プロローグ 表と裏
表と裏の世界。
人間はこの世界に裏があることを知らずに生きている。
裏の世界とは、表より高度な文明が発達していて、表と共存することはなかった。
だが、その均衡が今、崩されようとしていた。
「ったく今日も暑いな」
愚痴をこぼらせたのはマンションのベランダから街並みを見下ろす少年。
彼は浅倉大樹。立花小学校に通う五年生だ。
世界をぼっとしながら見渡している。
「なんか退屈だよなあ。毎日毎日同じことの繰り返しでさ」
学校に通い、学問に励み、友達と決まった時間に帰る。
再三再四に繰り返される日常に、少年は退屈にしていた。
「一度でいいからさ、冒険とかしてみたいよな!」
大樹は声を高らかに喝采した。
この退屈な日々から脱却するには毎日がハラハラした冒険がしたい。
そんな想いを抱き、少年は冒険を志した。
その時。
少年よ──
「え?」
何処かから声がした。
しかし、大樹は周りを見渡しても誰もみかなかった。
幻聴か何かだろうか。
そう勘繰ったが、答えは見つからない。
何処にも声の主は見つからない。
汝よ 世界の理を知りたくば───
この手を天に掲げよ──
さすれば、世界は汝を導くだろう───
「???」
大樹は荒唐無稽な話の内容に全く理解が出来なかった。
とりあえず手を空に向かって上げれば良いのだろうか?
そんな疑念を抱いて そっと手を空にあげてみる。
すると。
「え??え??」
なんと、急に空が真っ暗になったのだ。
今は昼だったはずなのに、どうして当然昼夜が逆転したのだろうか?
自然の法則を無視した超常現象に唖然とし、動揺が止まらない。
あの声は幻聴では無かったのか?
更にまた想像を絶する現象が起きた。
何と大樹の足がベランダから離れ、空へと浮いてしまったのだ。
「なんだこれ!?なんだこれ!?」
じたばたと暴れるように動く。
そして、吸い込まれるように空へと導かれるのだった───
少年は裏の世界へと導かれた。
この時は知る由も無かった。
それが伝説の始まりとなることに。
ハルマゲドン。
第一章 開幕。




