人類失格
歩きながら考えている。
人類が滅亡した荒涼たる世界。
そもそも人類は、地球に相応しい種であったのだろうか?
自分の評価とは、自分で付けるものではなく他人が付けるもの。
だとしたら、人類の評価とは、人類自身ではなく別の何かが評価したのだろう。
そして、その評価の結果とは…?
今現在、人類は滅亡しました。
その評価結果は、僕には分からないけど、現実のこの状況を鑑みれば推して知るべし。
通知表の備考欄には、きっと…
人類は失格しました。
また、やり直しましょう。
などと、記載されているに違いない。
なんてこったい。
馬鹿なのか?
人類は馬鹿ばっかりだったのか?
少なくとも僕より頭が良い人は沢山居たはずだ。
でも結果はコレですよ。
いったいどうなってるの?
…
僕は事実を基に判断する。
結論、実は人類は馬鹿だった。
賢そうに見えたのは、見せ掛けだけで本当は馬鹿ばっかりだったんだ。
でなければ滅ぶはずがない。
そっか…。
あの人達、賢そうだったけど、みんな馬鹿だったんだ。
人は見かけに寄らないものだ。
きっと難しい言葉を喋っていたのは何の役にも立たない妄言だったに違いない。
もしかしたら、少しは賢しげな言葉だったのかもしれないけど、一番大事な人類存続に何の役にもたっていないのだから、無駄で空疎な張りぼての言葉としか言いようがない。
いやぁ、僕、すっかり騙されてたよ。トホホです。
では何故僕は生き残ってしまったのだろう。
人類の馬鹿さかげんの証言の為?
ああ…生き恥を晒すような感じ?
だとしたら、とても恥ずかしい。
地球にとって、人類とはなんだったのだろう?
周りの家々やビル、道路を見渡す。
地表が地平線の向こうまで、コンクリート様の人工物で覆われている。
地表を瘡蓋の如く覆い、海を汚して、相争い、自分勝手に滅亡してしまった。
…阿呆だ、阿呆としか言いようがない。
そして僕は、その阿呆のサンプルだ。
天を仰ぐ。
滅亡してしまった人類を、一員として恥ずかしく思う。
しかも抗弁も言い訳も必要ない。
何しろ僕しかいないもの。
ただ静かに反省するしかないけど、反省するって何を反省するといいの…?
ここに至って僕は驚く程に自分の無知に気がついた。
僕が人類の何を知っているというのか。
…
ああ…僕は生き恥を晒しながら、滅亡した人類を知らなければならないのか…なんてことだ。
だから、これは僕が人類を知る為の物語なのだ…多分。
でも、これはまるで、落第生が補習を受けてる気分です。
…ハハハッ、クスクス
笑いが込み上げる。
僕が補習を受けて、合格すれば人類が復活するとでも言うのかい?
蒼穹の青空を見上げ、天に問う。
もちろん天は答えない。
…いいでしょう。
どうせ、時間は無限に近いほどあるのだ。
僕は…私こそは人類で唯一無二の人類滅亡学者です。
人類を知ってやろうではありませんか。
その行為こそが、人類への墓標となるに違いない。
決意を新たに拳を握り締めていると、一匹の猫が通り過ぎていった。
こないだ会った猫とは又別の猫だ。
途中、僕の方を見てアクビをしていた。
まるで、オマエラナニヤッテルニャー?と言われた気がした。
…変わらない。
取り敢えず猫は、人類が滅亡しようと全く頓着していない事が分かった。




