海
公園から、坂道を下り、川を渡って中華街に入る。
道中、自分に言い聞かせる。
僕は、女子供では無い。男だから。身なりは何故か小さくなったけど、大人の男だから、大丈夫。
はあ、はあ。
心臓がドキドキしている。
まるで、自分の軸が崩壊するような、歪むような感じがする。
僕は、学者です。
人類滅亡学の学者です。
人類が滅亡した謎を、解明する責務がある。
はあ、はあ。
中華街は、閑散としていた。
当たり前だ。だって……。
…もういい。
トボトボと通り過ぎて、海方向へ向かう。
今は、人混むような場所には居たくない。
…
公園に入る。
有名な海に面している公園。
洗面所に入って鏡を見る。
少女のような小さい子が、映っている。
幽霊のように青白い顔色、貧弱な身体。
変わらない、分かっていた。
僕は男、僕は大人、僕は学者。
だから、大丈夫なんだ。
自分自身に向かって何度も言い聞かせる。
…自分の呼吸音が聞こえる。
大丈夫、僕は大丈夫だから。
一つ深呼吸する。
落ち着いてきた。
一時の息苦しい狂おしい感じが引いていく。
もう、大丈夫。
あっ
ブルッとしたので、用を足しに個室に入る。
外に出ると、夏真っ盛りのような青空。
海岸に出ると海も水で満杯ですよ。
ザパーンですから。
ザパーン、水飛沫が僅かにかかる。
深呼吸。うんうん…海は変わらない。
海は好き。
そのまま右手に海を見ながら北上する。
陽光が暖かい。暑いくらいですけど。
薄らと汗をかいているのが分かる。
気持ちは、落ち着いた。
もう、大丈夫だ。
海は良い。…人が居ないから。実に落ち着く。
海岸沿いの橋を渡っていく。
赤煉瓦まで行ったら、駅前の方へ針路を変えよう。
物資を補給するのだ。




