの時の指輪が光っている
先日隣に越してきた人がいるのだが
ちょうど澪と同じくらいの女性だと思う
朝、出かける時間がよく同じになるので
たまに挨拶程度の会話を交わす
澪
「あ、おはようございます」
隣人
「おはようございます、今日も暑いですね」
「ほら、瑞樹急いでっ」
澪
「あら…お子さんがいらっしゃるんですか?」
隣人
「あ、はい
シングルマザーで…ほら、瑞樹ったら」
ようやく玄関先にその男の子は現れた
澪は思わず息を呑んだ
あの…フォルダに入っていた写真の男の子だった
この子の写真だったんだ…
瑞樹
「おはようございます」
澪は我に帰りその男の子に挨拶した
「お、おはよう、瑞樹くん
ちゃんと挨拶できるなんて偉いね笑」
その子はあの青いストラップのついたおもちゃのカメラを肩からかけていた
瑞樹
「ねえママ、今日の夜食べたいのがあるんだ
あのね、お絵描きしたオムライス
いい?いいでしょ?」
お絵描きしたオムライス…笑
澪はその可愛らしいオムライスを想像して微笑ましくなった
そして…そこに夏樹の面影を見た




