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人類滅亡学者の旅路  作者: sakura
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いたる道

 至る道と読んで至道と書く。


 膝上の猫を撫で、シトシトと降る雨を眺めながら考えた。

 人には目的が必要なんだ。

 そしてそれは、ぶっちゃけ何でもよいと思う。


 今の、何も導標(しるべ)なき状態の僕だからこそ、そんなことに気づく。

 日常のなんやかやと忙しい状態な僕ならば、こんなこと思いもしないし。


 なるほど…目的の有無は、今後の僕の人生に多大な影響を及ぼすと思う。

 [私]の目的は、何故人類は滅亡したかを問う人類滅亡学の研究に修身することを建前に、僕を助けることにある。

 では、精神の主人格である僕の目的とは…?


 …




 …雨粒が軒先に穿つ音が、ヤケに大きく聴こえる。


 …


 …難しすぎる。

 これって、多分大人でも答えるのに惑うような問いです。

 しかし、これが有るのと無いとでは違う気がして、あったほうが良いよね?


 誰に問うことなく、雨が降る天空を見上げて問うてみる。

 曇り空は、なにも答えてくれないけども。

 もし、雲が集合意識体として答えてくれるならば、賛否両論あるかも。

 

 目的と一口に言っても、かなり間口が広い。

 だって、人類は僕一人だから、善悪の概念関係なく、なんでも御座れだ…何をしても誰に迷惑かけることもない。

 その代わりに、僕一人しか居ないから、手段力量は限られてくるけども。


 撫でている先の、気持ち良さげな猫を見る。

 件の猫ちゃんは、目を瞑りリラックスしている。

 何故に、この子は初対面の僕を、こんなにも警戒せずにリラックスしているのだろうか…。


 君、ちょっと無防備すぎやしないかい?


 僕は…自分以外誰かを信用するなんて、怖くて出来やしなかった。

 ちょっとした心理的葛藤が胸中を渦巻く。

 補助人格である[私]のことは、信用も信頼もしている。

 しかし、結局は僕自身に過ぎない。

 しかも、人格は二つでも身体は一人なので、結局、動くのは僕だし。


 …


 心理的葛藤はさておき、あらゆる可能性を模索するべきである。

 逆に、歩きださずにずっと佇むことも選べる?

 …

 却下です。

 [私]が未来の僕の近似ならば、彼女は、およそ一箇所に留まっていられるような性向ではない。

 …無理がある。


 ならば、野放図に目的地を決めることなく動き回るのでしょうか?

 …

 却下です。

 [私]が未来の…以下略…、人類滅亡し、誰にも頼れなくなった世界で、準備も計画もなく動き回るなど自殺行為に他ならないと拒否反応を示すことでしょう。


 あら?結構難しいですね。



 …頭から煙が出そうです。

 煮詰まったと言ってもよい。


 ここは、シンプルに考えるが吉です。

 初心に戻ると言ってよい。

 難しく考えては、いけない。

 人生の目的なんて、そんな少し考えただけで見つかるわけもない。

 仮にで良い…それが間違ったとて誰が僕を咎めようか?

 いや、誰もいない。

 だって滅亡してるもの。

 それこそ、どんなくだらないことでも良い。

 …

 今よりもっと小さい頃、お父さんの姿を見て、世の為、他人の為に、助け、頑張ることが立派だと思っていた。

 だが、今や、世も人すらいない。

 ならば、一番身近な人である自分自身の為に、何か出来ないだろうか?

 其れこそが人類の最後の生き残りの務めであり、今は亡き人類に対する鎮魂歌(レクイエム)になりはしないか?


 …

 …



 雨が強くなり、僕の雑念を鎮めるように雨降りの音が大きくなった。

 天は、スッカリ黒雲に覆われて、昼間なのに辺りは薄暗くなっている。

 風が時折り吹き、肌寒くなってきた。

 後ろの畳敷きの場所に移ると、猫ちゃんも付いてきて又も定位置に上がった。

 其処だけが暖かく、まるで暗闇に灯る明かりのようである。



 …少なくとも[私]の今日のミッションは当たりであり、彼女の考えは頼りになると思った。






 















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