夕暮れ
数の概念、言葉の概念、お金の概念…。
人は、古来から概念を創り続けてきた。
言わば、人類は概念の産みの親です。
そして、人類は、いまや僕一人。
人が居なければ、概念も存在する意味はない。
人類の意識の中でしか生きられないから、今、概念は、僕に集束されている。
…捕まえた。
人類全てに猛威を奮った概念達は、いまやこのちっぽけな僕の存在の中にしか存在しない。
人類滅亡するときが、数多の概念が滅亡するとき。
あとは、僕が無くなれば、概念も消失するのだ。
華麗にステップを踏む。
草葉が隙間から伸びた石畳を、転ばぬように気をつけて歩く。
この世界では、事故で倒れても救けてくれるものはいない。
困っても、一人で解決するしかない。
ああ…ならば人類滅亡前と滅亡後、僕は何も変わることはないではないか?
他人のせいではないし、自然に責任はない。
幸も不幸も何もかも、自分の行動故の結果であろう。
手に追えぬ災害は、逃げて避けるしかない。
損害賠償の請求先は、いつでも自分あて。
楽しみも哀しさも、自分が自由に感じている。
僕は、変わらず泣いて笑って、生きている。
概念よ、卑小さに傲ったな…。
笑いが込み上げる。
人類滅亡の結果とは、故ある現象の結果であろうなと、勝手に思う。
人類は、しゅうそくしました。
次回の活躍をお楽しみに!
…フフ。
だがもはや、人類にじかいはないのだ。
僕で、おわりです。
勝手、身勝手な自由な思考…概念に囚われることはない。
内心の思考だから掣肘するものなどあろう筈がない。
いつでも答えは、自分の中にある。
夕暮れの海岸通りを、ハミングを静かに口遊みながら、優雅にステップを踏み歩いていく。
変わらない。
僕は、変わらない。
ただノイズのような煩わしさが、減ったのは嬉しい。
静かな街並みの風景に、僕の静かなハミングが流れていく。
…僕は哀しくなんかない。




