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第14章 忘れられない初恋の人


渋谷の街のそこここに彼との思い出ばかりが。

あの居酒屋で飲みすぎた彼は、植え込みに吐いた。私はお酒に強いので、

いくら飲んでも酔っぱらうことはなかった。

彼はデート初日、悪友に「酔い潰してホテルに連れ込めばいい」とアドバイスされ、

私に酒を勧めるうちに自分が先に酔いつぶれたのだと、後になって話していた。

綺麗な顔をして、恋は初めてだったらしい。沢山の女性から言い寄られたことはあるが、

自分から好きになったのは、初めてなのだと赤面して言った。

その言葉が、私の宝物。今でも、思い出すと胸が熱くなる。誰が何と言おうが、

他の人は目に入らないと公言していたのに。人の心はすぐ変わる。

私は、好きで好きで仕方ないのに、憎らしかった。

今のままでずっと一緒にいたいのにめちゃくちゃに壊してしまいたい衝動に駆られる。

恋は盲目。精神異常者だ。今も、あの頃の自分を思い出すと恥ずかしくなる。

私は、まだ彼を愛しているのだろうか?取り戻したいと思っているのか?

いや、もういい。あの自堕落な、向上心も未来もない、

あの出口のない苦しい日常に戻りたいわけではない。なのに、思い出ばかりが私を脅迫してくる。

初恋が美しいなんて嘘だ。好きだったことさえ、蜃気楼のように今では思えてくる。

でも、それほど綺麗でないあの女と、今は幸せならそれでいい。

そろそろ私も次のステージに進むべき年頃だ。

男は二度と愛さない。




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