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第29章 悠と別れてからの貴子
やきもちを焼いていると思われるのも恥ずかしいが、
私だって悠がいなくなってから、出逢った男と寂しさゆえに一緒に住んでいた。
何も事情を知らず、悠を恨んで自暴自棄になり、好きでもない人と付き合い結婚も考えていた。
しかし、3ヶ月も続かなかった。
同棲はしていたものの、淡泊で真面目な男で、結婚相手に良いかと思って付き合ったけれど、
愛がないので面倒くさくなった。セックスの相性も悪かった。
一度寝ただけで、次から拒否。清純そうに見えていたので、相手も無理に強いたりはしなかった。
夫婦ごっこも数日で飽きてしまった。だから、その時の苦い思い出がブレーキになって
結婚話を断っていたのかもしれない。結婚しなければいけないことは頭ではわかっているのに、
心がついていかない。どんな人と付き合っても、酔って抱かれようと思ったこともある。
でも、ダメだった。どんなに条件の良い男と付き合っても、砂を噛んだような焦燥感に苛まれる。
まるで、触ると何もかも石に変えてしまうギリシャ神話の神様のように。
望んでいるものは決して手に入らない呪文をかけられたみたいに。
そう、「もう誰も愛さない」と呪文をかけたのは私自身。
そして、私を追い込んだのは大切に思っていた両親だったなんて。
「でも、今日はもう遅いからまた明日。」




