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人類滅亡学者の旅路  作者: さくら
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鎮魂歌

 荒寥とした大地に風が吹き荒ぶ。


 海の近くであって、流石に風が強い。

 風の音が耳朶をうつ。

 樹木が風にうたれ流されるように曲がり、ビル風が音を運ぶ。

 風圧に一瞬歩くを妨げられた。


 この大地は、元は海の上の埋め立て地だ。

 海の上を流れる風を想像してみた。

 人が強風と感じるこの風も、風からしたら微風に過ぎないのだと思った。


 人類が滅亡しようと、風のような自然現象は何も変わらず、ただ吹くだけなのが、愉快で可笑しい。

 今まで人類は、自分達を特別視してきた。

 でも終わってみれば、その興亡は、他の自然現象と変わらない。

 あと百年もすれば、人類が残した遺産も壊れ風化し、千年もすれば、大地に全て還り、その痕跡すら消えるだろう。

 それでも、残るのはプラスチックなどの自然に還らないゴミだけかもしれない。

 人類が残した唯一の遺産がゴミとは笑ってしまう。


 んん?…すると僕自身もゴミかしら?


 いやいや、僕自身は早晩、土へと還るだろう。

 僕一人では、子孫は残せないし。

 僕自身は、人類の残心、残響…たまたまはみ出た人類の記憶。


 未来のない人生…それは人類滅亡前と変わらない。

 しかし、妙に心躍る。

 毎日アクセクしなくていいし、やるべきことも何もないない…毎日が日曜日、スローライフだ。

 搾取されることもないし、搾取することもない。


 人類の生前を鑑みれば、吸血鬼社会だった気がする。もしかしたらトップに吸血鬼が存在して、人類を家畜として飼育していたのかもしれないと想像を膨らませる。

 …ご愁傷様です。

 

 誰も居なくなり、風だけが吹く抜ける海上都市を見渡す。


 でも、それもこれも誰もいなくなりました。

 あとは、僕がいなくなれば完成です。


 もう、心煩わせることも永遠にないのだ。

 なんて…素晴らしい。


 僕は、無窮に広がる蒼空を見上げ、スキヤキソングを歌い出し、歩き始めた。

 この世界には、もう僕しかいない…猫には偶に会うが、今日(こんにち)まで、一人も出会うことはなかった。


 …そろそろ僕は諦めてもよい頃合いかもしれない。


 僕の普段出す事なき、掠れた声が、この世界に流れた。

 世界の片隅に、僕の拙い歌が響いていく。

 この歌は、以前にアメリカで大流行したと聞いた。

 きっと数多の人達が口ずさんだ事だろう。


 けれど、その歌も、風の前に消えた…

 

 …











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