都会へ
おお…ビルが建ち並ぶ。
都会である。
高速道路が上空を走っている。
駅ビルの脇の階段から地下に入る。
明るい。
未だに電気が煌々と明かりを灯している。
地下にいる時に、電気が止まってしまったらと考えると、恐ろしくはなるが、大丈夫。
懐中電灯があります。抜かりはないです。
さあ、地下迷宮へと探検ですから。
地下には、あらゆる物がある。どれも取り放題、より取りみどりです。
これ程の者を造りだした人類が一瞬にして滅んでしまった。
後世の知的生物は、古代の人類が何故に滅んだか首を傾げるに違いない。
頭は良かったはず。
手先も器用、社会を作り出し、インフラも整備して、食糧も互いに輸出入して供給していた。
いったい滅んだ原因は何?
それを究明するのが、私、人類滅亡学者なのです。
世界で唯一無二、私だけしかいません。
何故なら、人類は滅亡しました。
人類滅亡ギャグです。
さあ、私、笑うんだ。
無理矢理笑顔をつくる。
…クスクス。
笑うことが出来た。少し安心する。
せっかく地下に来たけど、地下フロアは食品売り場が多い。 食欲は無いので、スルー。
でも、思い出す。
前に、両親が歩いている。
兄が居て、一緒に歩いていた。
パンやアイス、大判焼きも売っていた。
皆んなで買って食べた。
ああ…家族の、みなの笑顔が懐かしい。
胸の奥から、思いが込み上げる。
ああ、思い出してはいけない。
まだ、ダメだ。
私は、無理矢理記憶を封印する。
自分の息遣いの音がうるさい。
耐えられない。
フラフラとなりながら、外に出る。
空を見る。
ああ…空だけは、今も昔も変わらない。
深呼吸する。
しばらくすると、落ち着いた。
シャツの袖口で、目元を拭う。
大丈夫だ。私は大丈夫。
自販機で水を買って飲む。
残った分を頭から、掛けてみた。
…冷たい。
現実です。これは夢では無い。
…皆んなに会いたいよぅ。
歯を食い締める。
近くに登山グッズの専門店があった気がする。
…思い出した。
お父さんに連れられて、兄と一緒に行ったことがある。
記憶を辿り、店の方に足を向ける。
きっと、今の私に役立つ品がある。
歩きながら、私は、自分に言い聞かせる。
ここに人はいない。…何処にも人は倒れていない。
だって、人類は、滅亡しましたから。




