禁書
俺は親に聞いていいのか?
だが…親に聞いてもわかると決まったわけでもない。
しかも危険に巻き込むかもしれないそんなリスクは負うことなど俺にはできない。
ならば少し図書館で調べてみるか。
ヒカルはそう心の中で葛藤して決めた。
図書館に行くことをだ。
ヒカルが図書館で探したのは祖先についての本だった。
そして、ある一冊の本を見つけることができた。
タイトルは「我等の偉大なる祖先」だった。
ヒカルは胡散臭いと思いながらもその分厚い本を開いて読み始めた。
しかし、核心は書いておらず結局のところこの本に書いてあったのは、この世界がいま平和で幸せな平等な社会となっているのは祖先のおかげだから感謝しようという内容だった。
ヒカルはしびれを切らして司書に聞いた。
「すみません先祖に関する本を探さ方いるのですが…」
すると司書は即座に答えた。
「あーダメダメそれは閲覧禁止なのよ。
例外など存在しないわ。たとえ司書はであってもダメなのよ。
所謂禁書ということかしら」
ヒカルもそう言われたらそれ以上は何もいうことはできなかった。
禁書を読むことは重大な犯罪であると教えられていたからだ。
ハッキングよりも重大。
下手をすると強盗よりも重い罪だった。
流石にヒカルもそこまでのリスクを犯してまで読みたいとは考えることはできなかったのだ。
ヒカルは図書館から出て悩んでいるとアーリーとアリーヤの二人がニヤリとしながら近づいてヒカルに気づかれないように耳元で囁いた。
「…随分と苦労しているみたいだけど俺たちには何もさせてくれないのかな?」
「流石に私には何もさせてくれないというのは酷なことじゃないかしら?」
ヒカルはそれを聞くとビクッとして振り向いて言った。
「な、何だお前らかよ…てっきり不審者か何かと思った。
それと話しかけるならもう少しまともな方法で頼む。
こっちの心臓がもたない。
それから、協力してくれるのは嬉しいけどこの図書館で調べられることは何もない。
なんか禁書らしいんだ。
流石に俺でも禁書にまでは手を出すことはできない。
だから八方塞がりという感じだな」
それを聞くとアーリーとアリーヤの二人はニヤッと笑った。
「お前ら何かあるんだな?」
アーリーは軽く頷いた。
「お前一人で探そうとするのくらい簡単に予想できた。
だから、俺たちも情報を得ようと一応親に聞いたんだよ。
そしたらビンゴだ。
アリーヤの親がな」
すると、今度はアリーヤが話を始めた。
「私の父親に聞いたの。
そしたら、明らかに動揺した。
さらにこんなことまで言ったのよ。
お前の母親は死んでなんかいない。
生きているとね。
そのあとはなにもいってくれなかったけどこと世界は禁書の件といい私の父親の件といい何か重大な秘密がそれも私たちが知ってはいけない秘密があるのは間違いないわね。
それもその秘密はこの世界そのものを大きく揺らがずかのうせいもある。
でもそういうのを探していくのって楽しそうじゃない?」
最後の意見に二人は苦笑いをせざるを得なかった。
自分の命よりも好奇心の方が上だと言っているようなものだったからだ。
傍目から見たら完全な無謀かつ命知らずなバカにしか見えないだろう。
しかし、ヒカルとアーリーの二人にとってはこれがアリーヤにとっての普通であることからもうもう認めざるをいや、黙認しているような状況であったのだ。
そして、ヒカルはアリーヤの父親の放ったある一言に着目していた。
「なぁアリーヤ、お前の母さんは死んでいなかったってどういうことだ?」
そう聞くと明らかにアリーヤは顔を暗くした。
ヒカルはまずいことを聞いたと思った。
どうフォローしようかと考えているとアリーヤが口を開いた。
「お母さんは、私が生まれてすぐに死んだと聞いていた。
死因は病死だと聞いているわ。
それが生きているなんて突然しかも、父さんの口から言われたとなると私も何が何だか分からないのよ」
「そんなことがあったのか…
そういえばアリーヤの親父さんは何してる人なんだ?」
「んーそういえば俺も聞いたことがなかったな」
「私のお父さんはなんかえらい人らしい。
それ以外は教えてくれなかった」
ヒカルは首を傾げて言った。
「何か言えない秘密のある職業ってところか…
わからんますますわからない」
ヒカルは呟いた。
それを見たアリーヤは提案をした。
「ねぇこんな話ばっかりしてたら息がつまるよ。
久しぶりにあれやらない?」
アーリーは顔を上げて笑顔を見せた。
「そうだな。
3人でやるのは久しぶりだもんなー
やるか!」
「それじゃみんな行くぞ!」
「「「リンクスタート」」」
3人は声を揃えて言った。
「そう言えばリンクスタートってなんなの?」
ヒカルはアリーヤに聞いた。
「知るわけないじゃない。
私達が物心ついた時にはVRゲームをするときの掛け声的な感じでもう定着していたし」
「なんでもかなり昔のアニメであったVRゲームにダイブするときの掛け声であったらしいよ。
だから起源は多分それなんじゃないかな?」
「なるほど。
それじゃ今度こそ行こうか」
「「「リンクスタート」」」
その様子を隠れてじっと見つめている女性がいることを3人はまだ知らない。
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